この物語では、高校生たちのディベートを軸に歴史の授業が展開していきます。舞台はごく普通の教室ですが、交わされる言葉は「国を守るためには軍隊が必要なのか？」「国家の窮状は他国の土地を奪う理由になるのか？」といった大人でも答えに迷うような問いばかり。生徒たちは真剣にぶつかり合い、歴史を“暗記科目”から“生きた問い”へと変えていきます。

彼らの議論は驚くほど濃く、読者自身も「自分ならどう考えるか」と試される場面が多いはずです。最初は断片的な知識しか持たなかった生徒が、やがて歴史的事実と倫理、国家と個人、自由と秩序といった普遍的なテーマを結びつけ、自分の言葉で語り始める。その変化は歴史の理解だけでなく、人間的な成長の物語でもあります。

もちろん、現実の授業でここまで深掘りすることはほとんどありません。特に近現代史は駆け足で終わってしまうことが多く、「この学校、歴史ばかりで大丈夫？」と思われる方もいるでしょう。そこはあくまでフィクションです。だからこそ“もしこんな授業があったら”という理想的な教室の姿を描いています。

物語の狙いは「歴史を通じて現代を照らす」ことです。戦争、平和、国家、個人――それらは過去だけの問題ではなく、私たちが生きる今にも直結します。高校生たちが討論する姿を通して、読者もまた自分自身の立場を問い直すことになるはずです。

どうぞこれからの展開も楽しみにしていてください。