最新話『第52話　傍観者の煙草』更新しました！
司法局実働部隊隊長室で嵯峨と高梨はじっと三人の新たに現れた完成された法術師の活躍を見つめていた。
勝負をつけるのを楽しみに捕っておくかのように法術暴走者の成れの果てをいたぶり続ける三人に嵯峨は思わず嫌な顔をする。
法術師ではない腹違いの弟の高梨にはまるで見えない三人の法術師の動きを嵯峨は性格に見切っていた。
場所は同盟機構本部ビル前、多くの自称犯人たちの中で嵯峨はこの出来過ぎた事件の犯人に心当たりがあると言った。
恐らくはこれは法術師の戦力を欲しがるネオナチの首魁ルドルフ・カーン。そして三人の法術師の出どころには『廃帝ハド』が絡んでいるが法術師を出し惜しみするハドがそう言う判断をするとは考えられないので部下が独走したのだろうと嵯峨は見抜いた。
すでに決着が付こうとしている現場を見て高梨の気になったのはいかにも官僚らしく今回の事件を防げなかった責任の所在だった。
嵯峨はとぼけたように捜査権限を軍と東都警察に取り上げられた自分達には何の責任も無いと言い放つ。
ただ、高梨にはまだ肝心の情報が嵯峨の机の引き出しに眠っていることを知っていた。
それでも嵯峨はそんなことを言いだせばこれまで非協力的姿勢を貫いてきた東都警察幹部の首は飛ぶし、同盟機構も大事な姫君のライラに責任を負わせるようなことはしないだろうという。
高梨は東都警察は良いとしてまたライラに嵯峨が憎まれることになることを弟として心配していた。
画面の中ではすでに決着はつこうとしていた。
嵯峨はしばらくはこの無茶な活躍をした三人の法術師の事は忘れて同盟厚生局が起動した法術暴走者に捜査を集中する方針を決めた。
そして場合によっては国家間のいさかいにすら発展しかねないが娘の茜を一人前にするために一切手を貸さないと言い切って画面を消した。

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