立板三

立板三

立板三(たていたさん)と申します。「どうしようもない現実の中で、それでも手を止めない人間の話」。 派手な無双やチートはありませんが、読み終わった後にほんの少しだけ温かくなれる物語を目指しています。

【鏡影館】第2話「鏡の館の住人たち」公開しましたー七人の謎と、四枚目の鏡のこと

第2話「鏡の館の住人たち」を公開しました。

今回は蝋燭の灯る食堂で、館に集まった人々が一堂に顔を合わせる章です。

登場人物をざっくりご紹介します。

影守霞(80歳前後)
この館の当主。凪の来訪を「取材」ではなく「滞在」と言い換え、「この館で見たものは、見た通りとは限らない」と食事の席で静かに告げます。

影守夕映(20代後半)
左右で虹彩の色が違う画家。食事中もスケッチブックを手放さず、夢に繰り返し現れる見知らぬ男性の顔を描き続けています。「この館に来てから、その顔が急にはっきり見えるようになった」と主人公・凪に打ち明けます。

影守朝凪(20代後半)
夕映の双子の兄。光学を専攻する研究者で、館のガラスの歪みに学術的な関心を向けます。主人公と名前が一字違いで、本人もそれをさらりと指摘します。

桐生紅(30代前半)
この取材を依頼してきた張本人。故・桐生蒼介の孫。祖父の建築を「正確に」記録してほしいと繰り返し、その切迫感には理由があるようです。

黒田鉄次(50代)
旅の途中で迷い込んだと語る男性。懐にモンブランの万年筆を忍ばせ、すみれの香りのインクを使っています。旅行者にしては詩的な物言いをします。

月島怜子(40代)
民俗学の研究者。この地域に伝わる「御影信仰」——鏡に映った像にも独立した魂がある、という信仰——を調査しています。食堂の四面の鏡のうち一枚だけが空の額縁であることに、強い関心を示します。

そして食事の席には、**空席が一つ**。体調不良で姿を見せない霞の息子・征一の席には、お茶だけが注がれています。

今回のキーワードは「空の額縁」です。食堂の東の壁にある、鏡が入っていない枠。それは欠損なのか、意図的な空白なのか。設計者・桐生蒼介の「完全な形より、欠けた部分のほうに意味がある」という言葉が、じわりと効いてきます。

各人物の細部に、伏線になるかもしれないものを丁寧に埋めています。読み返すと「あそこか」となる作りを目指しています。よろしければぜひお読みください。

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登録日 2026.03.18 15:42

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