夕日(夕日凪)

夕日(夕日凪) (著者名:夕日(夕日凪))

ちまちまと色々投稿しています。書籍もちょこちょこ。一般文芸系は夕日凪、それ以外は夕日という名義です。

本日の短編(12)

本日の短編。
今回はゾフィーとノエルのお話。



『彼女はうんと言ってくれない・1』

「ねぇ、ゾフィー。婚約の件なんだけど……」

 教師の体調不良で授業が無くなり、カフェテリアでのんびりと過ごしている午前中。
 俺がそう切り出すとゾフィーはその紫色の瞳を大きく開いた後、俺から目を逸らした。
 そんな態度はさすがに傷つくなぁ。

「ノエル様。今日の日替わりランチはなんでしょうね? 楽しみですわ!」

 ゾフィー、話の逸らしかたがとても雑だよ!?
 ちなみに日替わりランチはホーホー鶏の竜田揚げと野菜のマリネ、根菜類のスープだとサイトーサンにリサーチ済みだ。

「ゾフィーは俺と、婚約するのは嫌?」

 俺がそう訊くと彼女は一瞬躊躇したが、首を横にぶんぶんと振った。
 その表情は必死で彼女が俺のことが好きなんだってことが伺えて内心ホッとする。

「じゃあどうして、婚約できないの?」

 俺の言葉にゾフィーは悲痛な顔になる。
 なにか重大な理由があるんだろうか。
 家に借金があるとか……? ダウストリア家で返せる額だといいな。
 じっと見つめていると彼女は観念したかのように口を開いた。

「……ノエル様。私、その……体重がまた増えましたの……」

 最後の方は小声になってしまい、うっかり聞き逃しそうになってしまった。
 ……体重が、増えた?
 思わずゾフィーの立派な胸元に目をやると、キッと可愛い顔で睨まれた。

「ノエル様、胸は見ないでくださいませ!」

 男なんだし仕方がないじゃないか、という言葉を俺は飲み込んだ。
 ……ゾフィーに嫌われたくないものね。

「えっと……体重と婚約、なにが関係あるの?」
「この調子で体重が増え続けたら、ノエル様と結婚する頃には私、トドのようになってしまいますわ。そんな姿で……ノエル様の横には立てませんっ……」

 そう言って俺の可愛いゾフィーは、目に涙を浮かべた。



ぽっちゃり女子の悩み。
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登録日 2018.11.11 08:29

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