一人でいても二人でいる気がしたから結婚したのに、今は二人でいても一人でいる気がする。
文字数 24,910
最終更新日 2025.06.18
登録日 2025.06.17
カサンドラの涙
「届かぬ声の、砂漠の雨」
私の言葉は、風のささやき。
あなたの耳には、届かぬ音。
心砕ける、真実の響きも
ただの幻と、消えていく。
「理解して」と、叫ぶ魂は
空回りして、砂漠に砕ける。
共感の雨、降ることもなく
乾いた大地に、涙は滲む。
なぜ見えない? なぜ感じない?
私の痛みは、透明な壁。
信じてほしい、この心の叫びを
けれどあなたは、ただ、微笑む。
カサンドラの涙、止まらない。
報われぬ愛が、胸を締め付け。
孤独の淵で、藻掻く私を
誰が救えるだろうか。
この声が、いつか届く日を。
理解の光が、射す日を。
届かぬ思いを、紡ぎながら
私は今日も、涙を流す。
文字数 219,312
最終更新日 2025.06.16
登録日 2025.03.15
心理学
詩『心という迷路』
心とは
透明な地図のない迷路
扉がいくつもあり
鍵はいつも 内側にある
構成主義は言う
「感じた光、鳴った音、すべてを分解せよ」
その細片の中に 心の骨格を探して
私たちは 解体の旅に出る
ゲシュタルトは叫ぶ
「全体を見よ、形に意味が宿る」
リンゴはただの赤ではなく
そこに“果実”としての魂があると
行動主義は静かに記す
「反応せよ、観察せよ、測定せよ」
心の内側は不要だと
外に現れたすべてが答えだと
けれど私は
夢の中で泣いたり
声にならない思いに揺れたりする
この感情に
数式があるのか
この沈黙に
理論が届くのか
心理学よ
あなたは私を知ろうとし
私はあなたを学ぼうとする
けれど
本当に知りたいのは──
「なぜ私は、私なのか」
という問いだけ
文字数 135,134
最終更新日 2025.06.16
登録日 2025.05.21
「され妻の叫び — モラハラ夫との戦い」
静かに崩れる家
「俺が養ってやってる」
そう言うたびに、あなたの声は
ナイフのように
わたしの胸を裂いた
帰りは遅く、スマホは裏返し
香水の匂いは、言い訳より饒舌(じょうぜつ)で
笑わぬあなたに
わたしは、今日も微笑んだふりをした
怒鳴られても
無視されても
「子どものために」と
自分をだまし続けた日々
でも、鏡に映る私は
もう知っている
この沈黙は、愛じゃない
この従順は、幸せじゃない
ひとつひとつ剥がれていく仮面
泣かないと決めた夜の後
眠るあなたの背中に
「さよなら」を、そっと重ねた
明け方の風は、ひんやりと
わたしの頬を撫でたけど
不思議と、寒くなかった
わたしはまだ、生きている
わたしはまだ、ここにいる
名もなき「され妻」じゃない
名前を取り戻す、ただの「わたし」
モラハラ夫との複雑な家族関係
文字数 136,549
最終更新日 2025.06.12
登録日 2025.05.26