Z世代を甘やかすな

「別に、遅刻してもよくないですか?」Z世代が毎日遅刻し続けた結果……

2026.03.06 公式 Z世代を甘やかすな 第6回
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Z世代はSBIモデルで動かせ

では、どうすればいいのか。Z世代への指導は、頭ごなしに叱るのではなく、納得感を与え、こちらの想定に沿った形に行動を「修正」させることが肝要だ。今後は感情論を排した「事実 →影響→期待」の3点構成、ビジネスコミュニケーション技術として「SBI(Situation-Behavior-Impact:状況-行動-影響)モデル」が最適解といえよう。
「そこまで気を遣わなければならないのか」と憤りを感じるかもしれない。だが、同じ日本人、同じ世代でも、相手が変われば常識も感覚も全然違う。「言わなくてもわかるでしょ」という空気で動かせる相手のほうが限定的なのだ。Z世代に限らず、外国人労働者や異なる世代間でも通じるコミュニケーション技術としてSBIモデルは極めて有効であり、このタイミングで身につけておいて損はないだろう。
では具体的に解説をしていく。

ステップ1「なぜ」を問わず、事実のみを個別に指摘

遅延の理由(忙しさ、寝不足)は聞かず、客観的な事実のみを指摘する。

× 「どうして、遅刻したんだ?」
→これでは相手の反発を招き、自己正当化の言い訳を引き出すだけだ。

○「始業時間は9時だが、あなたが出社したのは9時10分だった」
→これは事実ベースであり、釈明の余地はなくなる。事実の指摘ならパワハラだと騒がれるリスクもない。

また、指導は必ず個別メッセージ、または1on1のクローズドな場で行うことが前提だ。人前での指摘は彼らの「恥をかかされた」という感情を刺激し、恨みを買いやすい。
参考までに「人前で指摘しない」は、じつは海外では常識である。アメリカでは役職持ちは個室が与えられることが多いが、これは部下を部屋に呼んで1on1をしやすくするためである。また、東南アジアなども「メンツ」が重要で、ある日本人ビジネスマンが現地の従業員をみんなの前で頭ごなしに叱りつけたら、恥をかかされた恨みから殺傷事件も起きている。この部分についていえば、人前で叱るというスタイルはもう時代遅れの発想だ。ここはZ世代ではなく、中高年世代が意識を変えるほうが望ましいだろう。

ステップ2「影響」をロジック(数字)で伝える

最も重要なのが、遅延がチームや会社に与えた具体的な損失を伝えること。彼らは「ロジック」と「コスパ」に敏感だからだ。

×「みんなに迷惑がかかる」
→抽象的すぎるので「頭ごなしに叱られた」という解釈になりやすい。

○「君が10分遅れたことで、あなた担当のクライアントからの電話を折り返すことになった。始業時刻を過ぎているのに担当者が不在だったことで、先方との信頼関係に影響すれば、来月の受注確度が低下する可能性がある」
→感情ではなく「損益」で語ることで、「単なる自分のミスではない」「組織に具体的損害を与えた」という納得感が生まれる。そしてこのような経験を経ることで、「会社で働くということは組織全体の利益を最大化するチーム戦だ」という前提を学ぶことにつながる。

Z世代は精神的に幼い部分がある一方、権利ばかり主張しがちだ。だが、こうした社会経験を積むことで「権利の主張は、まず結果を出してから」という暗黙知を学んでいくことになるだろう。

ステップ3具体的な「ToDo」を提示し、曖昧さを排除

指導を感情的に終わらせず、次回どうすべきかを明確な文書化されたToDoで提示する。曖昧さを嫌う彼らの価値観に合致させることで、スムーズな行動修正を促す。

×「もう遅刻するなよ」
→具体的に何をどう対策するかが不明確。

○「今後は、始業時間の30分前着席を目指してみたらどうだろうか。逆算すると、あなたは〇時〇分の電車に乗る必要がある。また、もし間に合わない可能性があれば、遅刻が確定した時点で必ず連絡するように」
→「ルール=効率化」として捉え直してもらうためにも、「無駄な叱責やストレスが避けられる」という彼らにとっての「得」を間接的に示唆することが重要だ。

Z世代社員を動かすのは明確化したルールだ。そして上司としても彼らがルールを守ってくれれば迷惑になることはなく、ルールを逸脱すれば事実ベースで指摘するだけでいいのでパワハラ認定に怯えるリスクもなくなるわけだ。

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プロフィール

黒坂岳央
黒坂岳央

1981年大阪府生まれ。実業家。学生時代から人間関係でなめられることに苦しみ、社会に出ても理不尽な扱いを受け続けた経験を持つ。しかし、その経験を逆手に取り、なめられないための戦略を研究、体系化した。現在は、本業のかたわら、アゴラ、プレジデント、Yahoo!ニュースなどネットメディアでニュース・オピニオン記事を執筆し、PVの最高値は1記事で150万PV超。テレビ朝日系、TBSラジオなどテレビ・ラジオ番組にも多数出演している。なめられる弱者だった立場から、自らを研究対象として積み上げてきた経験を土台に本書を執筆している。

著書

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黒坂岳央 /
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