「残業したくないんですよね」「それって僕の仕事ですか?」「飲み会ダルいんで行きたくないです」「そのやり方タイパ悪くないですか?」
指示は素直に聞かず、指導をすれば「それってパワハラですよね?」と口答え。世間は「価値観のアップデート」を強いてきて、Z世代への指導はどんどん弱腰になってしまう。好き勝手にふるまうZ世代部下のおかげで、職場の空気は弛緩する一方です。つけあがってさらにモンスター化するZ世代部下は、あらゆる職場に出現し、管理職を困らせています。そんな現状に、ビジネスライターの黒坂岳央さんは「Z世代を甘やかしてはならない」と警鐘を鳴らします。Z世代部下にかき回された職場を正常化するために、Z世代を甘やかさない、毅然としたコミュニケーションを身につけましょう。
Z世代社員にコピー用紙の交換や、電話対応、議事録づくりを頼めば、「これ、僕の仕事じゃないですよね」と拒まれる。残業・早出はもちろん、休日出勤などもってのほかだ。にもかかわらず、Z世代社員は「ライブのチケット手に入ったんで」と当日の朝に有給を申請し、繁忙期にもかかわらず「もう飛行機のチケットとっちゃったんで」と連休を取得してくる始末。
もちろん、有給をとること自体は何の問題もない。労働基準法において有給休暇の取得は労働者の強力な権利であり、原則として会社は拒否できない。ただし、事業の正常な運営を妨げる場合には「時季変更権」を行使できる可能性はある。だが、実務上これを振りかざせば「ブラック企業」のレッテルを貼られ、SNSで拡散されるリスクがあるため、管理職は泣き寝入りせざるを得ないのが現状だ。
日本の多くの企業は「メンバーシップ型雇用」であり、職務を限定せず、チームで助け合うことを前提に雇用が守られている。その代わり、繁忙期には協力する、急な欠員をカバーするといった「互助の精神(義務)」が暗黙の了解として存在する。しかし、Z世代の彼らは、この「困った時はお互い様」という暗黙のルールを拒絶する。
例えばZ世代社員は、年度末から新年度にかけての繁忙期に、平気な顔をして5連休を取得する。そして「休まれちゃ困るよ。君の担当分はだれがやるんだ?」と聞けば「それを考えるのは上司の仕事ですよね? 僕一人が休んだくらいで回らないんだったら会社側の人員配置ミスじゃないですか?」と言い返してくるのだ。
もっともらしい理屈で、納得してしまうかもしれないが、現実は違う。ギリギリのリソースで回さざるを得ない中小企業や現場のリアリティを無視した「机上の空論」だ。さらに多くの場合、人員がぎりぎりになっている理由は「半人前」のZ世代部下のせいなのだ。部署の人数は決まっている。その一席に、ぺーぺーのZ世代部下が座ったことで、世話をするためにほかの社員のリソースが割かれる。当の本人はもちろん一人前に仕事はできないため、一時的に人員不足に陥る。
もちろん、それを含めた「人員配置」をすべきだというのなら、「人員配置ミス」という指摘は、一面では正論かもしれない。しかし、未経験からの手厚い育成や強力な解雇規制といった「メンバーシップ型雇用」の恩恵をフルに享受しておきながら、いざ自分に都合の悪い業務が降ってくると、権利を主張して拒絶するというのは、あまりにもフリーライドではないだろうか。
欧米のような職務範囲が厳格に定められた「ジョブ型雇用」であれば、「僕の仕事ではない」という発言は正論になり得る。しかし、大半の日本企業が採用しているのは、職務を限定せず柔軟な業務アサインを前提とする「メンバーシップ型雇用」だ。にもかかわらず、「ジョブ型雇用」の理屈をひっぱりだして、正当性を主張するのは日本の雇用契約の前提と完全に矛盾しており、滑稽としか言いようがない。彼らが正当だと思い込んでいる防衛線は、就業規則に基づく正当な業務命令権を突きつければ、根底からひっくり返る論理なのである。