迷えるオトナ女子のための自分らしさのトリセツ

「自分らしさ」が見つからない人は、なぜいつも不安を抱えているのか

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自分の価値基準を外に求める人たち

アイデンティティが確立する前は、自分が何者であるかが不確定であるために、心が不安定になり、他者からどう見られているかや、他者から言われた言葉を過剰に気にすることがあります。
外見についての悩みが増えるのもこの時期です。鏡を見て、骨格や顔の造形、身長の高低、体重の増減、髪質など、様々な部位が気になりだすと、ありのままの自分の姿を受け入れることに抵抗が生じることがあります。

最近では、脱毛やプチ整形、脂肪吸引など美容整形が流行っていますので、数年前よりさらに外見について気にする人が増えています。
美容施術で自己肯定感が上がる人がいることも事実ですが、一方で、予想外の施術結果となり取り返しがつかない事態に後悔し、落ち込み、カウンセリング相談に来る人も少なくありません。また、自己肯定感の低い人は、一度の施術で満足できず、美容整形を繰り返す傾向があります。
「完璧な外見」などというものはありませんので、どこかで自分の姿を受け入れる必要がありますね。

自己肯定感が低い人は、自分にオッケーを出す基準を自己内の価値基準ではなく、インフルエンサーやモデルなどアイコン、つまり外界の価値基準に合わせ設定するのです。
内面にある「自分らしさ」よりも「このモデルが高評価を得ているから、この人のようになりたい」と、外界の価値基準に対して自分がどれだけ近づけているか、満たしているか、を気にして一喜一憂することになるのです。

一方、自己肯定感が高いと、外見についても「これが自分の自然な姿」と受け入れることができます。生まれ持った自分の体を受け入れたうえで、より清潔感をもって素敵になるためにはどうすればよいかを考え、工夫すること自体を楽しみます。
モデルやインフルエンサーのファッションを参考に取り入れることはありますが、他人になりきるのではなく、あくまでも自分の感覚を優先し、自分に似合う装いを堂々と楽しみます。

生まれつきの顔や体の形であなたの価値が決まるわけではありません。あなた自身が自分のことをどう受け止め、どのように自己表現するかが、あなたらしさにつながるのです。
周りにどう見られるか、よりも、自分が楽しい、ワクワクする、といった自分の肯定的な感情を大切に育てて、思い切って表現してみましょう。堂々と輝くあなたの姿を見て、きっと周りの人もあなたのことを素敵だと賞賛するでしょう。
他人からの評価は後、自分の感情や感性が先、ですよ。

自己肯定感と内面の関係性

自己肯定感の低さが、自分らしさを見出しにくくすることは、内面についても同様です。
子どもの頃にたくさんほめてもらった人は、自己肯定感が上がり、自分のことをポジティブにとらえることができます。
たまに、自己肯定感が高い人は優れた能力を持っている、と間違ってとらえる人がいますが、決してそんなことはありません。勉強も、容姿も特に際立っているわけではないけれど、自己肯定感の高い人は、ものごとをポジティブにとらえ、自分の感じ方や考えを自分で支持することができるのです。

子どもの頃に、お絵描きをして「上手だね」「とてもよく描けたね」とほめてもらうと、どんな絵を描いていたとしても「やった」「自分は絵が描けた」と自己肯定感が上がります。縄跳びをして引っ掛かり、転んでしまっても「うまく跳べていたよ!その調子!」と結果よりも過程を認めてもらうと、モチベーションが維持されて、またチャレンジしてみよう、と縄跳びを続けます。続けるから、やがて跳べるようになり、「自分は縄跳びができる」と自己肯定感が上がります。

自己肯定感が高い人は、失敗しても自分を「ダメだ」とは思いません。「惜しい」「今度はできるようになる」ととらえます。能力の有無にかかわらず、継続して取り組むからできるようになる、ということを知っているのです。そして、できないことがあっても、それは悪いことではない、それはそれで構わないととらえています。

このようにトライアンドエラーを繰り返しながら様々なことを体験する過程で、自分の得意なことや不得意なことを理解していくのです。
「失敗しても良い」と考えているので、興味のあることは「とりあえずやってみよう」とチャレンジします。やってみてあまり楽しくない、うまくできないということがあったとしても「それはそれで構わない」ととらえているので、自分を否定することなく、次の関心事へと興味をシフトするのです。
こうして、自分が何に興味を持っているか、自分は何が得意か、自分は将来何がしたいか、が体験的に理解でき、「本当の自分」を見出すことができるようになります。

子どものころから、失敗したら叱られ、認めてもらった経験が少ない人は、どうしても自分にダメ出しをするクセがついてしまっています。
「失敗したらダメ」と思っているので、新しいことに挑戦するときに迷いますし、「できなかったらどうしよう」と不安を抱きます。
自己肯定感が低い人は、できないことに目がいきがちで、せっかくできたとしても、「こんなの普通だ」「誰だってできるし特別なことじゃない」と自分のことを過小視します。ネガティブな側面にばかり目がいきがちなので、「何もできない」「自分には何もない」ととらえてしまうのです。

自己肯定感を上げるには

自分らしさを探し、自身と向き合おうとしても、自分のなかに「好きなこと」「興味のあること」を見つけることができない人は、「どうやったら自分らしさが見つかるだろう」と、外側の基準に正解を求めてしまいます。
本来は、探索的行動をとって体験的に自分らしさに気づく、という過程を経て見つけていくものなのですが、その過程を飛ばして、誰かに答えを教えてもらいたい、と思うのです。性格診断や自己分析セミナーが流行っているのは、こうした迷える人たちのニーズを満たす働きがあるからです。

自己肯定感が低いと感じる人は、まずは自分を認めてあげること。たくさん自分をほめてあげてください。
そして、どんなことでも構いませんからチャレンジしてみること。失敗しても構いません。
様々なことを経験するなかで、自分の興味関心を探してみてください。
焦らなくても大丈夫。本当の自分を探し続けながら人生を歩めばいいのです。

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プロフィール

高井祐子
高井祐子

神戸心理療法センター代表。公認心理師。臨床心理士。アンガーマネジメントファシリテーター。主に認知行動療法、マインドフルネスを用いて個人心理療法をおこなう。20年のカウンセラー歴を持ち、2025年4月までに、のべ15,602名と関わる。オンラインカウンセリングでは、日本全国のみならず海外からの相談に対応、グローバルに「こころの専門家」として活動している。著書に『認知行動療法で「なりたい自分」になる』(創元社)、『「自分の感情」の整えかた・切り替えかた』(大和出版)、『ラクに生きるための「心の地図」』(ナツメ社)などがある。

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