リーグ2制覇達成から、2年連続5位に沈んだ東京ヤクルトスワローズ。怪我人は絶えず、投打ともに大不調にあえぎ、指揮官髙津監督も大いに苦しむこととなった。
今シーズン「捲土重来」というスローガンを掲げた髙津監督は、どんなビジョンでチーム再建を図るのか。本連載では、今年もインタビュアーに長谷川晶一氏を迎え、復活にかける髙津監督のマネジメント術をお届けしていく。
(インタビュアー:長谷川晶一)
――開幕から2カ月が経過しました。借金生活が続く厳しい戦いが展開されていますが、ここまでの戦いを振り返っていただけますか?
髙津 うーん、そうですね、結果は確かによくないし、思うように点も取れないし、苦しい戦いが続いています。それはやっぱり、今まで頑張ってきた中心選手が欠けたというところが非常に大きいですね。ただ、その日によってスタメンが変わったり、四番打者や守備位置もいろいろ入れ替えたりしていることは、選手にとってはとても大きなことなんだろう。そんな思いはあります。

――なかなかメンバーが固定できない中、「一塁・オスナ、サード・茂木栄五郎、レフト・サンタナ」がほぼ固定で、5月に入って「センター・岩田幸宏」が固定化されつつある一方、「日替わり四番」や「捕手併用」、「先発投手を八番に起用」など、スタメンは流動的です。
髙津 もちろん打順も守備位置も、メンバーがしっかり固定できるのが強いチームのあり方かもしれないけど、現状ではそれも難しい。だからこそ、厳しい中でもいろいろ知恵を絞って、メンバーを考えていくしかない。選手からすれば、その日になってみないと自分がスタメンなのかどうかはわからないということはすごく大変だと思うけど、それに対応してやっていくということは、すごく勉強になるし、実際にうまくなっているんじゃないか。そんな気はしています。
――具体的にはどういう点で「勉強になっている、うまくなっている」と感じますか?
髙津 若手選手、控え選手というのはどうしてもベンチから試合を見ることが多いもの。その中で「今のはいいプレーだったな」とか、「このピッチャー、自分ならこうやって打つかな」ってイメージしながら戦況を見つめていることと思います。その一方で、今のチーム状況だと、実際に試合に出るチャンスがすごく増えている。そうすると、試合に対する見方、考え方がより真剣なものとなります。自分とポジションがかぶる選手のプレーに対する注目度、集中度が大きく変わってくる。自分と同じような立場の選手のプレーをベンチから見守りながら、「自分ならこうする」「自分だったら、今のプレーはできただろうか?」と感じているはず。その思いを持って、実際に試合出場する。その繰り返しなので、すごく勉強になると感じますね。