前出・田中氏はいう。
「これまでに法的紛争に発展した日本IBMの事例をみると、自社が提案する製品・パッケージソフトに関するノウハウが不足しており、開発を進めていくと業務に合わないことが判明したといったケースが起きているように感じます」
大手SIerのSEはいう。
「多額の損失が発生するような大規模システム開発を元請けベンダーとして引き受けることができる企業というのは、国内だと日本IBMや富士通、日立製作所、NTTデータ、アクセンチュア、金融関連システムだと野村総研など数えるほどしかなく、必然的にこれらの企業に案件は集中するので、失敗する大きな案件を担当するベンダーはこれらのうちのどれかになる可能性が高いということになります。また、日本企業のベンダーは、体質的に顧客から無理難題を押し付けられても、ある程度なら対応してしまうという傾向がありますが、外資系ベンダーは『それは契約外なのでできない』『追加費用がかかります』とドライな対応をする傾向があり、そうした点も今回のように裁判に発展する結果につながった可能性もあるかもしれません」
(文=Business Journal編集部)