私はときどきコメダ珈琲店に入ることがありますが、びっくりするのが学生と思われる若者の多さです。写真映えしそうなコメダのデザートとドリンクをオーダーしている人が多く、一人あたり1200円~1500円くらいは使っているように見えます。若者たちもコメダを利用する日もあるでしょうが、もちろんマックも利用しています。多くの人が時と場合、その時のニーズによってお店を使い分けています」
前述のとおり、今回は商品の値上げと同時に日替わりクーポンのキャンペーンや500円の「ハンバーガー」セットの復活なども発表したが、全体としてみてマクドナルドの価格戦略はどう分析できるか。
「値上げは公式の発表にあるとおり『昨今のエネルギーコスト、物流費、人件費の上昇を受けてのもの』ということなので、仕方ないと思います。競合するモスバーガーも3月に入って値上げをしています。クーポンの配信やセットの復活は、単なる値上げだけだと印象が悪いので、少しでもイメージを和らげるためのバーター企画でしょう。かつての『ハンバーガー』が59円や100円で買えた時代を知っている人は、随分高くなったというイメージを持つでしょうが、それでも相対的には安いと思える範疇に落ち着いていると思います。
ただし、最近の値上げにより24年12月期決算では売上高・営業利益ともに過去最高となっており、お客さんに対して値上げの説得力が薄れてしまうかもしれません。あわせて賃金や初任給の引き上げも発表されていますので、人手不足といわれるなか、値上げによって得られる利益は人材確保や待遇改善に有効利用されていくのではないでしょうか」(江間氏)
では、マクドナルドの真の価値とは何であると考えられるか。
「マクドナルドの価値はそのブランド力、イメージです。マックといえば『駅近くにあって、店内が広いので席が多く、お店の人からあまり干渉されずに長居しやすく、安くて、空いた時間にちょっと使える手軽なお店』といったイメージを持っている人が多いと思います。最近の値上げによって『安い』という部分が薄れつつありますが、そうはいっても同業他社や街場の飲食店に比べると、まだ安いですし、立地や広さ、メニュー内容など、やはり気軽に利用できるお店だと思います。
これがマックの価値でありブランド力だと思いますので、業界全体の中で『そこそこ安い』というポジションをキープできれば、お客さんは利用することでしょう。そこそこ安いという判断はお客さんがしますので、今後はどこまで許されるかを値上げしながら探っていき、折り合いをつけていくのだと思います。値段は上がるときもあれば、昔のマックみたいに下がるときもあるはずです。そのあたりをフレキシブルに対応していけば、お客さんに受け入れられ続けることでしょう」(江間氏)
外食チェーン関係者はいう。
「平日の夕方時にマクドナルドの店舗に行くと、『マックフライポテト』やスイーツを片手におしゃべりを楽しむ学生グループや、ハンバーガーに食らいつき空腹を満たす学生、高齢者、ノートPCを広げてオンライン会議をするスーツ姿の中年の男性・女性など、ほぼすべての世代が思い思いの時間を過ごしています。同一の店舗内でこれだけ幅広い世代のお客が混在して、それぞれが好きなように時間を過ごしている店というのは、意外になかったりします。また、お金がない学生であれば330円でドリンクとハンバーガーを食べることができ、よほど長居しなければスタッフから退店を促されることもありません。頻繁に投入される各種期間限定商品も魅力的なものが多いです。そして店内は適度にガヤガヤしているので、気を遣うことなく、おしゃべりできる雰囲気も備わっています。こうした光景にこそマクドナルドの価値が隠れているのかもしれません」
(文=Business Journal編集部、協力=江間正和/東京未来倶楽部(株)代表)