グーグル、サードパーティ・クッキー廃止方針を見直し、複雑な背景…利益と不利益

サードパーティCookie廃止とプライバシー・サンドボックスの開発の動きは今後も継続

 ユーザーにとってのメリットとデメリットは何か。

「サードパーティCookieの継続は、サービス提供者にとって広告収入の維持というメリットがありますが、ユーザーにも一定の恩恵があります。それは、広告によってサービスが無料または低価格で提供され続ける可能性がある点です。また、無関係な広告よりも、自分の趣味や関心に合った広告の方が受け入れやすいと感じるユーザーも少なくありません。

 しかし最大のデメリットは、プライバシー侵害のリスクが今後も続くことです。個人情報の漏洩リスクに加え、ユーザーの興味に偏った情報ばかりが表示されることにより、多様な視点に触れる機会が減少し、思考が偏る懸念もあります。さらに、広告ブロッカーの利用によってページ表示が崩れたり、一部サービスが正しく利用できなくなったりする可能性もあり、こうしたユーザー体験の悪化も無視できません。

 サードパーティCookie廃止とプライバシー・サンドボックスの開発は、ユーザーのプライバシー意識の高まり、法規制、そして技術・企業戦略の変化が重なった結果生まれた流れです。この動きは今後も継続していくと考えられます」

(文=BUSINESS JOURNAL編集部、協力=伊藤朝輝/ライター、システムエンジニア)