●この記事のポイント
・スマホから申し込みをして最短翌営業日での口座開設が可能
・経理業務、支払繰延、複数の資金調達手段の一元管理、公的費用の自動支払い、電子契約、決済、AIを活用した資金調達支援などをワンストップで提供
・振込手数料はSMBC宛てが無料、他行宛てが145円という業界最安値水準
三井住友フィナンシャルグループ(SMBCグループ)が「これひとつで経営していける法人口座の新しい形」と謳う法人向けデジタル総合金融サービス「Trunk(トランク)」が早くも注目されている。5月に提供を開始する。中小企業がスマートフォンから申し込みをして最短翌営業日での口座開設が可能であり、法人ネット口座とビジネスカード、請求書処理・支払いなどの経理業務、支払繰延、複数の資金調達手段の一元管理、公的費用の自動支払い、電子契約、決済、AIを活用した資金調達支援などの機能をワンストップで提供。振込手数料はSMBC宛てが無料、他行宛てが145円という業界最安値水準に設定。これまで銀行にとって中心だった融資ではなく、決済や預金を主な収益源とする点が、大きな挑戦だ。具体的にどのようなサービスなのか。また、SMBCグループは300万社ある国内法人数の10%にあたる30万口座を3年で獲得するという目標を掲げているが、勝算はあるのか。SMBCグループに取材した。
●目次
SMBCグループが「経理業務の効率化、資金の見える化、資金繰り支援など、単なる銀行口座、カードに留まらないおカネ周りのサービスを一体で提供する」と宣言するTrunkの機能・サービスは多岐にわたる。例えば、受領した請求書を撮影するだけで自動的にデータ化・振込予約を行える機能、同じアプリ上で支払期日を繰り延べ可能にするカード決済連携機能、複数の資金調達手段を一元的に管理できる「フレキシブル・ファイナンス機能」などが搭載。「デジタルファクタリング」、カード払いの引き落とし時期を調整できる「スキップ払い」などもある。AIも活用され、AI与信エンジンを搭載したビジネスカード、AIエージェントによる経営支援も提供される。
Trunk開始の背景には、SMBCグループが2023年から提供する個人向け総合金融サービス「Olive(オリーブ)」の成功がある。開発には、わずか2年で500万口座を獲得したOliveのノウハウが存分に生かされている。
具体的にどのようなサービスなのか。SMBCグループは次のように説明する。
「一点目は、Trunkは『法人口座』。メガバンクでは初めて、ネットでのお申込みにより最短翌営業日に開設が可能となり、振込等の手数料も業界最低水準で提供するなど、幅広いお客さまに三井住友銀行をお気軽にご利用頂ける口座。二点目は、会社経営に必要な金融・決済サービスを、デジタルでシームレスに提供する点。ハイスペックなビジネスカード、最新の経理DX機能、商売の状況に応じた多様なファイナンス機能など、会社経営に必要な金融・決済関連機能を一つのアプリにシームレスに融合するコンセプト。例えばカードは、利用限度額が最大10億円、最高水準の不正利用対策、直感的なユーザーインターフェースなどを実現し、Trunkがあれば『最新の機能を、納得のコストで使える』、そのようなサービスを目指した。