サントリーHD、男性社員の育休取得率100%、業務面で意外な効果…カギは仕事と育児の両立計画書

 男性社員の育児取得率向上の取り組みのなかで、課題やハードルとなった点は何かあったのか。

「会社としては下記の2つの課題があると考えていました。1つ目は会社が社員の子どもの誕生をどれだけ早期に把握できるかということです。把握が遅れることで会社から社員へ情報提供やコミュニケーションが遅くなり、結果的に取得が後ろ倒しになったり、取得の期限を迎えてしまったりすることがありました。また、二つ目は組織単位で、育休を取る意識をどれだけ高められるかということでした。これらの課題を解決するため、上記のような取り組みを行いました」(秋山氏)

アジリティの強いチーム・会社づくりのきっかけに

 男性社員の育休取得率の上昇によって、社員の働き方やビジネス面、業務面において意外な正の効果も生じているという。

「男性育休取得者自身が、次世代の対象者が出た際に取得を周囲に推奨するケースも出てきており、取得に向けた追い風になっています。また、男性育休取得への施策などにより、取得する人だけでなく、上司やチームリーダーなど会社全体として、『育休を当たり前にする』という意識に変わってきています。

 男性育休を取得した社員の事例としては、育休を取得する際に引継書を作成したことで、自身の業務の棚卸しができるとともに、今後異動があった際にそのまま使用できるものとなりました。チームのメンバーが一定期間休暇を取ることは、育児休暇以外でもあり得ることです。『子の誕生予定申請』や『仕事と育児の両立計画書』などの施策で早めに対話をしながら、業務を属人化させず『チーム』で取り組むようにすることで、メンバーが休暇を取ったとしても大きな問題が生じない、アジリティの強いチーム・会社づくりのきっかけになることができると考えています」(秋山氏)

(文=BUSINESS JOURNAL編集部)