人数が少ない組織は、個人のちょっとしたネガティブな感情であっても、組織全体に悪い影響を与えてしまうため、その運用は人数の多い組織以上に難しいものです。そのため、最小の組織とも言える「家族」のマネジメントが簡単でないことは、言うまでもありません。
そこですすめてきたのが「1on1」の家庭内への導入です。夫婦の間で1on1の機会を作ることで、感情のケアをするのです(子どもとの間にも必要ですが、この連載では夫婦間に限定して話します)。
復習すると、1on1にはレベル設定があります。以下です。
レベル5:課題鮮明化面談
レベル4:目標共有面談
レベル3:お悩み相談室面談
レベル2:火消し面談
レベル1:雑談面談
「レベル1:雑談面談」「レベル2:火消し面談」までは、すでに説明してきました。
火消し面談では、夫婦の関係性を、社長とナンバー2のうまくいっている関係にたとえて解説しました。さっと要約すると、心配性の社長以上にナンバー2が心配性であるケースがうまくいきやすい。同様に、心配性の相手以上に自分が心配性になることで、トラブルが小さな火種のうちに火消しができる、ということでした。
今回は、家庭への導入が難しそうな「レベル3:お悩み相談室面談」について解説したいと思います。
皆さんの家庭では、夫婦で悩みを相談する機会をつくれていますか?
奥さんから旦那さんに悩みを話してくれることは、比較的多いかもしれません。
その一方で、悩みを吐き出せる旦那さんは、それほど多くないのではないでしょうか。「仕事の悩みを家庭内に持ち込みたくない」「ましてや奥さんに悩み相談なんてしたくない」、そんな考えの旦那さんは、少数派ではないように感じます。
先日、最終回を迎えた話題のドラマ『じゃあ、あんたが作ってみろよ』(TBS)、私は大好きで毎週楽しみに観ていたのですが、そこで描かれていた男性像が印象的でした。
竹内涼真さん演じる元恋人の勝男は、主人公の夏帆さん演じる鮎美の作ってくれた料理に対して「うーん、なんか、茶色いおかずが多いね」と余計な一言を言う、時代錯誤感のあるモラハラ男キャラ。そんな彼もストーリーが進むにつれて成長するのですが、「勝男さんは大丈夫なの?」という鮎美からの質問に、仕事で悩んでいることがあるにもかかわらず、「大丈夫」と隠してしまいます。自分の悩みや弱みはいっさい言えないのです。
こうした傾向は、じつは多くの男性が思い当たる、痛いところなのではないかと思います。実際に、私はそうでした。
私もかつて、家庭で悩みを話せるタイプではありませんでした。そもそも自分が悩んでいる自覚すらなかった、とも言えます。
私が悩むことといえば、2つあります。1つはクライアントからのクレームです。
私は組織開発の仕事をしており、組織がより良くなるように支援させていただいているのですが、精一杯やって結果を出しても、クレームをつけられることがあります。そうしたとき、私には自責思考が叩き込まれているため、自分のせいだと強く反省します。どんなに理不尽なクレームであっても、お客様へ不満はタブーだと考えているのです。
悩むことのもう1つは、自分の影響力のなさです。
私がYouTubeでの配信を始めたのは2020年。チャンネル登録者数は今では3万8000人です。うまくいっているとも言えるのですが、始めて半年で1万人、すぐに2万に達していたので、その後の伸び悩みを感じています。まして当時は、中田敦彦さん、マコなり社長などがYouTubeを始めたてで、彼らをライバル視にしていたので、日に日に差をつけられ、自分の力のなさを痛感していました。
加えて、同時期に初めての書籍を出版しましたが、売るためのあらゆる努力をしたものの、増刷されることなく、飛ぶように売れたという感じでもありませんでした。
ふと、戦国時代の武将や明治維新の志士など、世の中を大きく変えてきた人たちと自分を比較し、自分の無力さに落ち込んでしまうことがあります。「私は、戦国武将や維新志士どころか、町の剣術道場の師範がいいところか……」と自嘲していました。