
リーグ2制覇達成から、2年連続5位に沈んだ東京ヤクルトスワローズ。怪我人は絶えず、投打ともに大不調にあえぎ、指揮官髙津監督も大いに苦しむこととなった。
今シーズン「捲土重来」というスローガンを掲げた髙津監督は、どんなビジョンでチーム再建を図るのか。本連載では、今年もインタビュアーに長谷川晶一氏を迎え、復活にかける髙津監督のマネジメント術をお届けしていく。
(インタビュアー:長谷川晶一)
――連休中の9連戦を終えました。長岡秀樹選手の離脱もありながら、若手選手の起用が続いています。現状について振り返っていただけますか?
髙津 長岡に限らず、主力選手の離脱は本当に痛いです。けれども、いつまでもそのことを嘆いていても仕方がないので、本人たちには万全の状態で早く復帰することを目指してほしいです。そして、若手選手たちには「今こそチャンスだ」という思いで、必死になってアピールしてほしいと思っているけど、まだまだ物足りない。「もっともっと闘争心むき出しでアピールしてほしい」というのが正直な思いです。
――開幕以来、監督はしばしば「今は我慢の時期だ」と口にしています。そこには、「故障者が戻ってくるまで」とか、「若手選手が成長するまで」など、いろいろな意味があると思います。改めて、その意味を教えてください。
髙津 今日も、神宮球場に来るとき、車の中でいろいろ考えていたんですけど、表現としては「ずっと唇を噛みしめて、奥歯ギリギリいってる状態」だと理解してください。これも僕の仕事の一部ですけど、苦しい状況にあっても冷静な判断をしていかなきゃいけないし、コーチの意見を採り入れて最善の策を尽くすこともそうだし、選手たちにいろいろなことを伝えていかなきゃいけないとも思っています。今は、いろいろ僕も勉強しているし、選手もしんどい思いをしながら頑張っている。「あのときの我慢が、今に繋がっているね」というときは必ず来る。それを信じて今は待っています、我慢しています。
――その一方で、石川雅規投手は「24年連続勝利」を記録し、5月4日の阪神タイガース戦でも2勝目を記録しました。石川投手についてはどのようにご覧になっていますか?
髙津 石川はね……、表現が難しいな。彼については、入団時から知っているし、一緒に現役時代も過ごしていますから、良いところも悪いところも、僕はほぼわかっていると思っています。だから、逆に判断がしやすいです。「今日は本来の持ち味を出せているな」とか、「これもうちょっといけるな」とか、「次の登板はこのぐらいでいけそうだな」とか、「もう今日は全然ダメな日だな」とか。
――入団時から石川投手のことを見てきて、改めて「2025年の石川雅規」についての感想を教えてください。
髙津 まずは45歳まで、第一線で戦えるコンディション作りをしていることがすごいと思います。昔と比べると当然、1試合投げた後の疲労度は大きく違うとは思うけど、「それを口に出さずに食いしばって頑張っているな」というところはすごく感じますね。できれば他の若い投手陣にこれを感じてほしいなと思うんですが、うちの投手陣のほとんどの選手がのんびり屋さんなので、「もうちょっと危機感を持ってほしいな」と思いますね、正直。