東京ヤクルトスワローズ 髙津流マネジメント2025

新外国人の奮闘、山田哲人の復調――
「開幕3連敗から粘り強く戦えている」

リーグ2制覇達成から、2年連続5位に沈んだ東京ヤクルトスワローズ。怪我人は絶えず、投打ともに大不調にあえぎ、指揮官髙津監督も大いに苦しむこととなった。
今シーズン「捲土重来」というスローガンを掲げた髙津監督は、どんなビジョンでチーム再建を図るのか。本連載では、今年もインタビュアーに長谷川晶一氏を迎え、復活にかける髙津監督のマネジメント術をお届けしていく。

(インタビュアー:長谷川晶一)

――開幕から2週間が経過しました。開幕カードとなるジャイアンツ3連戦では3連敗スタートとなりましたが、その後すぐに1引き分けを挟んで3連勝するなど、一進一退の戦いが続いています。ここまでの戦いぶりをどう見ていますか?

髙津 ジャイアンツに対してはふがいない戦いをしてしまったけれど、それでも神宮に戻ってからはうちらしい泥臭い戦いはできたと思います。3日の広島戦では小川(泰弘)が文句のつけようのないピッチングを見せてくれました。オープン時点ではモタモタしている感じがあったし、開幕ローテーションの6番目に何とか入ったけど、みんなのお手本になるようなピッチングをしてくれました。4日の中日戦は引き分けに終わりました。ずっとやられっ放しだった髙橋宏斗投手に対して、難しいゲームだったけど負けなかった。選手たちは頑張っていると思います。

――雨天中止となってしまいましたが、本拠地開幕戦となる1日の広島戦には石川雅規投手を指名しました(結果、9日阪神戦の登板で24年連続勝利を達成!)。前回のお話では「開幕戦を奥川恭伸に託したのは、いろいろなメッセージを込めたかったから」と言っていましたが、「神宮開幕を石川に」というのも、監督からのメッセージが込められているのでしょうか?

髙津 もちろんです。プロ24年目、ここまで長くやってきて、「球界最年長だ」とか、「200勝まであと14勝だ」とか、いろいろ言われているけど、そういうのは抜きにして考えないと、本人はもちろん、他の選手にも失礼だと思っているので、そうしたことに意識はありません。本当に実力勝負の戦いの中で、石川はしっかり答えを出しました。キャンプから、オープン戦から、最高の答えを出したので、そこはもうシンプルに「石川に任せよう」と判断したので、彼を指名しました。なんなら「石川じゃないとダメかもしれない」という思いすらあったので、神宮開幕戦での登板を任せました。結果的に雨天中止となってしまいましたけど……。

――「石川じゃないとダメかもしれない」という言葉にこそ、髙津監督の強い思いが込められているように感じられます。

髙津 まさにその通りですよ。「スペシャルな日にはスペシャルな選手を」という思いですよ。当然、相手チームとの相性であったり、相手の先発投手だったり、球場だったり、いろいろなことを考えて、その日に最適な投手を起用するという決め方もあるだろうし、いろんな意見や考え方もあるかもしれないけど、今回に限っては少なくともそれだけではなく、それ以上のメッセージを込めて指名したと思っていただいて構いません。

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プロフィール

髙津臣吾
髙津臣吾

1968年広島県生まれ。東京ヤクルトスワローズ監督。広島工業高校卒業後、亜細亜大学に進学。90年ドラフト3位でスワローズに入団。93年ストッパーに転向し、20セーブを挙げチームの日本一に貢献。その後、4度の最優秀救援投手に輝く。2004年シカゴ・ホワイトソックスへ移籍、クローザーを務める。開幕から24試合連続無失点を続け、「ミスターゼロ」のニックネームでファンを熱狂させた。日本プロ野球、メジャーリーグ、韓国プロ野球、台湾プロ野球を経験した初の日本人選手。14年スワローズ一軍投手コーチに就任。15年セ・リーグ優勝。17年に2軍監督に就任、2020年より現職。

著書

明るく楽しく、強いチームをつくるために僕が考えてきたこと

明るく楽しく、強いチームをつくるために僕が考えてきたこと

髙津臣吾 /
2021年、20年ぶりの日本一へとチームを導いた東京ヤクルトスワローズ髙津臣吾監...
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