リーグ2制覇達成から、2年連続5位に沈んだ東京ヤクルトスワローズ。怪我人は絶えず、投打ともに大不調にあえぎ、指揮官髙津監督も大いに苦しむこととなった。
今シーズン「捲土重来」というスローガンを掲げた髙津監督は、どんなビジョンでチーム再建を図るのか。本連載では、今年もインタビュアーに長谷川晶一氏を迎え、復活にかける髙津監督のマネジメント術をお届けしていく。
(インタビュアー:長谷川晶一)
――監督就任と同時に始まったこの連載も6年目となります。監督として、6回目の開幕を迎えましたが、例年と比べて心境の変化などはありますか?
髙津 違い、変化か……。そうですね、これまではコーチたちに任せることもたくさんあって、その中で自分で決めなきゃいけない部分もいろいろありました。だけど、多くのことをコーチ任せ、人任せにするのも、他者に責任を転嫁しているような気がするんです。だから、自分で言うのはちょっと恥ずかしいですけども、今まで以上に強いリーダーシップを発揮するというか、今年は積極的に自ら動いていこうと考えています。言い方は難しいけど、もちろんコーチたちを信頼し相談はしていくけれども、もっと自分でグイグイ引っ張っていきたいし、自分で物事を発信して、決断、判断していこうと思っています。

――例年と違って、「今まで以上にリーダーシップを」という心境の変化には何かきっかけや理由があるんですか?
髙津 実際のところ、2年続けてチームとして結果が残せていない。だから、言葉は難しいですけど、せっかくチームを預かっているからには、「自分のチームだ」と思っているので、やっぱり自分の思うように動かしたいと考えています。もちろんその分、責任を自覚して、チームを進めていきたい。そんな気持ちが強いですね。
――2月の春季キャンプ中には衣笠剛会長がご逝去され、つば九郎を支えてきた担当者の訃報も舞い込みました。チームとしても、ファンとしても、例年とはまた違った心境で迎える開幕となりましたが、こうしたことは心境の変化に影響はありますか?
髙津 チームにとって大切な方が亡くなってしまったということはとても大きな影響があります。だけど、すごく失礼な言い方になるかもしれないけれど、朝が来たら、新しい一日が始まり、新しい戦いが待っている。いつまでも同じところにとどまっておくことができないんです。常にチームは進んでいかなきゃいけない。だから、もちろん胸に秘めている思いはたくさんあるけれども、「それでも前に進んでいく」という気持ちが大切なのかなと思っています。とは言え、開幕を迎えて試合が進んでいく中で、節目節目でいろいろなことを思い出したり、寂しく感じたりすることはたくさんあると思います。でも、それをあえて口に出したり、態度に出したり、選手や他の人に気付かれてしまうようなことでは絶対ダメ。チームにとって悲しい出来事だったけど、「それでも前に進んでいかなきゃいけない」と強く思っています。