2026年が幕を開けた。今年は注目の国際大会が相次いで開かれるスポーツの年と言っていい。
2月から冬季オリンピック(五輪)・パラリンピックがイタリア・ミラノを中心に開催され、3月には日本が連覇を目指す野球のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)が行われる。さらに6月にはサッカーの世界一を決めるワールドカップ(W杯)が米国・メキシコ・カナダの16会場で開催され、秋には名古屋でアジア最大のスポーツの祭典、アジア競技大会が控えている。
スポーツの国際大会はメディア、とりわけテレビの放映を通じてあまねく世界に広まってきた。日本では昨年、放送開始から100年の節目の年を迎え、ラジオ、テレビがスポーツ振興に果たしてきた役割、功績についてさまざまに報じられた。だが、1世紀を超えた今、地殻変動ともいうべき新しい動きが急速に広まってきた。
インターネットの発展に伴い、さまざまな形で情報の伝達、拡散のツールが誕生し、テレビというメディアを置き去りにする傾向が顕著に表れるようになってきた。その象徴ともいえるのが3月に行われる第6回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の放映問題である。
大会を主催するワールド・ベースボール・クラシック・インク(WBSI)から日本戦を含む全試合の独占配信権を獲得したのが米国の動画配信大手、Netflixだった。ネットの配信契約を結べば日本でもWBCの全試合を見ることができるが、テレビの生中継はなし。これまでのようにテレビの前で日本選手の活躍に一喜一憂していたファン層にはショックな出来事となった。
こうした事態は果たしてWBCに限ったことなのだろうか。
NetflixがWBCの日本独占配信決定を発表したのは昨年8月だった。「地上波テレビで試合を見ることができなくなる」という衝撃のニュースは、野球ファンだけではなく、多くの国民に驚きをもって受け止められた。
大谷翔平らの活躍で日本が3大会ぶりに王座へ返り咲いた23年の第5回大会は、地上波テレビはテレビ朝日とTBSが放映、CS放送はJSPORTSが全試合を放送した。06年の第1回大会から日本側の受け皿として大会運営に協力してきた読売新聞社がWBCIと協議し、日本国内のテレビ局による放映を実現させてきた。しかし、読売新聞社によると今回は読売新聞社への事前連絡はなく、頭越しにWBCIとNetflixの間で放映権交渉が行われ決まったという。
WBCIは06年の第1回大会を開催するため、大リーグ機構と選手会が共同で立ち上げた組織だ。WBCの興行権、放映権やスポンサーとの交渉などすべての権限を有し、WBCにまつわるビジネスのすべてを取り仕切っている。
今から10年余り前、WBCの構想が明らかになった時、日本国内では「シーズン前の花相撲」と、否定的な見方が強かった。公式戦の開幕前、メジャーの主力選手が本気で戦うだろうか、という疑問に加え、30球団のオーナーの中にも「開幕前の大事な時期に選手がケガをしたら」と否定的な声が強いと伝わってきた。
日本プロ野球選手会も不参加を機関決定した。そんな中、日米野球を通じてつながりのある読売新聞がWBCIに協力し、大会の実現にこぎつけた経緯がある。
第1回大会は、多国籍化した大リーガーを出身国・地域別に分け、「国際大会」の装いを施したものの、さまざまな不備が露呈した。投手の投球数にさまざまな制限を設けたため、練習試合の印象が強い試合となった。