――今季のスローガンである「捲土重来」は、ファンからの公募を基に、監督自身が最終決定したということですが、この「捲土重来」に込めた思いというのは?
髙津 今回、公募という形にしたのは「ファンのみなさんと考えを合わせて戦っていけないか」というところからのスタートで、たくさんの応募の中から僕が選ばせてもらいました。これに決めた理由は、「まさに今のチームにフィットするのはこの言葉だな」と思ったからです。「捲土重来」というのは、野村克也監督が1997年に口にしたスローガンです。あの年も今年と似ていました。シーズン前の下馬評は低かった。そして、東京ドームで開幕を迎えました。ジャイアンツの大エース・斎藤雅樹さんを打ち崩して、新しく入った人が活躍して、開幕カードを2勝1敗で勝ち越して、そこから勢いに乗ったシーズンでした。こじつけかもしれないけど、今年の開幕は東京ドームで3連戦なので、何とか相手先発の戸郷翔征選手をやっつけて、ジャイアンツをやっつけて、いいスタートを切って、いいシーズンを過ごしたい。そんな思いを持っています。
――さて、大事な大事な開幕戦のマウンドを奥川恭伸投手に託すことを決めました。マスコミへの公表は12球団最後でしたが、決めたのはいつ頃だったんですか?
髙津 キャンプ中には決めてはいないです。ただ、開幕の3つを誰に投げさせるか、次のカープ戦の初戦となる火曜日は誰がいいかとか、常にいろんなことをイメージしていました。基本にあったのは「気持ちを込めて、スタートの3連戦を戦いたい」という思いです。元々、キャンプの段階で、「奥川、吉村貢司郎、高橋奎二、この3人に投げさせよう」と思っていました。ただ、途中でヤス(奥川)がちょっとリタイアして、再考を余儀なくされたと思ったんですけど、意外にも軽症で戻ってこれたので、ホッとしました。最終的にヤスに決めたのは3月1日のジャイアンツタウンで登板して2イニングを投げたときに「これでいけるんじゃないかな」と思って、決断しました。
――キャンプ中、奥川選手が離脱したとき、監督はかなり悲観的な発言をしました。でも、すぐにキャッチボールを始めたり、ブルペンに入ったり、軽傷であることが判明しました。あれは監督なりの陽動作戦だったのですか?
髙津 いえいえ、それはないです(笑)。本当に「これは当分ダメだ」と思っていたんだけど、完全に嬉しい誤算でした。当初の動きを見ても、すぐに投げられるようになるとは思っていなかったし、本人も多分そうだったと思います。相当ショックが大きかったと思いますね。ただ、劇的にいい方向に向かっていったというのが事実です。本人もそんなにすぐに動けるようになるとは思っていなかったと思いますね。
