迷えるオトナ女子のための自分らしさのトリセツ

「なぜか疲れる」の正体は、無意識の「同調」でした――人に合わせるのをやめて、自由に生きるヒント

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わたしたちの無意識に潜む「同調性」

あなたは、「人と違うことをしたくない」「周りと同じだと安心」と思うことはありませんか。自分だけ周りと違っていると、まるで自分が間違っているのではないかと不安になりますよね。何かを決めたり行動したりするとき、多数派に合わせておくと大きな失敗をしなくて済むと感じられますし、もしかしたら間違っているかもと思い悩むことも軽減できるような気がします。

子どものころから、はみ出さないように、浮かないように、周りに合わせて行動することで身を守ってきた人は、大人になってからも「同調性」のクセが身についています。「同調性」とは、周りの人と同じ意見や行動を選択する心理のことを指します。

SNSで動画を投稿するために流行のショップや食べ物を撮影することはありませんか。
服や髪形などを選ぶときインフルエンサーのファッションを参考にすることもあると思います。
仲間とランチに行ったとき、本当はオムライスが食べたいのに、周りの人がみんなAランチを注文するので自分も同じAランチを頼んだ経験はありませんか。

「同調性」の心理は、私たちの生活から切っても切り離せないほど影響を与えています。趣味や習い事も、みんなと同じが間違いないだろうと始める、など行動や考え方の基準が「他者」になっていることのなんと多いことか。
私たちは、自分が何をしたいか、何に興味があるかを自分に問いかけて明確にする前に、無意識のうちに周りに同調し、行動を選択することが多くあります。
特に、子どものころからずっと、同調して行動を選択することを長年続けていると、自分の本心が自分でもわからなくなることがあるのです。

自分の個性が見つからないEさん

Eさんは、子どもの頃から成績は普通、友達もいて、部活帰りに仲間と寄り道をするなど楽しい学生生活を送っていました。友達グループでの話題に気を配り、共通の話題についていけるように動画を見たりSNSをチェックしたりしていました。おかげで流行のファッションや食べ物を楽しむこともできました。
そうやって、人と同じであることが大事だと思って生きてきたのです。人と同じだと仲間意識を感じることができますし、共通の話題で楽しむこともできます。人と同じということは、安心して環境に馴染むための通行手形だと感じていたのです。

ところが就職活動で初めて人生の難関にぶち当たります。
自分はこれまで何をして生きてきたのだろう、自分のアピールポイントが見当たらないと感じたのです。今までは、人と同じであることが重要だったのに、人との違い、自分ならではの魅力は何ですかと急に問われても、よくわからない。自分の個性ってなんだろう。特技ってなんだろう、と迷い始めました。
Eさんは、とにかく就活攻略サイトを駆使してセミナーを受講し、手当たり次第にエントリーして、面接に慣れていきました。
次第にコツを掴み、晴れて社会人になれたのです。

社会人になり、新しい環境に慣れるまで大変なこともありましたが、少し余裕が出てきたので、習い事を始めてみようとジムやヨガの体験教室に申し込んだところです。健康的な体づくりが流行っていますし、カッコいい体型になると気分も上がると考えたからです。

このように、Eさんは経済的に独立し大きな悩みもなく順調に日々を過ごしているように感じていますが、やはり今も本当に自分がやりたいことが何なのかはわからないままです。仕事にやりがいを感じるわけではありませんし、将来の夢も明確なものはありません。これでいいのかな、とふと頭に疑問がよぎることもありますが、深く追求することなく日々の生活に追われて、なんとか今日も過ごしています。

Eさんのように「自分は何がしたいのかわからない」と漠然と思いながらも、つつがなく日常を送る人は、大勢いることでしょう。そのこと自体は、全く問題ありません。
もしも、自分と向き合う余裕があるならば、同調行動を選択する自分に気づいてみましょう。そして、「本当は何がしたい?」と自分に問いかけてみてくださいね。

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プロフィール

高井祐子
高井祐子

神戸心理療法センター代表。公認心理師。臨床心理士。アンガーマネジメントファシリテーター。主に認知行動療法、マインドフルネスを用いて個人心理療法をおこなう。20年のカウンセラー歴を持ち、2025年4月までに、のべ15,602名と関わる。オンラインカウンセリングでは、日本全国のみならず海外からの相談に対応、グローバルに「こころの専門家」として活動している。著書に『認知行動療法で「なりたい自分」になる』(創元社)、『「自分の感情」の整えかた・切り替えかた』(大和出版)、『ラクに生きるための「心の地図」』(ナツメ社)などがある。

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