Z世代を甘やかすな

「これで会社は困るだろうなあ」Z世代社員が「退職代行」と「静かな退職」で失ったもの

2026.05.15 公式 Z世代を甘やかすな 第11回
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「残業したくないんですよね」「それって僕の仕事ですか?」「飲み会ダルいんで行きたくないです」「そのやり方タイパ悪くないですか?」

指示は素直に聞かず、指導をすれば「それってパワハラですよね?」と口答え。世間は「価値観のアップデート」を強いてきて、Z世代への指導はどんどん弱腰になってしまう。好き勝手にふるまうZ世代部下のおかげで、職場の空気は弛緩する一方です。つけあがってさらにモンスター化するZ世代部下は、あらゆる職場に出現し、管理職を困らせています。そんな現状に、ビジネスライターの黒坂岳央さんは「Z世代を甘やかしてはならない」と警鐘を鳴らします。Z世代部下にかき回された職場を正常化するために、Z世代を甘やかさない、毅然としたコミュニケーションを身につけましょう。

ある日突然出社してこなくなるZ世代社員

Z世代社員の指導に、多くの管理職は戦々恐々としている。仕事上の不備を注意すれば「それってハラスメントですか?」、初歩的な仕事を頼めば「それって僕の仕事ですか?」と言いたい放題。それでも根気よく指導を続けているある日、Z世代社員は出社してこず、人事部に1本の電話が入る。「退職代行サービスです。御社の〇〇さんからのご依頼です」と。

退職代行は、数万円の費用を払えば本人の代わりに業者が会社へ退職の意思を伝え、以降は会社の人と一切顔を合わせずに辞めることができるサービスだ。SNSなどでは「辞めさせない会社が悪い」「立場が弱い従業員を守る正当な権利だ」と企業を叩く声が優勢に見える。もちろん、離職票を出さない、脅しのような引き留めを行うといった悪質なブラック企業に対しては、代行を使ってサクッと辞めるべきだろう。だが、親切に指導してきたにもかかわらず、「交渉が面倒だから」という理由だけで、引き継ぎも連絡もゼロで、一方的に姿を消す「バックレ型退職代行」のケースも確実に存在する。この場合、圧倒的な被害者は企業であり、仕事を丸投げされた同僚であり、担当を失った顧客である。

退職代行の利用者の約6割が20代

退職代行業者「モームリ」が公開したデータによると、累計約1万6000人の利用者のうち、20代が約6割(60.9%)を占める一方、40代はわずか8.4%に過ぎない。金銭的な余裕は40代の方があるにもかかわらず、利用率には約7倍もの開きがある。「40代はそもそも転職しないから、利用率が低いのは当然だ」という反論が聞こえてきそうだが、データで検証してみよう。厚生労働省の「雇用動向調査(2023年)」によれば、20代前半と40代前半の転職入職率の差は約2.5倍である。転職頻度の差(2.5倍)で、退職代行の利用率の差(7倍)を割ってみると、どうしても説明できない約4〜5倍分の「残差」が残る。つまり、「転職しないから使わない」という理屈だけでは到底説明がつかないほど、20代の退職代行への依存度は統計的に突出しているのだ。

この強烈な非対称性を生んでいるのは、「対話コスト」に対する世代固有の感覚の違いである。上の世代にとって、上司への報告、引き留めの回避、最終日までの気まずい空気といった感情労働は、理不尽であっても「退職時の通過儀礼(払うべきコスト)」として内面化されてきた。ところがZ世代にとって、この対話コストは「3万円で業者に外注できるもの」に過ぎない。デジタル空間で嫌な相手をワンタップで「ブロック」するように、お金を払って現実の人間関係を強制終了させるのである。

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プロフィール

黒坂岳央
黒坂岳央

1981年大阪府生まれ。実業家。学生時代から人間関係でなめられることに苦しみ、社会に出ても理不尽な扱いを受け続けた経験を持つ。しかし、その経験を逆手に取り、なめられないための戦略を研究、体系化した。現在は、本業のかたわら、アゴラ、プレジデント、Yahoo!ニュースなどネットメディアでニュース・オピニオン記事を執筆し、PVの最高値は1記事で150万PV超。テレビ朝日系、TBSラジオなどテレビ・ラジオ番組にも多数出演している。なめられる弱者だった立場から、自らを研究対象として積み上げてきた経験を土台に本書を執筆している。

著書

なめてくるバカを黙らせる技術

黒坂岳央 /
世の中「なめてくるバカ」が多すぎて、共感、感動、絶賛の声殺到! 大人気Web連...
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