話が面白い人はそれだけで魅力的です。職場でも学校でも、テレビの世界でも動画の世界でも、頭一つ抜けて人気者になるのは、やはり話が面白い人です。また、話が面白い人はビジネスにおいても高いパフォーマンスを発揮することが多く、会社で重宝され、出世するのも早いと言われています。 さらに、AIの進化にともない、あらゆる人間の活動がAIに代替されるようになりましたが、AIは面白く話すのがそれほど得意ではないようです。面白く話す力は、AIに代替されづらい、人間ならではの能力の一つだとされているのです。
では、どうしたら話が面白い人になれるのでしょうか。 この連載では、元QuizKnockで、登録者数31万人の大人気YouTuberのだいふくさんが、動画配信をするなかで培ってきた、AIには真似できない「話が面白い人になるための技術」を解説していきます。
今回の記事は、人に話を聞いてもらうためにもっとも重要と言っても過言ではない、自分が興味あることではなく「相手が興味あることを話す」の重要性についてです。
これは前回の「楽しそうに話す」に比べてとても難しいですが、この技術をマスターできれば話がうまくなるにとどまらず人生が何十倍も豊かになります。少し極端な言い方ではありますが、私がYouTubeでチャンネル登録者32万人を達成するために使った技術の大半は、「相手が興味あることを話す」ことでした。
「相手が興味あることを話す」と言っても、具体的にどうすればいいかイメージが湧かないと思うので、まずはよくある失敗例を出します。
皆さんの周りに自分が興味あることを一方的に話してくる人はいないでしょうか? たとえば、何人かで「昨日大阪行ってきたんだ~」という話をしているなかで、突然「新幹線が全然揺れないのはロングレールと言ってまったく継ぎ目がないからなんだよ! あと曲がるときに高速走行のままで走れるようにレールにカントという傾きがあって、さらに車両も傾くんだよ!」という鉄道オタク全開の話をする人がいたとします。その人の話を好意的に聞くことが可能でしょうか? ……難しいですよね。そもそも大阪へ行った人のお土産話を聞くフェーズだったこともあり、鉄道のニッチな話は聞く耳を持ってもらえないでしょう。
ただここでは、鉄道のレールの話がしたい彼がどうすれば、みんなに話を聞いてもらえるのかについて考えてみます。
まずは、大阪へ行ったという人の話を聞くべきでしょう。そしてそのあとで、みんなが興味がありそうな形で鉄道の話を差し込むのです。たとえば、人間誰しも「お得になる話」は聞きたいはずです。ということでまずは「大阪までの新幹線をお得に乗れる方法知ってる?」という導入をはさみます。その後、みんなが興味を持ってくれたらだんだん専門的な話にシフトしていけばいいのです。
簡単にまとめてみましたが、これが「相手が興味あることを話す」という技術の基礎です。「技術というほど大げさではない」という反論はライフで受けますが、私は重要な技術の一つだと思っています。日々の積み重ねが必要ではありますが、誰でも後天的に身につけることが可能です。
「相手が興味あることを話す」のは、話を聞いてもらいたいのであればいつだって重要ですが、この記事を読んでいる方で特に効果が高そうなのは営業の場面だと思います。
営業の際に一方的に自分の商品のよさを語り続けるだけのセールスマンは、その商品を売ることができません。ちゃんと相手の立場に立って適切なタイミングで適切な引き出しを使う必要があります。ということはつまり、まずは相手が何を求めているのかのヒアリングを自然に行うことが大切です。
本を相手に売る場合、『ドラえもん』に出てくるのび太君に超難しい専門書が売れるでしょうか? のび太君にはおもちゃ関連の本の紹介を、出木杉君には専門書の紹介をしたほうが売れそうですよね。
こんなふうにオススメの本まで簡単にイメージできてしまうのは、私たちがマンガやアニメを通してのび太君と出木杉君のことをよく知っているからです。
営業であれば、これに近いレベルでお客さんごとのイメージを適切に行う必要があります。そのために、まずは会話の中で「相手が何を求めているか」を考え続けましょう。この相手目線で考え続けることが「相手が興味あることを話す」力につながっていくのです。
プレゼンにおいても同じです。プレゼンは自分が話したい内容を話す場だと思われがちですが、じつは違います。相手が何を求めているかを察知して、見せ方を変える必要があるのです。
私は理系の大学院を出ておりますが、同じ論文の発表をする場合でも研究のプレゼンをする際にスライドを変えてプレゼンしていました。学生が多い10分程度の研究発表の場合、あえて本説明は簡単な概要説明や理解のしやすい例の発表のみに留め、より深い内容については教授からの質疑応答の時間で話しました。逆に聴講者に専門家が多い場合は、例などは少なめにして専門的な内容を増やしました。スライドの内容も前者では図のスライドを増やし、後者では多少読みにくくなっても文字での詳しい解説を増やしました。
このように相手目線に立って内容を変えることで大学院でも高い評価を得ることができました。