「残業したくないんですよね」「それって僕の仕事ですか?」「飲み会ダルいんで行きたくないです」「そのやり方タイパ悪くないですか?」
指示は素直に聞かず、指導をすれば「それってパワハラですよね?」と口答え。世間は「価値観のアップデート」を強いてきて、Z世代への指導はどんどん弱腰になってしまう。好き勝手にふるまうZ世代部下のおかげで、職場の空気は弛緩する一方です。つけあがってさらにモンスター化するZ世代部下は、あらゆる職場に出現し、管理職を困らせています。そんな現状に、ビジネスライターの黒坂岳央さんは「Z世代を甘やかしてはならない」と警鐘を鳴らします。Z世代部下にかき回された職場を正常化するために、Z世代を甘やかさない、毅然としたコミュニケーションを身につけましょう。
「今年の新卒は使えない」。このような発言はここ数年繰り返されている。挨拶はしない、遅刻はする。指導をすれば「パワハラですか?」。仕事を振れば「これ、僕の仕事じゃないですよね?」。放っておけば「この会社って成長できないですね」と言い放ち、退職代行で去っていく。このようなZ世代社員の扱いに手を焼く管理職は、モンスターZ世代社員本人にも腹を立てながらもこう思うはずだ。「なぜ、これほどまでに主体性がなく、他責思考で、ストレス耐性の低い人間が、我が社の採用フィルターをすり抜け、現場に送り込まれてくるのか?」。そして、その怒りは身内にも向く。「いったい、人事部は何をやっているんだ!」と。
もちろん、新入社員を採用するうえで、役員や社長も意思決定にかかわっており、人事部だけに責任があるわけではない。しかし、エントリーシートの下読みや、一次選考通過者の選定、面接時シートの作成などは人事部が担当する。そのうえで、役員や社長は一番「マシな」人材を選ぶシステムだ。であれば、人事部が初期の選考でかけているはずの「ふるい」が機能しておらず、「ザル」になっているのではないか。Z世代社員の対応でボロボロになった管理職が、そう疑ってしまうのも無理はない。
しかし、社会構造を分析すれば、人事部だけが悪いわけではなく、現代の採用システム自体が、「ハリボテ人材を高く評価してしまう構造的バグ」を抱えているのがわかる。まず、採用活動に欠かせない「面接」だが、これはほとんど機能していないといってよい。かつては、ストレス耐性を測るためにあえて圧迫的な態度をとったり、予測不能な問いを投げかけて頭の回転や感情のコントロール力を試す手法が存在した。その手法の是非は別として、スクリーニングの意図は明確にあった。
しかし現代の人事はSNSによる炎上を恐れている。実際、就活生らしきアカウントが「〇〇社に圧迫面接をされた。もうここの商品は買いません」「××社の面接官はこんな非常識なメールを送ってきた」と社名を明らかにして糾弾している投稿は多い。その投稿のカジュアルさに反して、その会社が炎上し、問い合わせフォームがパンクしたり、社員の個人情報がさらされたり、最悪の場合は不買運動につながるなど、影響は深刻である。
そのため、面接官に対して「候補者を不快にさせる質問の厳禁」「プライベートな領域への踏み込み禁止」が徹底的に指導されている。実際、その恐怖心に間違いはなく、株式会社KiteRaの『就活セクハラに関する意識調査』によると、求職者全体の41・2%が面談や面接のやりとりを無断で録音・記録をしているという。現場の面接官は常に炎上の恐怖と隣り合わせにいることは間違いない。
結果、自衛として、面接官は絶対に炎上しない「当たり障りのない対話」に終始せざるを得ない。面接は、候補者の本質をえぐり出す場から、候補者に自社の魅力をアピールして機嫌よく帰ってもらうためのお客様対応の場へと変貌したのである。