光電融合の優れた特徴としては、他にどのような点があるのか。
「光電融合と同じぐらいの処理速度を電子回路だけで実現しようとすると、電気回線1本あたりの速度が遅いので回線をたくさん並べる必要があります。光の場合は回線1本あたりの速度が速いので、多くの配線を必要とせず、小型化につながり、消費電力の抑制にもつながります。同じ土俵では比較できないので単純にはいえませんが、データセンターの情報処理にかかる消費電力としては、光電融合を使うと、使わない場合に比べて5分の1~10分の1くらいになるといわれています」
実用化・普及はいつ頃になるのか。
「来年にもすぐ実用化が進むというペースではなく、数年はかかるのではないでしょうか。実際に販売していく際には、導入する企業側は『本当に信頼性は大丈夫なのか』『信頼性をどのように保証するのか』『品質は何年保証されるのか』といった点を検証する必要があり、またコストの問題もあるので、実用化までは数年はかかるのではないでしょうか。関連事業者は急いで開発を進めているので想定以上に早く実用化される可能性はありますが、2030年というところが1つのターゲットになってくるとみられています」
気になるのは、光電融合の領域で日本企業がどれだけのプレゼンスを保つことができるのかという点だ。
「半導体関連の部品や製造装置の市場では日本メーカーは高いシェアを持っており、エヌビディアなどの製品にも日本メーカーの部品・部材が多く採用されており、その意味では日本のプレゼンスは非常に高いのは事実です。ただ、日本は最終製品としてのxPUは弱く、そこが大きな課題です。納入業者的な位置づけで終わってしまわないためにも、xPU周辺の高い技術をまとめて提供できるという形態を目指して、我々も今、企業と連携して取り組みを進めているところです」
(文=BUSINESS JOURNAL編集部、協力=西山伸彦/東京科学大学 工学院 教授)