ドコモの最上位カード、1年未満で100万会員突破…ステータスより実利の時代に

 実際、dカード PLATINUMはマネックス証券での積立投資に対し、最大3.1%のポイント還元を提供している。資産形成をしながらポイントも貯まる――この「二重の利得」が、合理的な消費者の心を掴んだ。

「ユーザーの中には、経済に非常に明るい方が多くいらっしゃいます。インフレが2%、3%進めば、資産価値は目減りしていく。それを超えるポイント還元を設定すれば、インフレ分を取り戻せるわけです」

 キャッシュレス決済の定着も追い風となった。市場調査のデータでは、日本でも半数以上がタッチ決済を利用しており、スマホ決済へのシフトが加速している。

「クレジットカードの発行には、それなりのコストがかかります。スマートフォンがそれを代替できるなら、浮いたコストをユーザーの特典に回せる。事業者とユーザー、双方にとってウィンウィンです」

 物理カードの製造費、郵送費などのコスト削減分を還元率向上に振り向けることも視野に入れている。事業者とユーザー双方にメリットをもたらすこの構造が、年会費2万9700円で特定条件下では最大20%還元という「常識外れ」の特典設計を可能にしているのだ。

1年未満で100万会員、想定を超えた成長

 dカード PLATINUMは2024年11月25日にサービスを開始し、2025年10月30日に100万会員を突破した。この成長速度について、江藤氏は率直に語る。

「社内目標として、早期に100万会員を達成したいとは考えていましたが、1年未満での達成は、正直なところ想定していませんでした」

 急成長の要因は、市場の変化というより「潜在需要の顕在化」だったという。

「これまでゴールドとレギュラーという2枚看板で展開してきましたが、ユーザーのニーズは多様化しています。少額の年会費を払ってでも、お得額でペイするのであればやってみたいという層が、潜在的に存在していたのです」

 現在、dカードゴールドの会員数は1000万を超えている。100万のプラチナ会員は、その上位10%が「年会費を払ってでも、より高い還元を得たい」という明確な意思を持ってアップグレードした結果だ。そして江藤氏は、残る900万のゴールド会員に対し、「ゴールドとプラチナの違いをどううまく見せていくのか」が今後の鍵になると見ている。この巨大な潜在市場をどう取り込むか――dカード PLATINUMの挑戦は、まだ緒に就いたばかりである。

エンタメ特典が描く「推し活経済圏」

 dカード PLATINUMの特徴のひとつが、エンタメ特典の充実だ。人気アーティストのライブやスポーツ観戦チケットの先行抽選、IGアリーナでの割引特典などを提供している。

「音楽が好きな方は年齢を問わずいらっしゃいます。エンタメとカードの相性は非常に良いと感じています」

 では「推し活」などは、ユーザーのカード利用を促進するジャンルではないか。そう訊ねたところ、江藤氏はこう答えた。

「推しのアーティストが北海道でコンサートをするなら、航空券も宿泊も予約する。コンビニで食事も買う。これらすべてをカードで決済すれば、便利でお得だと実感してもらえます」

 不景気と言われる中でも、エンタメ支出は伸びている。心の充足を求める現代人にとって、エンタメは削れない支出だ。dカード PLATINUMは、この領域に戦略的に投資しているのだ。

ゴールド1000万会員が示す潜在市場

 現在のメインターゲットは、ゴールドカードの上位層だ。

「ゴールドで10%還元しているのに、プラチナでそれ以上の還元率がないとインパクトがない。dカードはドコモが出しているという認知があるので、携帯電話料金の部分で特典に差をつけることにしました」