ドコモ利用料金に対する10%、15%、最大20%の還元率は、この発想から生まれた。ドコモショップでの販売を考えると、特典の分かりやすさも重要だった。
ユーザー層としては、40代・50代の男性世帯主が中心だが、家族カードを含めた利用が多いという。
「長くドコモ回線を使っていただくのと同様に、長くドコモの金融サービスもご利用いただきたいと考えています」
携帯電話を起点に、子供の独立時には電気も……という形で、世代を超えた利用を目指している。
インタビューの最後、江藤氏に10年後のビジョンを尋ねた。その答えは、決済の本質的な未来を示唆していた。
「10年後、決済は今以上にユーザーが意識しないものになっているでしょう。買い物をして決済する、という行為が今は分離していますが、これが一体化していくと考えています」
顔認証による自動決済、スマホ操作すら不要な購買体験――決済は生活に溶け込み、意識されない存在になる。
「お客様の生活に染み込んで、意識されないものになっている。そんな未来が来るのではないでしょうか」
その中で重要になるのが、AIエージェントだと江藤氏は語る。
「ユーザーによって、割引率が大事な人とポイント付与が大事な人に分かれます。商材によっても違う。『このバッグが欲しいけれど、どこでいつ買ったら一番安く買えるか』といった問いに、金融決済エージェントが答えてくれる時代が来ます。『3ヶ月待てば割引になる。そこで10%ポイントがつくから、ここで買うのが最適です』というように」
AIが最適な購買タイミングを提案し、自動的に決済まで完了する。ユーザーは「気づいたらこのカードを使っていてよかった」という体験を月に何度も得る――それが江藤氏の描く未来だ。
「10年前は、AIオペレーターなんてSFだと思われていました。でも今や、人間よりも流暢に喋る。技術の進化は予想を超えて進んでいきます。想像力こそが重要です。新しいプロダクトや利便性の高いサービスを作っていく。それが我々に求められていることだと思います」
量子コンピューティングの実用化も2030年頃には見込まれている。複雑な問題も瞬時に解を返す時代が来る。そうした未来へ向けて、dカード PLATINUMの100万会員突破は、単なる通過点に過ぎない。ステータスから実利へ、そして実利すら意識しない自然な体験へ。プラチナカードの進化は、決済の未来そのものを映し出している。
(取材・文=昼間たかし/ルポライター、著作家)