三年の契約が切れましたので離縁状を置いて消えて差し上げます
貧乏子爵家の娘ファウニアは、病弱な姉の身代わりとして名門フロレンツィオ侯爵に嫁いだ。だが結婚当日に言い渡されたのは「愛など一欠片も与えない。三年間の契約期間が過ぎたら追い出す」という冷酷な言葉だった。
夫フロレンツィオは幼馴染の令嬢コルネリアを屋敷へ引き入れ、ファウニアを「日陰の身代わり妻」として蔑み、義母エルメリンダと共に虐げ続ける。
だが彼らは知らなかった。傾きかけていた侯爵家の莫大な借金を返済し、領地経済を奇跡的に建て直していたのが、ファウニアの卓越した実務能力であったことを。
そして約束の三年が満ちた朝、ファウニアは署名済みの離縁状を机に残し、自ら静かに姿を消す。
有能な妻を失った侯爵家は瞬く間に破滅へ突き進み、焦り狂ったフロレンツィオは血眼で彼女を探し始める。だが、ようやく見つけ出したファウニアの隣には、かつて彼女の才覚と高潔さに心を奪われ、ずっと待ち続けていた隣国の冷徹大公シルヴェリオの姿があった。
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