本当に妹のことを愛しているなら、落ちぶれた彼女に寄り添うべきなのではありませんか?

木山楽斗

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16.二人の影響

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 お父様達の話が落ち着いて、私はレヴォード様と庭に出てきていた。
 義理の兄になるはずだった彼と、私は今回の一件で以前よりも親しくなった。故にこうして、二人でゆっくりと話す場が設けられたのだ。

「正直な所、参っています。シェリダンとは友人ではありますが、こと今回の件において、容赦や情けというものはありません」
「そうですか……」
「まあ、それは当然のことではあります。ロンベルトは愚かなことをしました。ディレイル伯爵家は、サンダイン侯爵家に償わなければならない」

 レヴォード様は、首を横に振っていた。
 シェリダン様は、紳士的で優しい人ではある。私にも多大な気遣いをしてくれた。
 しかし同時に、貴族として割り切った判断ができる人だ。彼は常に、サンダイン侯爵家の利益になるように動くだろう。

「ただ今回の件に関しては、ある意味においてディレイル伯爵家を助けているともいえます」
「助けている、ですか……それはもしかして、ロンベルト様を追い詰めている、ということに関してでしょうか?」
「わかっていましたか。ええ、シェリダンはロンベルトを追放する大義名分を与えてくれたとも考えられるのです。まあ真意はわかりませんが……」

 シェリダン様は、恐らくどちらについても考えていたように思える。
 サンダイン侯爵家の利益になり、同時にロンベルト様という膿を、ディレイル伯爵家から排除できる。彼はそこまで含めてあの時煽ったのかもしれない。

「父上もロンベルトに関しては、様々な観点から家に置いておけないと思っているようです。今回の件で、奴の本性がよくわかりましたからね……」
「本性、ですか。レヴォード様やディレイル伯爵も知らなかったのですか?」
「ええ、どうやら思っていたよりも深い闇を弟は抱えていたようです」

 ロンベルト様の本性というものは、私を嘲笑うようなものであった。
 それをレヴォード様が認識していれば、きっと正したことだろう。彼は誠実な人だ。そういったことは、許さないはずである。

「あなたには迷惑をかけてしまいましたね。本当に申し訳ありませんでした。ロンベルトからひどいことも言われたそうで……」
「いえ、お気になさらないでください」
「父上も今回の件には、心を痛めています。僕としては、そんな父上を支えていきたい所です。色々とどうなるかはわかりませんが……」

 レヴォード様も、かなり今回の件で憔悴しているようだった。
 ロンベルト様とイネリアがやったことの影響は大きいといえる。それはこれからもきっと、尾を引いていくことだろう。
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