15 / 20
15.伯爵同士の話し合い
しおりを挟む
結局イネリアは、ラメルトン伯爵家から追い出されることになった。
自業自得ではあったが、屋敷から去っていく彼女の哀愁漂う背中というものは、物悲しいものではあった。もちろん私は同情している訳ではないが、見る人が見れば心を痛めるかもしれない。
そんな風に彼女が屋敷を去ってから少し経って、ラメルトン伯爵家には客人がやって来た。それはディレイル伯爵とレヴォード様だ。今回のことについて、話し合いに来たのである。
当事者の一人として、私もその話し合いの場に参加することになった。といっても、話は既についているといえる。手紙のやり取りなどで、どうするかは大体決まっているはずだからだ。
「今回の件で、あなた方には迷惑をかけてしまった。まずはそれを謝罪したい」
「その必要はありません。こちらのロンベルトも、勝手なことをしたという点では同じです」
ディレイル伯爵は、少しやつれているようだった。
それは恐らく、彼がラメルトン伯爵家以上に苦労しているからだろう。先日のロンベルト様とシェリダン様との一件は、中々に厄介なものだ。もしかしたら話が拗れているかもしれない。
「しかしだ。今回、我々はご子息との婚約をなきものにしなければならない。当然、そのことについての補償などはするつもりだが……」
「ロンベルトの行動が不適切であったということは理解している。そちらの家の娘に手を出した奴の行動は問題だ。故に手打ちとしてもらいたい。そもそも、ロンベルトは既にディレイル伯爵家に置いておけない。そういった状況ではないのだ」
ディレイル伯爵は、ゆっくりとため息をついた。
やはりロンベルト様の行動は、かなり問題となっているらしい。彼の方も、家から追放されるかもしれないようだ。
それらの結末というものは、シェリダン様の計算通りなのかもしれない。
彼はわざと煽って、ロンベルト様を怒らせていた。こうなることまで想定していてのことだったのではないかと、今となっては思えてくる。
「イネリア嬢は、既に追放したということだったが……」
「ああ、あれはラメルトン伯爵家に牙を向いた。その報いは受けさせなければならなかった」
「非情な判断ではあるが、我々には時にそういったことが必要という訳か」
「仕方ないことだ」
お父様もディレイル伯爵も、子供に対して情がないという訳ではないのだろう。
しかしそれでも、伯爵としての判断を優先している。私も何れ、そういった判断が求められるかもしれない。故に私は、二人のことをしっかりとその目に刻みつけておくのだった。
自業自得ではあったが、屋敷から去っていく彼女の哀愁漂う背中というものは、物悲しいものではあった。もちろん私は同情している訳ではないが、見る人が見れば心を痛めるかもしれない。
そんな風に彼女が屋敷を去ってから少し経って、ラメルトン伯爵家には客人がやって来た。それはディレイル伯爵とレヴォード様だ。今回のことについて、話し合いに来たのである。
当事者の一人として、私もその話し合いの場に参加することになった。といっても、話は既についているといえる。手紙のやり取りなどで、どうするかは大体決まっているはずだからだ。
「今回の件で、あなた方には迷惑をかけてしまった。まずはそれを謝罪したい」
「その必要はありません。こちらのロンベルトも、勝手なことをしたという点では同じです」
ディレイル伯爵は、少しやつれているようだった。
それは恐らく、彼がラメルトン伯爵家以上に苦労しているからだろう。先日のロンベルト様とシェリダン様との一件は、中々に厄介なものだ。もしかしたら話が拗れているかもしれない。
「しかしだ。今回、我々はご子息との婚約をなきものにしなければならない。当然、そのことについての補償などはするつもりだが……」
「ロンベルトの行動が不適切であったということは理解している。そちらの家の娘に手を出した奴の行動は問題だ。故に手打ちとしてもらいたい。そもそも、ロンベルトは既にディレイル伯爵家に置いておけない。そういった状況ではないのだ」
ディレイル伯爵は、ゆっくりとため息をついた。
やはりロンベルト様の行動は、かなり問題となっているらしい。彼の方も、家から追放されるかもしれないようだ。
それらの結末というものは、シェリダン様の計算通りなのかもしれない。
彼はわざと煽って、ロンベルト様を怒らせていた。こうなることまで想定していてのことだったのではないかと、今となっては思えてくる。
「イネリア嬢は、既に追放したということだったが……」
「ああ、あれはラメルトン伯爵家に牙を向いた。その報いは受けさせなければならなかった」
「非情な判断ではあるが、我々には時にそういったことが必要という訳か」
「仕方ないことだ」
お父様もディレイル伯爵も、子供に対して情がないという訳ではないのだろう。
しかしそれでも、伯爵としての判断を優先している。私も何れ、そういった判断が求められるかもしれない。故に私は、二人のことをしっかりとその目に刻みつけておくのだった。
502
あなたにおすすめの小説
平民とでも結婚すれば?と言われたので、隣国の王と結婚しました
ゆっこ
恋愛
「リリアーナ・ベルフォード、これまでの婚約は白紙に戻す」
その言葉を聞いた瞬間、私はようやく――心のどこかで予感していた結末に、静かに息を吐いた。
王太子アルベルト殿下。金糸の髪に、これ見よがしな笑み。彼の隣には、私が知っている顔がある。
――侯爵令嬢、ミレーユ・カスタニア。
学園で何かと殿下に寄り添い、私を「高慢な婚約者」と陰で嘲っていた令嬢だ。
「殿下、どういうことでしょう?」
私の声は驚くほど落ち着いていた。
「わたくしは、あなたの婚約者としてこれまで――」
【完結】仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──
夫から『お前を愛することはない』と言われたので、お返しついでに彼のお友達をお招きした結果。
古森真朝
ファンタジー
「クラリッサ・ベル・グレイヴィア伯爵令嬢、あらかじめ言っておく。
俺がお前を愛することは、この先決してない。期待など一切するな!」
新婚初日、花嫁に真っ向から言い放った新郎アドルフ。それに対して、クラリッサが返したのは――
※ぬるいですがホラー要素があります。苦手な方はご注意ください。
婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました
由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。
彼女は何も言わずにその場を去った。
――それが、王太子の終わりだった。
翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。
裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。
王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。
「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」
ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。
(完)イケメン侯爵嫡男様は、妹と間違えて私に告白したらしいー婚約解消ですか?嬉しいです!
青空一夏
恋愛
私は学園でも女生徒に憧れられているアール・シュトン候爵嫡男様に告白されました。
図書館でいきなり『愛している』と言われた私ですが、妹と勘違いされたようです?
全5話。ゆるふわ。
《完結》金貨5000枚で売られた王太子妃
ぜらちん黒糖
恋愛
「愛している。必ず迎えに行くから待っていてくれ」
甘い言葉を信じて、隣国へ「人質」となった王太子妃イザベラ。
旅立ちの前の晩、二人は愛し合い、イザベラのお腹には新しい命が宿った。すぐに夫に知らせた イザベラだったが、夫から届いた返信は、信じられない内容だった。
「それは本当に私の子供なのか?」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる