17 / 20
17.妹の現状
しおりを挟む
ディレイル伯爵家との話し合いからしばらくして、私の元に一報が届いた。
それはロンベルト様が、家から追放されたという知らせだ。ディレイル伯爵家においても、厳正な処罰がなされたようである。
「もう一つ知らせておかなければならないことがある」
「はい、なんですか?」
ロンベルト様のことを話した後、お父様は神妙な面持ちで言葉を発した。
それが一体何の前振りなのか、私は考える。すると結論はすぐに出てきた。恐らくは、妹のことだろう。
「イネリアに関してだが、かなり苦労しているようだ」
「……やはり監視しているのですか?」
「もちろんだ。追放したとはいえ、イネリアはこのラメルトン伯爵家の血を引いている。滅多なことはしないように監視は常につけておくつもりだ」
「正しい判断だと思います」
私は、お父様の言葉にゆっくりと頷いた。
追放してそれで終わりなんてことでは、まず駄目だろう。イネリアの行動については把握しておき、彼女が何か余計なことをしようとしたら止めなければならないのだから。
「しかし、苦労しているとはどういうことでしょうか? 彼女には、せめてもの情けとして、いくらかの支援をお父様はしていましたよね?」
「その資金については、早々に使い切ってしまったようだ」
「なっ、どうして……」
お父様の言葉に、私は驚いた。
イネリアは追放される際に、それなりのお金を渡されていたからだ。
その資金を元にして、普通の生活をすることくらいはできたはずである。仕事を見つけて、生きていくという判断が、イネリアはできなかったということだろうか。
「甘やかしたつもりなどはないが、イネリアは骨の髄までご令嬢でしかなかったということだろう。貴族としての生活に慣れたイネリアには、節約をして生きていくなどという考えは最初からなかったのかもしれない」
「……自暴自棄になっているという可能性もありませんか? それで思わず衝動的にお金を使い切ってしまったということも、あると思います」
「もちろん、その可能性もあるだろう。どちらにしても、愚かなことだ。贅沢はできなくとも、生きていくことはできたというのに……」
お父様の寛大な措置も、イネリアにとってはまったく持って無意味であったらしい。
結局彼女は、落ちぶれることになったのだ。私はそれを、可哀想だとは思わない。お父様やお母様が心を痛めているということは気掛かりではある。
とはいえ、これに関してはどうしようもないことだ。私達がイネリアに干渉するのは、余計なことをしようとした時だけである。
手を差し伸べるなどということが、あってはならない。追放した以上、彼女には断固として冷たい態度を貫かなければならないのだ。それは両親も、よくわかっていることだろう。
それはロンベルト様が、家から追放されたという知らせだ。ディレイル伯爵家においても、厳正な処罰がなされたようである。
「もう一つ知らせておかなければならないことがある」
「はい、なんですか?」
ロンベルト様のことを話した後、お父様は神妙な面持ちで言葉を発した。
それが一体何の前振りなのか、私は考える。すると結論はすぐに出てきた。恐らくは、妹のことだろう。
「イネリアに関してだが、かなり苦労しているようだ」
「……やはり監視しているのですか?」
「もちろんだ。追放したとはいえ、イネリアはこのラメルトン伯爵家の血を引いている。滅多なことはしないように監視は常につけておくつもりだ」
「正しい判断だと思います」
私は、お父様の言葉にゆっくりと頷いた。
追放してそれで終わりなんてことでは、まず駄目だろう。イネリアの行動については把握しておき、彼女が何か余計なことをしようとしたら止めなければならないのだから。
「しかし、苦労しているとはどういうことでしょうか? 彼女には、せめてもの情けとして、いくらかの支援をお父様はしていましたよね?」
「その資金については、早々に使い切ってしまったようだ」
「なっ、どうして……」
お父様の言葉に、私は驚いた。
イネリアは追放される際に、それなりのお金を渡されていたからだ。
その資金を元にして、普通の生活をすることくらいはできたはずである。仕事を見つけて、生きていくという判断が、イネリアはできなかったということだろうか。
「甘やかしたつもりなどはないが、イネリアは骨の髄までご令嬢でしかなかったということだろう。貴族としての生活に慣れたイネリアには、節約をして生きていくなどという考えは最初からなかったのかもしれない」
「……自暴自棄になっているという可能性もありませんか? それで思わず衝動的にお金を使い切ってしまったということも、あると思います」
「もちろん、その可能性もあるだろう。どちらにしても、愚かなことだ。贅沢はできなくとも、生きていくことはできたというのに……」
お父様の寛大な措置も、イネリアにとってはまったく持って無意味であったらしい。
結局彼女は、落ちぶれることになったのだ。私はそれを、可哀想だとは思わない。お父様やお母様が心を痛めているということは気掛かりではある。
とはいえ、これに関してはどうしようもないことだ。私達がイネリアに干渉するのは、余計なことをしようとした時だけである。
手を差し伸べるなどということが、あってはならない。追放した以上、彼女には断固として冷たい態度を貫かなければならないのだ。それは両親も、よくわかっていることだろう。
527
あなたにおすすめの小説
平民とでも結婚すれば?と言われたので、隣国の王と結婚しました
ゆっこ
恋愛
「リリアーナ・ベルフォード、これまでの婚約は白紙に戻す」
その言葉を聞いた瞬間、私はようやく――心のどこかで予感していた結末に、静かに息を吐いた。
王太子アルベルト殿下。金糸の髪に、これ見よがしな笑み。彼の隣には、私が知っている顔がある。
――侯爵令嬢、ミレーユ・カスタニア。
学園で何かと殿下に寄り添い、私を「高慢な婚約者」と陰で嘲っていた令嬢だ。
「殿下、どういうことでしょう?」
私の声は驚くほど落ち着いていた。
「わたくしは、あなたの婚約者としてこれまで――」
【完結】仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──
夫から『お前を愛することはない』と言われたので、お返しついでに彼のお友達をお招きした結果。
古森真朝
ファンタジー
「クラリッサ・ベル・グレイヴィア伯爵令嬢、あらかじめ言っておく。
俺がお前を愛することは、この先決してない。期待など一切するな!」
新婚初日、花嫁に真っ向から言い放った新郎アドルフ。それに対して、クラリッサが返したのは――
※ぬるいですがホラー要素があります。苦手な方はご注意ください。
婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました
由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。
彼女は何も言わずにその場を去った。
――それが、王太子の終わりだった。
翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。
裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。
王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。
「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」
ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。
(完)イケメン侯爵嫡男様は、妹と間違えて私に告白したらしいー婚約解消ですか?嬉しいです!
青空一夏
恋愛
私は学園でも女生徒に憧れられているアール・シュトン候爵嫡男様に告白されました。
図書館でいきなり『愛している』と言われた私ですが、妹と勘違いされたようです?
全5話。ゆるふわ。
《完結》金貨5000枚で売られた王太子妃
ぜらちん黒糖
恋愛
「愛している。必ず迎えに行くから待っていてくれ」
甘い言葉を信じて、隣国へ「人質」となった王太子妃イザベラ。
旅立ちの前の晩、二人は愛し合い、イザベラのお腹には新しい命が宿った。すぐに夫に知らせた イザベラだったが、夫から届いた返信は、信じられない内容だった。
「それは本当に私の子供なのか?」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる