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18.婚約の申し出
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「驚きました。まさかシェリダン様から求婚されるとは思っていませんでした」
「突然の申し出だったが故に、無理もないだろうな。しかしこちらも迅速に対応しなければならなかった。誰かに先を越されてしまっては困る」
シェリダン様からの婚約の申し出については、ひどく驚くことになった。
とはいえ、これはこちらとしてはとてもありがたい申し出だ。サンダイン侯爵家との婚約なんて、ラメルトン伯爵家にとっては願ってもないものである。
「今回の話は、シェリダン様が主体となったと聞いていますが……」
「ああ、まあ、家は兄上が継ぐからな。自身の今後の身の振り方というものについては、考えておかなければならなかった。そこであなたの元へと婿入りするのが、良いと思ったのだ」
「ラメルトン伯爵家との婚約は、サンダイン侯爵家にとっても利益になるということですかね……」
「それもあるが、俺は実の所、アレシア嬢のことも買っている」
「え?」
シェリダン様の言葉に、私は少し驚くことになった。
今回の婚約について、私が絡んでいるとは思っていなかったからだ。当然のことながら、今回の婚約はラメルトン伯爵家との婚約であることだけが、重要なものだとばかり思っていたのだが。
「妹が起こした一連の事件において、あなたはその強さというものを発揮していた。俺との交渉の時によくわかった。あの時は冷たく突き放した訳ではあるが、俺はあなたが欲しくなった」
「欲しくなった、って……」
「俺の妻にしたいとそう思ったのだ。あなたにとっても悪い話ではないだろう? これでも一応、サンダイン侯爵家の次男だからな」
私は、ディレイル伯爵家の屋敷でシェリダン様と交わした会話を、思い出していた。
あの時の彼が、私を内心買ってくれていたなんて思ってもいなかった。ただそれは、嬉しいことである。彼との結婚なんて、私からしても光栄だ。
シェリダン様は貴族として非情な判断ができるが、気遣いと優しさに溢れた人である。そんな人が夫になってくれるなら万々歳だ。ラメルトン伯爵家も、きっと安泰である。
「シェリダン様の申し出、非常に嬉しく思います。私も、シェリダン様のことは買っています。言っておきますが、この婚約は個人としてありがたいものですよ?」
「そう言ってもらえると、こちらとしても助かる。当然のことながら、俺はラメルトン伯爵家の発展に尽力するとしよう。それから――」
「し、失礼します!」
シェリダン様の言葉は、そこで途切れることになった。
大きな声とともに、部屋の戸が叩かれたからだ。その声色から、非常事態であるということは明らかである。
「……客人の前ですよ?」
「も、申し訳ありません。しかし、ロンベルト様が訪ねて来たのです。対応に困ってしまって……」
「……なんですって?」
使用人の言葉に、私はシェリダン様と顔を見合わせることになった。
ロンベルト様の来訪、それは予想外である。ディレイル伯爵家から追放された彼が、一体何をしに来たというのだろうか。
「突然の申し出だったが故に、無理もないだろうな。しかしこちらも迅速に対応しなければならなかった。誰かに先を越されてしまっては困る」
シェリダン様からの婚約の申し出については、ひどく驚くことになった。
とはいえ、これはこちらとしてはとてもありがたい申し出だ。サンダイン侯爵家との婚約なんて、ラメルトン伯爵家にとっては願ってもないものである。
「今回の話は、シェリダン様が主体となったと聞いていますが……」
「ああ、まあ、家は兄上が継ぐからな。自身の今後の身の振り方というものについては、考えておかなければならなかった。そこであなたの元へと婿入りするのが、良いと思ったのだ」
「ラメルトン伯爵家との婚約は、サンダイン侯爵家にとっても利益になるということですかね……」
「それもあるが、俺は実の所、アレシア嬢のことも買っている」
「え?」
シェリダン様の言葉に、私は少し驚くことになった。
今回の婚約について、私が絡んでいるとは思っていなかったからだ。当然のことながら、今回の婚約はラメルトン伯爵家との婚約であることだけが、重要なものだとばかり思っていたのだが。
「妹が起こした一連の事件において、あなたはその強さというものを発揮していた。俺との交渉の時によくわかった。あの時は冷たく突き放した訳ではあるが、俺はあなたが欲しくなった」
「欲しくなった、って……」
「俺の妻にしたいとそう思ったのだ。あなたにとっても悪い話ではないだろう? これでも一応、サンダイン侯爵家の次男だからな」
私は、ディレイル伯爵家の屋敷でシェリダン様と交わした会話を、思い出していた。
あの時の彼が、私を内心買ってくれていたなんて思ってもいなかった。ただそれは、嬉しいことである。彼との結婚なんて、私からしても光栄だ。
シェリダン様は貴族として非情な判断ができるが、気遣いと優しさに溢れた人である。そんな人が夫になってくれるなら万々歳だ。ラメルトン伯爵家も、きっと安泰である。
「シェリダン様の申し出、非常に嬉しく思います。私も、シェリダン様のことは買っています。言っておきますが、この婚約は個人としてありがたいものですよ?」
「そう言ってもらえると、こちらとしても助かる。当然のことながら、俺はラメルトン伯爵家の発展に尽力するとしよう。それから――」
「し、失礼します!」
シェリダン様の言葉は、そこで途切れることになった。
大きな声とともに、部屋の戸が叩かれたからだ。その声色から、非常事態であるということは明らかである。
「……客人の前ですよ?」
「も、申し訳ありません。しかし、ロンベルト様が訪ねて来たのです。対応に困ってしまって……」
「……なんですって?」
使用人の言葉に、私はシェリダン様と顔を見合わせることになった。
ロンベルト様の来訪、それは予想外である。ディレイル伯爵家から追放された彼が、一体何をしに来たというのだろうか。
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