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羽をもがれた小鳥の行方 表紙

羽をもがれた小鳥の行方

 ルルア=ヴァレンタイン公爵令嬢は、王太子の婚約者として日々勉強に励んでいた。しかしある日、王太子に呼び出されると彼の隣には見知らぬ女性がいた。王太子はルルアをいわれのない罪で糾弾し、投獄してしまう。無実を訴えるも、足の腱を切られ大森林へ捨てられたルルアは森に住む不思議な人物に命を救われる。
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「お姉様のお名前なんて、書き写せばよろしいでしょう?」 妹がわたくしの婚約と、金庫の鍵を持っていったとき、父は譲渡の書面にご署名なさり、母は妹の髪を撫でておりました。この十年、この家でわたくしの名を呼んだ人はおりません。「お前は強い子だから」と、それだけは何度も言われましたけれど。 ですから、惜しくはございません。屋敷も、婚約も、家督も、すべて差し上げます。 ただひとつだけ、お渡しできないものがございます。 ——信用でございます。 十七の年から、仕入れの支払いはすべてわたくしが立ててまいりました。春の麦も、夏の鉄も、冬の炭も。商会が三月お代を待ってくださるのは、コルビエ伯爵家に対してではなく、わたくしの署名に対してでございます。 譲れと仰るなら、いくらでもお譲りいたしますわ。 けれど信用は、こちらから差し上げるものではございません。向こう様がお決めになるものでございますから。 来月の仕入れから、現金でお支払いくださいませ。 ※初日以降は毎日12時・22時に更新します。
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「セラフィーナ。君との結婚を終わらせたい」 愛人を選んだ夫から離婚を告げられた公爵夫人セラフィーナ。 十年にわたり領地の財政を支えてきた彼女を待っていたのは、感謝ではなく、偽造された署名と夫が失敗した投資の責任だった。 罪まで着せられる前に公爵家を去ったセラフィーナは、ヴァルハルト辺境伯の財務官として再出発する。 ところが、渡された帳簿が示していたのは――兵士の給与が尽きるまで、あと三十七日という現実だった。 帳簿に載らない税金。焼かれた記録。消された承認頁。存在しない役職と、赤黒い蝋印。そして、何者かに奪われようとしている領地の通行権。 「数字は、人を責めるためではなく、守るために使うものです」 これは、不要だと捨てられた公爵夫人が、数字と証拠を武器に破産寸前の辺境領を救い、自分を正しく評価してくれる場所を手に入れる物語。 一方、彼女を追い出した元夫は、急激に悪化していく領地財政を前に、ようやく自分が捨てたものの価値に気づき始めていた――。
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