断罪の場でわたくしは一言も申し上げません。三年間お教えしてきたことを、どうぞご自分でお読みくださいませ
私は三年間、あの方の半歩後ろに立ってきた。
あの方は、人の言葉を書いてあるとおりにしか受け取れない。だから私は扇の陰で一言だけ添える。その侯爵は本気で怒っている、そちらの夫人は同意していない、いま笑ってはいけない。三年、一度も外さなかった。誰も気づいていない。あの方自身も。
その方が、大広間で私を呼び出した。証人も証拠も揃っている。
「申し開きはあるか」
ございません。わたくしは何も申し上げません。
否認も弁明もせず、私は黙って立っていた。だからあの方は、生まれて初めて自分で場を読むことになった。
味方として名を挙げた侯爵の顔が、なぜ動かないのか。証人の声が、なぜ途中で細くなったのか。「皆もそう思うであろう」と広間に向けた同意の求めに、なぜ誰も応えないのか。
わたくしはもう、お教えいたしません。
※初日以降は毎日12時・22時に更新します。
あの方は、人の言葉を書いてあるとおりにしか受け取れない。だから私は扇の陰で一言だけ添える。その侯爵は本気で怒っている、そちらの夫人は同意していない、いま笑ってはいけない。三年、一度も外さなかった。誰も気づいていない。あの方自身も。
その方が、大広間で私を呼び出した。証人も証拠も揃っている。
「申し開きはあるか」
ございません。わたくしは何も申し上げません。
否認も弁明もせず、私は黙って立っていた。だからあの方は、生まれて初めて自分で場を読むことになった。
味方として名を挙げた侯爵の顔が、なぜ動かないのか。証人の声が、なぜ途中で細くなったのか。「皆もそう思うであろう」と広間に向けた同意の求めに、なぜ誰も応えないのか。
わたくしはもう、お教えいたしません。
※初日以降は毎日12時・22時に更新します。
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