ふたつの嘘

身体が弱く、定職に就くのが困難な民人(みんと)は
親友・大助の大学進学を機に、彼と2人暮らしを始めた。 4年以上前の記憶がなく、それ故交友関係も狭い民人は、
大助にすっかり依存していた。 そして、穏やかな性格の大助も、それを受け止めていた。 ずっとこのままでもいい、という気持ちもありながら、
どこかで大助と、それ以上の関係を求めていた民人。 大助もまた、同じ気持ちであった。 そんなお互いの心が通じ合った時、
民人は、大助に一つだけ嘘をついた。 しかし、一つだけと決めていた嘘は――。
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