バリアフライ

少女コトハネが目を覚ましたのは、見知らぬ異界だった。
四肢を失い、背には蝶の羽、頭には触角──自分の身体が変質している理由も思い出せない。
残されたのは「お父さんに会いたい」という願いだけ。
しかし、この世界は彼女に答えを与えない。
理解を拒むような怪物が迫り、存在そのものを脅かす。
逃げることも抗うこともできないコトハネは、異界の残酷さに飲み込まれそうになる。
そんな中、双頭の幼児リコウとカンメが現れ、彼女を救い出す。
異形でありながら敵意のない二人の存在は、コトハネに初めて“他者”を感じさせるものだった。
さらに、皮膚を持たない少女ヒマナイとの出会いが、コトハネの心にわずかな温度をもたらす。
異界の理不尽さの中で、彼ら三人は奇妙でありながらも確かな“居場所”の気配を持っていた。
コトハネは導かれるように、彼らの住む場所へ向かうことになる。
一方その裏では、ムスバイとアシメキが静かに動き始めていた。
彼らはコトハネを“女王の器”と呼び、巨大な一つ目の存在に従いながら、彼女の運命を選別しようとしている。
コトハネの価値を知りながらも、その存在を排除しようとする影が、異界の奥で蠢いていた。
コトハネに何が起きたのか。
この異界で、彼女はどんな存在と出会うのか。
そして──彼女を待ち受ける運命とは何なのか。
喪失から始まる物語が、静かに動き出す。
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