――作品を制作する上で、それぞれどんなことを心がけているかお聞きしたいと思います。まずは「制御魔法」の方から。主人公のエヴァンや、ヒロイン・セラフィナなどを描く時に気をつけていることはなんですか?
なお原作小説は三人称で物語が書かれていますが、漫画の方はなるべく、主人公・エヴァンの視点で描くようにしています。少年漫画的手法ですが、エヴァンはよりヒーロー然とし、セラフィナはよりヒロインらしくなるよう、わかりやすいキャラの立ち位置を意識してますね。作画に関しては、セラフィナは特に表情や感情の描写に力を入れています。顔の微細な変化はもちろん、耳やしっぽも感情とリンクさせています。
――第9話では、セラフィナがしっぽをぶんぶん振って喜んでいる場面もありましたね。
なお耳やしっぽの感情表現は獣人ならではの特徴なので、大事にしています!
――主人公たち以外では、第4話から登場したブルーノが、目立っていたように感じました。
なおブルーノは、のちに冒険者となるエヴァンを導くため、「尊敬できる兄貴分」を強く意識しています。「自身がダメージを負ってでも、皆の活路を見出す」など、冒険者としての生き様を、身をもってエヴァンに示す役割を強調しました!
――強さも申し分ないですよね。では、これまで描いてきて、苦労した回はありますか?
なお漫画全般に言えることだと思いますが、やはり第1話ですね。物語の流れをはじめ、全体的なカメラワーク、また実際に作画をする際の線の多さなど……すべてのベースが第1話で決まるので。ネームも作画も一番大変でした。
イゾ第3話で熊のアクションを描くのは大変そうだったよね。
なおうん。でも熊は大変だけど楽しかった。そのために、映画「レヴェナント: 蘇えりし者」(20世紀フォックス)を観たわけだし!
イゾ強敵の魔熊とのバトルシーンを描くのに、ちょうどいい映画が公開されてるからって、一緒に観に行ったんですよ。そのせいで私も「熊は怖い」って刷り込まれました(笑)
なおサバイバル映画なんですけど、熊と戦うシーンが超リアルに描かれているんですよ。銃で撃った瞬間、熊がクロスカウンターをしかけてくるところなんて、マジで怖かった! で、それを観た直後に、第3話の魔熊のシーンに取りかかったので。サイズ感とかスピード感とかも含め、映画でインプットしてきたものを出し切るように描きました。
――あの迫力のバトルシーンは、映画を観なかったらまた違う表現になっていたかもしれないんですね。では、担当編集とのやり取りで印象に残っていることはありますか?
なおこちらが迷ったことには、かなりアイデアを出してもらっています。魔熊を倒すシーンの流れや、言葉選びもだいぶ手伝ってもらいましたね。
――シーン的には、エヴァンが初めて連続で制御魔法を使うシーンですよね。
なお制御魔法の使い方を、短く端的に伝えられるように言葉を整えてもらいました。ネームの時点では、自分でも説明のモノローグが長すぎると思う状態だったんですけど、いったん編集さんに出してみて。「これをどうにか短くしたい」と伝えて、アイデアを出してもらいながら、今の形までモノローグを圧縮していきました。
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