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ローザ、踏み留まる
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「お嬢様?」
全ての行動を止めて、考える事に集中させて頂きます。
そもそも普通に考えて髭は殿方に生える物です。
しかしながらお嬢様は殿方ではございません。
それはもう11歳からの5年間、お嬢様がしっかり成長される様はこの目に焼き付けております。
美しくご成長されるお嬢様の湯浴みのお世話をする度に、何度この目を奪われた事でしょうか。
あっ、いけない。瞼に焼き付けたお嬢様に浸っている場合ではありませんね。
そのお嬢様に髭?
あっ、そうでしたか!
「お嬢様、余りのストレスでこんな事になったのですね!」
私が一月お側を離れただけで、あの可憐なお嬢様をこんな姿にするとは、王妃と王太子は絶対に許さまじ!
改めて復讐を誓いました。
「おい、何か変な女が居るぞ」
「構うな。一通り首は晒した。早く死体を片付けろ」
「罪人用の共同墓地で良いんだよな?」
「その手筈だ」
「誰の遺体かも判らなくさせるんだ!」
お嬢様の刑を執り行った者達の会話が聞こえてまいりたした。
罪人用の共同墓地?
死体を無造作に投げ捨てるだけの、墓地とは名ばかりの死体置場ではありませんか!
聞いた話てすけれど、死体はカラスが啄んでいるとも聞きました。
お嬢様のご遺体をあんな所に置けません。どれがお嬢様のご遺体なのか判らなくなってしまいます。
首だけでなく身体も奪い返さないといけませんね。
「おい、邪魔だ。どけ!」
1人の役人が私に声を掛けて来ました。邪魔なのはそちらです。
「お嬢様を返して頂きます」
「何だお前?」
「聖女スカーレット=ビュイック様が専属侍女、ローザ=ハーディング。お嬢様を返して頂きに参りました。ついでに貴方がたも、お嬢様の仇討ちの一貫で死んで頂きます!」
「なに?」
「職務であろうと聖女たるお嬢様のお命を奪う愚行、万死に値する!」
「聖女様の侍女だって?」
「ちょっと待ってくれ!」
「取り敢えず隊長に報告だ」
何やらゴソゴソと話し合いました。拍子抜けもいい所です。
しかしあの者達はお嬢様を『聖女様』と呼びました。それに免じて、言う事に従って少し待ちます。応援を頼むならそれはそれで構いません。死体が増えるだけですので。
○▲△
「ローザさんだな? あの馬車に乗ってくれ」
初老の隊長らしい者が1台の馬車を指差します。あれは護送用の馬車ですね。
「あの馬車に何が?」
「行けば判る。だが大声は上げてくれるなよ」
何でしょうか?
馬車の中に入ってしまえば剣は振れません。
中に入ったところを襲い掛かるのでしょうか?
もしそうなら私の格闘術も甘く見られた物です。
或いは外から槍で突くつもりでしょうか?
それならそれで構いませんよ。その時は私も本気で参らせて頂きます。
何れにしても警戒しなければならないのに、導かれる様にこの身が馬車に吸い込まれて行きます。
「ローザ?」
「!!!」
こんな事が有りますか?
馬車からは、もう一度聞きたくて仕方なかった鈴の音の様な澄んだ声が!
「おっ、おっ、お嬢様!」
私がその場で泣き崩れた事は、言うまでもございません。
全ての行動を止めて、考える事に集中させて頂きます。
そもそも普通に考えて髭は殿方に生える物です。
しかしながらお嬢様は殿方ではございません。
それはもう11歳からの5年間、お嬢様がしっかり成長される様はこの目に焼き付けております。
美しくご成長されるお嬢様の湯浴みのお世話をする度に、何度この目を奪われた事でしょうか。
あっ、いけない。瞼に焼き付けたお嬢様に浸っている場合ではありませんね。
そのお嬢様に髭?
あっ、そうでしたか!
「お嬢様、余りのストレスでこんな事になったのですね!」
私が一月お側を離れただけで、あの可憐なお嬢様をこんな姿にするとは、王妃と王太子は絶対に許さまじ!
改めて復讐を誓いました。
「おい、何か変な女が居るぞ」
「構うな。一通り首は晒した。早く死体を片付けろ」
「罪人用の共同墓地で良いんだよな?」
「その手筈だ」
「誰の遺体かも判らなくさせるんだ!」
お嬢様の刑を執り行った者達の会話が聞こえてまいりたした。
罪人用の共同墓地?
死体を無造作に投げ捨てるだけの、墓地とは名ばかりの死体置場ではありませんか!
聞いた話てすけれど、死体はカラスが啄んでいるとも聞きました。
お嬢様のご遺体をあんな所に置けません。どれがお嬢様のご遺体なのか判らなくなってしまいます。
首だけでなく身体も奪い返さないといけませんね。
「おい、邪魔だ。どけ!」
1人の役人が私に声を掛けて来ました。邪魔なのはそちらです。
「お嬢様を返して頂きます」
「何だお前?」
「聖女スカーレット=ビュイック様が専属侍女、ローザ=ハーディング。お嬢様を返して頂きに参りました。ついでに貴方がたも、お嬢様の仇討ちの一貫で死んで頂きます!」
「なに?」
「職務であろうと聖女たるお嬢様のお命を奪う愚行、万死に値する!」
「聖女様の侍女だって?」
「ちょっと待ってくれ!」
「取り敢えず隊長に報告だ」
何やらゴソゴソと話し合いました。拍子抜けもいい所です。
しかしあの者達はお嬢様を『聖女様』と呼びました。それに免じて、言う事に従って少し待ちます。応援を頼むならそれはそれで構いません。死体が増えるだけですので。
○▲△
「ローザさんだな? あの馬車に乗ってくれ」
初老の隊長らしい者が1台の馬車を指差します。あれは護送用の馬車ですね。
「あの馬車に何が?」
「行けば判る。だが大声は上げてくれるなよ」
何でしょうか?
馬車の中に入ってしまえば剣は振れません。
中に入ったところを襲い掛かるのでしょうか?
もしそうなら私の格闘術も甘く見られた物です。
或いは外から槍で突くつもりでしょうか?
それならそれで構いませんよ。その時は私も本気で参らせて頂きます。
何れにしても警戒しなければならないのに、導かれる様にこの身が馬車に吸い込まれて行きます。
「ローザ?」
「!!!」
こんな事が有りますか?
馬車からは、もう一度聞きたくて仕方なかった鈴の音の様な澄んだ声が!
「おっ、おっ、お嬢様!」
私がその場で泣き崩れた事は、言うまでもございません。
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