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激変する日常
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ヘリクセンはやはり同じ世界に転生していたし、同じタイミングで国王様と王妃様は再会してしまった。
国王の心残りである謝罪が無事に済んだら、ヘリクセンだけが残ってしまうのでは…?
国王と同じタイミングで一斉に思い出したように、記憶が消えるのも一斉であれば…と期待するけど、消えるという考え自体が根拠のない予測の1つでしかない。
どうしよう…と内心焦りを覚えながら授業を受けて、1限の休憩を待った。
「さぁ!授業終わったならこっちに来なさい!」
教室の隅で見学させられていた王妃様は、終了のチャイムに負けず劣らずな声を張り上げて国王の手を取り、教室を飛び出して行った。
私はと言えば、突然の出来事に反応出来ず、固まってしまった。
そんな!ヘリクセンと2人なんて…!
咄嗟にヘリクセンの方を見ると、意外にも田辺さんと一緒に教室を出て行くところだった。
「あれ…?」
私が意識し過ぎてただけ…?
一気に肩の力が抜ける。
確かに、未練があるかもって言うのも国王の推測だし、現世を楽しんでいたなら尚の事、私の事なんてどうでもいいのではないか。
「なぁんだ…。」
安心したら眠気がきた。
初恋騒ぎの詳細を聞きたいけど、今まであんまり話した事無いし…と遠慮がちにこちらを見る人達を視界からシャットアウトして10分少々の睡眠をとった。
起きた時、田辺さんが何故か急に早退したと教壇に立った担任が説明しながら、受け持ち教科である古典の教科書を開いていた。
ーーーーー
「ユーリア、すまなかった。」
廊下を引っ張られながら、国王は謝罪の言葉を述べた。
が、王妃の返事は無い。
そのまま突き当たりを右に曲がって、あまり人の来ない理科準備室の前で立ち止まった。
「何がすまなかったよ!」
振り返りざまに叫ばれて、予想はしていても
怯む国王。
こんな剣幕で凄まれるのは初めての事ではないのだが、前世では見下ろしていた構図が現世では王妃が歳上、かつ8㎝あるヒールも影響して同じ目線なので以前までとは迫力が違う。
「ユーリア、君を守ると約束したのに…」
「んなもんクッソ程どーでもいいわ!」
言葉遣いが相変わらず…。と思うけども、謝罪している立場上口には出せない。
「現世ではリサと上手くいってるの!?
私の心配はそれだけよ!」
「リサは前世の記憶が断片的にしか戻っていないし、私はあくまで前世であって、
心残りを絶って現世の白峰 隼人に戻してやらねば上手くはいかん。」
王妃は黙って国王の説明を聞きながら腕を組み仁王立ちになる。
「で?心残りってのは何よ。」
「そなたへの謝罪だ。」
至極真面目な表情で伝える国王だったが、王妃は眉間に深くシワを寄せるばかり。
「んなわけあるか!
あんたの心残りとか、絶対リサの事じゃん!」
本当に王妃への謝罪が未練だと思っていた国王は虚をつかれた様子で固まっている。
「絶対リサと両思いなのにひねくれた事ばっかりして想いを伝えなかった事が心残りだと思うけど!」
と、人差し指を突きつけながら睨みを効かせる王妃にバッサリ切り捨てられる。
「ちゃんとしてよね、アンタは私の初恋の人なんだからさ。」
急に優しい声色に変わって諭すように言う王妃だが、国王は驚きすぎて声が出にくかった。
「そんな様子は全く見られなかったように記憶しているんだが…?」
「アンタが居なくなってから気付いたのよ。」
国王が言葉を探していると、ユーリアがニヤリとしながら言う。
「言っておくけど、アンタ達の死後に私は国を立て直してから婿をとって、
女王として立派に国を統治して82歳で逝去してるんだからね!」
「おぉ…」と自然に声が漏れた。
確かにそれは立派だ。
そして、王妃の言う通り、謝罪しても尚記憶が薄れそうな感覚は全く無かった。
国王の心残りである謝罪が無事に済んだら、ヘリクセンだけが残ってしまうのでは…?
国王と同じタイミングで一斉に思い出したように、記憶が消えるのも一斉であれば…と期待するけど、消えるという考え自体が根拠のない予測の1つでしかない。
どうしよう…と内心焦りを覚えながら授業を受けて、1限の休憩を待った。
「さぁ!授業終わったならこっちに来なさい!」
教室の隅で見学させられていた王妃様は、終了のチャイムに負けず劣らずな声を張り上げて国王の手を取り、教室を飛び出して行った。
私はと言えば、突然の出来事に反応出来ず、固まってしまった。
そんな!ヘリクセンと2人なんて…!
咄嗟にヘリクセンの方を見ると、意外にも田辺さんと一緒に教室を出て行くところだった。
「あれ…?」
私が意識し過ぎてただけ…?
一気に肩の力が抜ける。
確かに、未練があるかもって言うのも国王の推測だし、現世を楽しんでいたなら尚の事、私の事なんてどうでもいいのではないか。
「なぁんだ…。」
安心したら眠気がきた。
初恋騒ぎの詳細を聞きたいけど、今まであんまり話した事無いし…と遠慮がちにこちらを見る人達を視界からシャットアウトして10分少々の睡眠をとった。
起きた時、田辺さんが何故か急に早退したと教壇に立った担任が説明しながら、受け持ち教科である古典の教科書を開いていた。
ーーーーー
「ユーリア、すまなかった。」
廊下を引っ張られながら、国王は謝罪の言葉を述べた。
が、王妃の返事は無い。
そのまま突き当たりを右に曲がって、あまり人の来ない理科準備室の前で立ち止まった。
「何がすまなかったよ!」
振り返りざまに叫ばれて、予想はしていても
怯む国王。
こんな剣幕で凄まれるのは初めての事ではないのだが、前世では見下ろしていた構図が現世では王妃が歳上、かつ8㎝あるヒールも影響して同じ目線なので以前までとは迫力が違う。
「ユーリア、君を守ると約束したのに…」
「んなもんクッソ程どーでもいいわ!」
言葉遣いが相変わらず…。と思うけども、謝罪している立場上口には出せない。
「現世ではリサと上手くいってるの!?
私の心配はそれだけよ!」
「リサは前世の記憶が断片的にしか戻っていないし、私はあくまで前世であって、
心残りを絶って現世の白峰 隼人に戻してやらねば上手くはいかん。」
王妃は黙って国王の説明を聞きながら腕を組み仁王立ちになる。
「で?心残りってのは何よ。」
「そなたへの謝罪だ。」
至極真面目な表情で伝える国王だったが、王妃は眉間に深くシワを寄せるばかり。
「んなわけあるか!
あんたの心残りとか、絶対リサの事じゃん!」
本当に王妃への謝罪が未練だと思っていた国王は虚をつかれた様子で固まっている。
「絶対リサと両思いなのにひねくれた事ばっかりして想いを伝えなかった事が心残りだと思うけど!」
と、人差し指を突きつけながら睨みを効かせる王妃にバッサリ切り捨てられる。
「ちゃんとしてよね、アンタは私の初恋の人なんだからさ。」
急に優しい声色に変わって諭すように言う王妃だが、国王は驚きすぎて声が出にくかった。
「そんな様子は全く見られなかったように記憶しているんだが…?」
「アンタが居なくなってから気付いたのよ。」
国王が言葉を探していると、ユーリアがニヤリとしながら言う。
「言っておくけど、アンタ達の死後に私は国を立て直してから婿をとって、
女王として立派に国を統治して82歳で逝去してるんだからね!」
「おぉ…」と自然に声が漏れた。
確かにそれは立派だ。
そして、王妃の言う通り、謝罪しても尚記憶が薄れそうな感覚は全く無かった。
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