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第一章
黒の魔法使いと白魔術師
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このクズが大声を出すとは思わなかった。
結界があるとはいっても、なんの魔力も使っていない単純な声なら関係なく届いてしまう。
油断した。唇を噛み、少しの間自責の念に囚われたが、
次の瞬間には瞳に宿る感情は殺意に似たものに変わっていた。
聖水を持つ手の角度が変わる。
黒の魔法使いに聖水をかけたらどうなるのか…
好奇心ではない、確かな悪意が心があるらしい位置を冷たくしていくのがわかる。
「白魔術師とは思えない眼だな…」
低い、初めて聞く声が、目の前にいるアイツの口から流れ出た。
そこでようやく同じ人物とは思えない表情とその視線に気付く。
澄んだ青空のようだった瞳が、夕焼けの色に染まっている。
僕の心が暗くなっているのと裏腹に、コイツの眼は燃えている火のようで…
「…帰れ。さもないと…」
妙なプレッシャーに戸惑いながら、辛うじて出せた言葉。
「殺すなんて言わない方がいい、君はまだ子どもだ。
私には敵わない…」
うっすらと笑みを浮かべて言うと、急にすんなりと帰った。
1分程度で起きた急な異変に、しばらく呆然とした。
ーーーーー
「ああ、もう。何だったんだ…」
脱力して私がへたりこんでいると、最初のペースに戻った柏木妹が声をかけてきた。
「昔使ってたドールハウスあるんだけど、もしかしたらぴったりかも?」
いや、本来カエルになってるらしいから、それはどうかなぁ。
「服って着せ替えられるのかな?」
とこぼした私の疑問に柏木妹も賛同する。
「ちょっと試してみよっか。」
クローゼットの中も綺麗に整理されてるんだろう、部屋を出て5分と経たず、柏木妹がドールハウスと服を持ってきた。昔って言う割に最近のデザインでちょっとびっくりする。
「やっぱ着るならコレでしょ!」
と柏木妹が出して見せたのはメイド服。アキバ系か!フィギュアは引いてたのにメイド服はいいのか。
「さあ着替えて着替えて!」
と私以上に楽しそうに柏木妹が急かす中タンクトップを脱いだ時、
「ミカ、悪いけど東さんに…」
「わあ!お兄ちゃん入っちゃダメー!」
「えっ?」
柏木妹の叫びも虚しく、まず私達が気付くよりも先に部屋に足踏み入れちゃってた柏木くんと目が合う。
サイズが小さいのと、眼鏡の度が実は合っていないのかもしれない。
反応に1拍ほどの遅れがあった。
「…は?…え!ごめん!」
パニクった様子で柏木くんは部屋を出て、ミカという名前だと知った柏木妹はドアにタックルする勢いで閉め出した。
私はというと、あまりに驚きすぎて固まっていた。
結界があるとはいっても、なんの魔力も使っていない単純な声なら関係なく届いてしまう。
油断した。唇を噛み、少しの間自責の念に囚われたが、
次の瞬間には瞳に宿る感情は殺意に似たものに変わっていた。
聖水を持つ手の角度が変わる。
黒の魔法使いに聖水をかけたらどうなるのか…
好奇心ではない、確かな悪意が心があるらしい位置を冷たくしていくのがわかる。
「白魔術師とは思えない眼だな…」
低い、初めて聞く声が、目の前にいるアイツの口から流れ出た。
そこでようやく同じ人物とは思えない表情とその視線に気付く。
澄んだ青空のようだった瞳が、夕焼けの色に染まっている。
僕の心が暗くなっているのと裏腹に、コイツの眼は燃えている火のようで…
「…帰れ。さもないと…」
妙なプレッシャーに戸惑いながら、辛うじて出せた言葉。
「殺すなんて言わない方がいい、君はまだ子どもだ。
私には敵わない…」
うっすらと笑みを浮かべて言うと、急にすんなりと帰った。
1分程度で起きた急な異変に、しばらく呆然とした。
ーーーーー
「ああ、もう。何だったんだ…」
脱力して私がへたりこんでいると、最初のペースに戻った柏木妹が声をかけてきた。
「昔使ってたドールハウスあるんだけど、もしかしたらぴったりかも?」
いや、本来カエルになってるらしいから、それはどうかなぁ。
「服って着せ替えられるのかな?」
とこぼした私の疑問に柏木妹も賛同する。
「ちょっと試してみよっか。」
クローゼットの中も綺麗に整理されてるんだろう、部屋を出て5分と経たず、柏木妹がドールハウスと服を持ってきた。昔って言う割に最近のデザインでちょっとびっくりする。
「やっぱ着るならコレでしょ!」
と柏木妹が出して見せたのはメイド服。アキバ系か!フィギュアは引いてたのにメイド服はいいのか。
「さあ着替えて着替えて!」
と私以上に楽しそうに柏木妹が急かす中タンクトップを脱いだ時、
「ミカ、悪いけど東さんに…」
「わあ!お兄ちゃん入っちゃダメー!」
「えっ?」
柏木妹の叫びも虚しく、まず私達が気付くよりも先に部屋に足踏み入れちゃってた柏木くんと目が合う。
サイズが小さいのと、眼鏡の度が実は合っていないのかもしれない。
反応に1拍ほどの遅れがあった。
「…は?…え!ごめん!」
パニクった様子で柏木くんは部屋を出て、ミカという名前だと知った柏木妹はドアにタックルする勢いで閉め出した。
私はというと、あまりに驚きすぎて固まっていた。
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