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皇太子からの求婚
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モンテ伯爵家に訪問する今日は朝も昼も食事がのどを通らなかった。侍女たちが心配するので最低限何か食べないといけないのだが、緊張していると開き直ることもできずにいる。出発の時間だ。
貴族たちの屋敷は王宮のまわりに少し距離を置いて王宮を囲むように点在している。有事があれば王宮の盾となるように都市設計をしているそうだ。幸いなことにまだ一度も盾は使われたことはないと行きの馬車の中で同行する王家の執事が教えてくれた。
僅かな時間で到着してしまった。執事が先に降りて案内してくれる。ここからは僕一人になってしまう。緊張が怒涛の様に押し寄せてきた。落ち着いて最初の言葉は”急な訪問で申し訳ない”だ。漆黒の玄関を大きくノックする。すぐに扉が開いた。
「急な訪問で申し訳ない。私は皇太子ノア。モンテ伯爵にお取次ぎを」
「主人から伺っております。こちらへどうぞ」
「ありがとうございます」
屋敷の奥から複数の足音が聞こえてきた。使用人に案内されたのは日当たりの良い掃除が行き届いたサロンだった。先に奥の扉から入っていたモンテ伯爵と夫人とモンテ伯爵嬢の三人が頭を下げて待っていた。
「殿下、モンテの屋敷に訪問くださり光栄にございます」
「急な訪問で申し訳ない、モンテ伯爵。個人的な話なので一人で訪問した次第だ」
「承知いたしました。殿下、私の妻と娘のレオノールです。娘は殿下の同級生で親しくさせていただいたことがありモンテ家の自慢です。お話は私一人でお伺いさせていただけばよろしいでしょうか?」
心臓が飛び出てくるのではないかと思うほどの緊張。伯爵一人か伯爵家三人かどちらで話しするのかも決めていない。どうする?でてきた言葉は・・・
「同級生でもあるレオノール嬢についてのお話しになります。よろしければ三人で聞いてもらえないでしょうか?」
「承知いたしました。殿下。ではこちらのテーブルにお座りください」
移動する際に気がついたが動きがぎこちなくなっている。夫人とレオノール嬢も挨拶だけして下がるつもりであったようだ。戸惑いの表情でお互いを見ている。伯爵は動じる性格ではないらしい。侍女たちに人数が二人追加と話しているから想定内で動いていたようだ。
対面で座り話しははじまった。
「お忙しい中、貴重な時間をお取りくださりありがとうございます。先日ですが王宮で私の妃候補の話になりました。陛下と宰相とでお決めになりそのあとで決定事項を私が聞くのが慣例なのですが、私一つ提案をしました。第三王妃の候補は自分で推薦させてもらえませんかと」
「そのようなことが可能なのでしょうか?」
「もとより第一王妃は国外の女性との政略結婚で第二王妃は国内の有力貴族との政略結婚、第三王妃も国内の貴族との政略結婚になります。今後のフルナール国のあり方を考えると皇太子の結婚にも本人の意思による結婚も入れていってもどうかと考えています」
「なるほど。王家も変化していく姿を国民に見せるお考えですか」
「そうです。陛下や国の重鎮の方々が良縁をお持ちくださいます。しかしながら皇太子も人間ですので自分で選んだ女性に妃になってもらうことを挑戦してみてもいいのではないかと思い、宰相に相談して許可を頂いてここに来ています」
「殿下、もしかしたらですが、今の話が本当としますと私の娘への話となりますか?」
「ご名答です。学園で一緒に当番をしたり授業の準備をしたりと楽しい思い出ですが、それと同時に記憶力はいいし行動も早い。人の気持ちを思いやれる優しさがある。私は三人の母親を持つがレオノール嬢にはその素質があると私は思ったのです」
「ありがとうございます。殿下、大変光栄であります」
「モンテ伯爵、伯爵令嬢レオナール・サラ・モンテを私の妃にください。宜しく申し上げます」
「殿下、ノア様・・・」
レオナール嬢の顔は涙で濡れていた。声も出せないくらいに大粒の涙があふれて止まらない。
「あなた」
夫人からの目の合図に伯爵は立ち上がり
「殿下、ご一緒にお願いします」
伯爵と二人で部屋をあとにした。
貴族たちの屋敷は王宮のまわりに少し距離を置いて王宮を囲むように点在している。有事があれば王宮の盾となるように都市設計をしているそうだ。幸いなことにまだ一度も盾は使われたことはないと行きの馬車の中で同行する王家の執事が教えてくれた。
僅かな時間で到着してしまった。執事が先に降りて案内してくれる。ここからは僕一人になってしまう。緊張が怒涛の様に押し寄せてきた。落ち着いて最初の言葉は”急な訪問で申し訳ない”だ。漆黒の玄関を大きくノックする。すぐに扉が開いた。
「急な訪問で申し訳ない。私は皇太子ノア。モンテ伯爵にお取次ぎを」
「主人から伺っております。こちらへどうぞ」
「ありがとうございます」
屋敷の奥から複数の足音が聞こえてきた。使用人に案内されたのは日当たりの良い掃除が行き届いたサロンだった。先に奥の扉から入っていたモンテ伯爵と夫人とモンテ伯爵嬢の三人が頭を下げて待っていた。
「殿下、モンテの屋敷に訪問くださり光栄にございます」
「急な訪問で申し訳ない、モンテ伯爵。個人的な話なので一人で訪問した次第だ」
「承知いたしました。殿下、私の妻と娘のレオノールです。娘は殿下の同級生で親しくさせていただいたことがありモンテ家の自慢です。お話は私一人でお伺いさせていただけばよろしいでしょうか?」
心臓が飛び出てくるのではないかと思うほどの緊張。伯爵一人か伯爵家三人かどちらで話しするのかも決めていない。どうする?でてきた言葉は・・・
「同級生でもあるレオノール嬢についてのお話しになります。よろしければ三人で聞いてもらえないでしょうか?」
「承知いたしました。殿下。ではこちらのテーブルにお座りください」
移動する際に気がついたが動きがぎこちなくなっている。夫人とレオノール嬢も挨拶だけして下がるつもりであったようだ。戸惑いの表情でお互いを見ている。伯爵は動じる性格ではないらしい。侍女たちに人数が二人追加と話しているから想定内で動いていたようだ。
対面で座り話しははじまった。
「お忙しい中、貴重な時間をお取りくださりありがとうございます。先日ですが王宮で私の妃候補の話になりました。陛下と宰相とでお決めになりそのあとで決定事項を私が聞くのが慣例なのですが、私一つ提案をしました。第三王妃の候補は自分で推薦させてもらえませんかと」
「そのようなことが可能なのでしょうか?」
「もとより第一王妃は国外の女性との政略結婚で第二王妃は国内の有力貴族との政略結婚、第三王妃も国内の貴族との政略結婚になります。今後のフルナール国のあり方を考えると皇太子の結婚にも本人の意思による結婚も入れていってもどうかと考えています」
「なるほど。王家も変化していく姿を国民に見せるお考えですか」
「そうです。陛下や国の重鎮の方々が良縁をお持ちくださいます。しかしながら皇太子も人間ですので自分で選んだ女性に妃になってもらうことを挑戦してみてもいいのではないかと思い、宰相に相談して許可を頂いてここに来ています」
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「殿下、ノア様・・・」
レオナール嬢の顔は涙で濡れていた。声も出せないくらいに大粒の涙があふれて止まらない。
「あなた」
夫人からの目の合図に伯爵は立ち上がり
「殿下、ご一緒にお願いします」
伯爵と二人で部屋をあとにした。
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