ボールド国年代記 史上初3D作戦誕生で世界は平和になる?

虎徹周磨

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魔法石の反撃

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私とアロルド隊長とラウラ小隊長と候補者二名の五人でボールド国の首都ホーストを目指して騎乗の人となる。半日で到着するので午後には魔法石との契約ができる予定だ。


無事に到着して陛下に挨拶をする。母上も一緒に見えたので挨拶ができた。食堂で昼食をもらって午後の最初の予定は魔法石との契約の立ち合いだ。



王宮の奥にある隠し扉の向こうが魔法石の保管されている部屋になる。契約する魔法使いは目隠しして入場をするのが決まりだ。一人目は男性魔法使いでボールドの中ではトップクラスの魔法量を持つ。目隠しを外してラウラが契約魔法を唱える。契約者が誓約文を読み上げ契約魔法を唱える。魔法石は青色に輝いた。陛下がホッとした顔で
「契約は完了だ。ボールドのために今後の活躍を期待する」
「御意」
目隠しして契約完了した魔法使いは退室していった。
「青か、いいですね」
「うむ」



二人目は女性魔法使いで目隠しして入ってきた。こちらもボールドの女性の中ではトップクラスの魔法量を持ちボールドの魔法のほとんどを精通している優秀な魔法使いである。目隠しを外してラウラが契約魔法を唱える。契約者が誓約文を読み上げ契約魔法を唱える。魔法石は紫に輝いた。陛下がニヤッとした顔で
「契約は完了だ。ボールドのためにより一層の活躍を期待している」
「御意」
目隠しして魔法使いは退室していった。
「紫は久しぶりです」
「最近ではラウラ以来ですな」


魔法石は契約時の色で将来の伸びしろが概ねわかるそうだ。つまり魔法部隊隊長クラスになるような優秀な魔法使いは紫、今後の伸びしろが多くあり新しい魔法を身につける可能性と魔法を開発するような能力があると青に光る。緑と茶色は伸びしろは少ないが国への忠誠は間違いなく隊員としてしっかり働くことができる色である。それ以外の色は出現しないことが良いとされておりこの二十年の契約魔法の歴史では経験がない。



契約魔法の儀式は終わった。陛下の執務室に移動して報告の山を私とアロルド隊長とラウラ小隊長で順番に陛下に報告する。夕方までかかる量であった。契約者二人は当日休みと決まっているので個室を与えて休ませている。契約した日は魔法が身体の隅々まで確認にまわるのでとても疲れる。たいていは横にならないと身体が持たない。



フルナールでも契約魔法の儀式に入っていた。三人の魔法石の色は紫と青と緑と三人とも無事に契約ができた。


ハンド―ラでは三人の魔法石の色が一人目は紫に輝き、次いで二人目も紫に輝いた。次は傲慢なところがあるが契約すると返事をもらっているので期待したが、なんと赤に輝いた。陛下が瞬時に拘束の魔法を唱える。三人目の契約者は両手を胸辺りで丸い輪っかのような魔法で縛られてぽかんとして抵抗しない。
「お前何者だ?魔法石の赤は魔法石が契約を拒否した証拠だ。何を隠している?」
「私は・・・」
目が白くなり意識が落ちたようだ。でも立ってはいる。


「これは暗示をかけられているな。この部屋では魔法で操ることはできないのでな。牢屋に連れていけ。リッキー隊長とケイト小隊長しばらく監視してくれ」
「承知いたしました」
「アーロ、至急身元を調べてくれ」
「御意」
「契約者二人はご苦労だった。今日一日は個室を用意してあるから何もせずに休んでくれ。食事は時間に届ける」
「はい!ありがとうございます」



「陛下、お時間よろしいでしょうか?」
「なにかわかったか?」
「暗示をかけたものは判明しました。魔法使い研究者のアルジャーノンが魔法じゃないので国内には暗示をかけられるのはチャドしかいないと」
「あいつか」
「それと家族構成ですが、三代前にルーシアから移り住んでいます。アルジャーノンが知っている移民の家族でした。ただルーシアの影はどこにもありませんでした」
「本人は目を覚ましたか?」
「まだです」
「見張りをリッキー隊長とケイトから交代させます。あとセントアイに明日戻る予定でしたが、この件が片付くまで残ります」
「わかった。早馬を宰相に送っておく。リッキー隊長にチャドを捕まえて事情を聞くように伝えろ」
「承知いたしました」



チャドは逃げ出していた。だがケイトにはかなわない。ケイトの探索魔法で移動場所は判明していた。リッキー隊長の指示で挟み撃ちにあいあっけなく捕まった。チャドも優秀な魔法使いだったのだ、もとは。
取り調べにはアーロ殿下も駆けつけた。
「チャド、これはだれの指示だ。自分で考えたというのか?」
「・・・」
「目的は何だ?どこかに情報を売ろうと考えているのか?」
「・・・」
「言いたくないならいい。家族に来てもらうぞ」
「家族は関係ない!」
「大ありだ。家族の前で説明してくれ。立派な犯罪行為だ。家族が来るまで待とうとしよう」



一時間後にチャドの妻と父親が呼ばれた。
「チャド氏のお父上に奥方様、ご足労いただきありがとうございます。チャド氏ですが魔法使いに暗示をかけておりまして契約魔法を結ぶタイミングで暗示にかかっていることが判明しました。人を操る行為は違法です。今回は国の重要な魔法を与えるための契約を結ぶ段階で発覚したので幸いでしたが、あのまま契約して魔法を使えば本人の心臓が止まるはずでした。ですがチャド氏からは説明いただけないのです」
「・・・」
「あなた、なに考えていたの。なんとか言ったらどうなの」
「チャド、何も言わないってことは昔のあのことだな」
「お父上、昔のあのこととは?」
「皇太子殿下、隊長さん、チャドが興奮するので別の部屋でよろしいですか?」
「わかりました。奥方様も一緒にきてください」
「はい」



隣の部屋の打ち合わせ場所で話は再開した。
「チャドは二十年近く前に魔法石と契約するときに失敗したハンド―ラの最初の魔法使いです。今は契約魔法と魔法石での儀式が確立されたと聞き及んでいますが、それ以前は魔法石に魔法を唱えて魔法石から見極めてもらう儀式でした。色で別れていまして合格の上の順から紫、青、緑、茶色で不合格は灰色、黄色、赤でした。チャドは黄色です」
「本当ですか?魔法部隊隊長もご存じないようですが」
「もっと悪いことに逆上したチャドは魔法石に八つ当たりをしようとして近くの岩を持って魔法石に投げたのです」
「嘘でしょう!!」
「事実なのですが、公式にはもみ消されています。なぜなら死んでお詫びしますと陛下に直訴したのでその時にお許しをいただき公式にはチャドの契約はなかったことになりました。先ほどの続きですが、魔法石は自分を守る行動がとれます。飛んできた岩はチャドの手に戻り手は骨折して魔法石からの魔法でチャドの魔法は全て取り上げられました」
「本当なのですね。陛下がお許しになったのなら事実です」



「魔法が無くなったチャドは労働者として再出発しました。三十歳も過ぎてから肉体労働では仕事は続きません。ひねくれていって人に暗示をかける悪事をはじめました。今回の事件は将来有望な魔法使いを見つけたので自分より下の評価の赤にするように危険な思想を暗示で覚えこませているのだと思います」
「なるほど!話の筋が通りますね」
「今度こそはこの老いぼれとチャドに罪を下さいますように陛下に申し上げていただけないでしょうか?強制労働がいいかと思います。動けるうちは働きますぞ」
「父上。私も妻としてあの人のことを理解できていなかったので同罪です。私のことも陛下に申し上げてくださいませ」
「わかった。陛下に申し上げるので先ほどの部屋で待機してください。チャド氏を興奮させないようお願いいたします」



陛下はどう裁いていただけるのだろうか?
私とリッキー隊長にはわからない。
しかし、赤判定の魔法使いが優秀なのは間違いない、それだけが救いか。


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