11 / 226
春途の春編
1話〜10話
しおりを挟む
剣導部(仮)1話~10話総集編
俺は春途(はると)。天神高等学校に通うごく普通の高校生だ。ちなみに天神は「てんじん」ではなく「あまかみ」だ。何処ぞの祁答院作品ではないので。
俺は高校に入って始めた事がある。それは、部活動だ。野球にサッカー、卓球やスリッパ作芸などの彩り豊かな部活動が存在するなか俺が選んだのは「剣導部」だった。これは、よくある剣道部ではなく、魔導と剣を併せた最近誕まれた種目なのだ。ルールは…えー、ザックリ言えば剣と魔法のケンカってところだ。幼馴染の姉で俺の先輩の朱里(しゅり)の紹介で入ったんだがこれがまた面白い。何でもアリ、とか聞くと野蛮にも思えるのだが現在判明している魔導の種類がさほど多くはなく、未判明の魔導は使用禁止と線引はしっかりしているので安心して種目に参加できる。まあ、これは朱里の受け売りなのだが。
ああそれと、新規の魔導が判明した場合は、試合の2週間前に担当の顧問へ申告しなければならないというしっかりの弊害で面倒なことだ。
種目には刀剣(エクスデント)を2種類セット
魔導(バリエンター)を5種類(最低4種類)セットできる。
気をつけなければいけないのが
魔導だけは2つのデッキを
セットしなければならないということ。
俺の場合は
刀剣(エクスデント)
鉄潰の直剣(セメンテス)
古風な長刀(ルードステア)
魔導(バリエンター)
旋風瞬(トリク)
闇纏 (バースエンチャ)
暴降刃(セイクリットーチ)
風纏 (エールエンチャ)
2
泡沫の刻(マスター・リーゼロッテ)
が刀剣と魔導のデッキだ。
ま、朱里が選んでくれたやつばっかだけど。
そんなこんなでいいとして明日は遂に初の模擬戦だ。緊張で脈が逸る。
「ったくよぉ、明日だってのになんで今なのよお」
春途は己の源を宥める。
「さてと。明日の相手は?」
対戦相手 逝照朱里(ゆくて しゅり)
刀剣
明雲の霊剣(ダイトルナー)
訓練用短剣(ヴァローダガー)
1
水仙放射(スヴァロージ)
風車 (エルタースネクタ)
炎舞画彩(ファロッテール)
水彩の初(ネネロンカー)
2
天涯の果(マスター・メアリ)
「うっへえ…どーしよう…。負けるやん」
唐突の師弟ぽい対決に戦意が崩壊を始めた。
そして翌朝
とうとう来たわ!此時が!!
覚悟しなさい!春途!ギッタギタにして
私を好きになってもらうんだからあ!!
「…は?」
いや。いやいや。いやいやいやいや。
そんなはずがない。きっと何かの間違いであろう。
朱里が俺を好き?違うだろう。けどなに?好きになってもらう??え、どういうことだ?やっぱ好きなのか?俺のこと
ふっふっふぅ。仕方ないから最初は魔導なし
訓練用短剣で勝負してあげる!
春途は全快で来なさいよ!?
じゃないと相手にもならないから!
なんだ、やっぱ嫌いじゃん。俺のこと。
きっと勝てなくなったからカモ゙を囲い込むために部活動へ勧誘したんだ。なんか悲しいよ。
ええ。行きます!全快で!!
ここでこの剣導部の種目の軽い説明をば
相手に降参と言わせた方が勝ち。
大きな怪我がなければ基本的にはアリ
十種のマスター魔導をデッキに組み込む場合のみそれが入るデッキを1枚にする。
手段は刀剣と魔導のみとなる。
それでは張り切って――
ふぁいとぉぉ!!!
2――
審判の掛け声とともにデッキ内の魔導を起動する。朱里はというと、訓練用短剣をくるくる回して暇をつぶしていた。やがて魔導の発動を終えると俺は闇を纏った直剣を朱里へ向け突撃した。抜ける――と少しでも考えた俺が馬鹿だった。とか思える。朱里は訓練用の短剣で華麗にいなした。続けざまに左手首に浅い傷を入れていた。性格が悪い。朱里は本当に性格が悪い。顔ヨシ身体ヨシ声ヨシの完璧人間。椅子に座って頭ひねる人かよ、おい。性格以外は。
傷を負い後ろへ飛ぶ。強引な仕切り直しだ。
「そして、な―――」
リストの傷は微かな傷、たかが軽傷、されど軽傷だ。細かな動作について回る痛みというものは、それだけたちが悪い。先の一撃への対応、遊ばれているな。「さっすが…。魔導と真剣なしとか言えるモノ持ってやがる、朱里」 「当たり前よ!アンタに妹はやらん!!どうしてもと言うなら私を持っていきなさい!!さあ!さあ!!」
いちいち調子狂うな、朱里は。
こんなんでしっかり立会えるのがすごい
「一息ついたし、次どう行くか」
初撃は渾身の一撃のつもりだったので
深くは考えていなかった。
突きが見切られた以上
他のやり方じゃないとダメだ。とすると……
そうこうしていると朱里が場を蹴り駆けてきた。
「もう遊びはやめよっか!魔導解禁しまーすキラッ」
「はあ!?か、勝手にしてくれよ!」
朱里は俺の頭に向けて短剣を突きつけた。
終幕、それは案外呆気のないものであった。
次目が覚めるとそこは保健室のベッドの上だった。
「あ……れ…?」
意識が覚醒するにつれ状況に
対し驚き戸惑っていく。
その少しした後、ガラガラ―と音を立てて
扉が開いた。
「すんませーん!アイツは居ます~?」
テクテク、可愛らしい足音を立てて俺の横たわるベッドに近づく。
「はあ。なんだよ朱里
負けたやつにフォローでもしに来たか?」
「は?そんな訳ないじゃん。
なんでそんなことしなきゃなの??」
CHAOS 誕まれて初めて使った言葉だった。
この状況を例える言葉があるとするなら
それはきっとこれだ。CHAOS
「ならなんだよ、」
「へっへっへー!立会前の言葉、覚えてる?」
「あぁ。あの好きにさせる~みたいなやつか?あれがどうかしたか?」
「う~~!!なんなのさもう!春途は強い女の子がタイプで、だからこの部に入ったんじゃないの?」
「違う。そんなのが好みでもないし、立会映像を見て面白そうだから入ったってだけ。」
偽りはない。まじまじ。本気と書いてまじと読むやつ。ほんとにそれよ、ほんそれ
「のーーーん!!!それじゃ
私の頑張りはどうなるのー!?」
「知らんが。いや知らんが?」
「まあでも初めての立会楽しかったよ。
ありがとう朱里。」
「もうーーっ!春途はいつもそうやって!ありがとうで場を収めるのやめてよね!」
「そんなつもりはないよ?
只思ったことを話しただけ。」
「そうだとしてもなんかモヤモヤするなあ~!」
「次!次こそは好きにさせるからね!?
覚悟しといてっ」
「なんの覚悟だよ…ったく」
こうして俺の初戦は幕を下ろした。
次の立会を考えると改善点は色々あった。
3――
「つかさ、今何時?やばくない?」
「午後6時かな~。それが?」
やばい。女の子ツツいて監獄から脱走するゲームを全年齢向けの機種に発売できた事実と肩並べるレベルでやばい。
「俺ん家門限6時なんだよ。。」
「え?それって…
やばいんじゃあないですか~~??」
満面の笑みでそれ云われてもなあ。
「やばいやばいどうしよ、
門限過ぎた事なかったのに…」
「困りましたなあ!ん~、どうしよっかあ」
「ん~~~!!浮かばぬ…浮かばぬぞぉ!!」
「……さっきから楽しんでない?」
「そんなことないいいいんしゃにゃい??」
「はぁ。まあいいけど。」
「おっ、そうだ。朱里ん家泊まらせてよ」
「はへぁ!?な、ななななんですとー!?」
「だから、朱里ん家泊まらせてくれない?」
「それなら門限とかの前に連絡ナシに矛先が向く」
「い、いいけどさ。」
「………ほんとアンタって昔から悪知恵だけは…」
「ん?なになに?今更ダメとか
やめてよね?もう連絡しちゃったし」
「う~!意地悪だあ💦春途ぉ~」
「ははは。それとさ、俺まだちょっと
ふらついてるから肩貸してくれない?」
「歩けないの?ほんと?」
「恥ずかしいけど。まっすぐ歩けない」
・・・・・・・
「仕方ないか。いいわよ!
そうと決まれば起きた起きた!!」
何らかの感情に分かれを告げ
吹っ切る事に成功した朱里はなんか無敵に見えた。
3.2―――
「ほんとに歩けないのね。
ボディータッチがお望みとばかり思ってたわ。」
「そうよね。私の身体なんて魅力ゼロよね
そうに決まってるわ。」
「ま、まあまあ。そんなことないって。朱里も可愛いよ。身体…はうん、誇っていいと思うよ」
「なにそれ。引くんだけど。」
「あ、ごっ、ごめん。つい言っちゃった。身体とかで朱里を見てる訳では―――」
「"も"」
「?」
「もってなに?えなに他にもそういう子いるんだあ?へー、そうなんだね。だから「も」なんて言葉使っちゃうんだもんねえ!?」
「あ、そっち…。妹の冥果ちゃんが好きって
前に話したでしょ?」
逝照冥果(ゆくて めいか)
朱里の妹で俺の同級生。
俺の幼馴染だ。控えめな性格で陰になりがち
控えめなのは性格だけではなく
女性の3つのステータスのbもだ。
部活動はまだ決まっていないらしいが
剣導部に来るだろうと予想はできる。理由は
彼女の性格で、姉のいる部活動になら
入ってもいいと考えるだろう。
「そ、そうだけどさ…。むーっ」
そんな話をしていると逝照家についた。
親には連絡済みなので
気兼ねなくお邪魔することにした。
4―――
「こんにちは、冥果ちゃん。
それとお邪魔します、正則さん。」
逝照正則(ゆくて まさのり)
朱里と冥果ちゃんの父親で
俺が幼い頃からよくしてくれてる人だ。
「あっ、あの…!今は
こんばんはではないです、か?」
「あー、たしかに。ごめんね。こんばんは
冥果ちゃん。今日冥果ちゃん家に
お泊りすることになったから、よろしくね
お邪魔します」
「あっ、いえいえそんな、……え」
「と、ととと泊まりー!?
ふぇえ~!そんな突然~」
「ごめん!やっぱダメだったかな?」
「そんなことない…ですけど、前もって
話してくれればよかったなって………思いました」
「おいおい仲間外れかあ?悲しいぞぉおい?笑」
「すみません、忘れてました」
まじで忘れてた。冥果ちゃんの魅力恐るべし
「まじか。本当に忘れてやがるたぁ、
父ちゃん悲しいぜぃ……。しゅんっだぜ?しゅんっ」
「貴方の子になった覚えはありませんよ。」
「なんだよ、2人から好きな方を
選べばいいじゃねえか。お前なら大歓迎だぞ?」
「なんかそれって2バージョン同時発売の
商法名になってる有名ゲームみたいだな。
けどありがとう。考えてみるよ。」
「ほんとにか!?よっしゃあ!!」
なにゆえの歓喜なのか、それが分からないが
なんだか少し嬉しかった。
「まあまあ。お泊りなんていつぶりかしらねえ~。さ、あがってあがって。玄関じゃ寒いでしょう?
暖かくしてるから。」
「そうさせてもらいます。」
逝照無亜(ゆくて むあ)
正則の奥さんで家庭を支えている
裏ボスみたいな人。
朱里と冥果の恋の相談相手であり、口は堅い。
2人が同じ人を好きになっている事が
現在の主な悩みだとか。
「ねえ春途、誰の部屋で寝るか決まってる?」
「いやまだわからん。てか空いてるのか?部屋」
「ふっふっふー!私の部屋に寝なさい!」
「辞めとくわ」「なんでよ!?」
「お前絶対なんかするだろ?怖いもん、目が」
「そんなこと…ないわよぉ?ニタニタ」
絶対あるじゃんと思いながら
真面目にどこで寝るかを考えていると、
「あ!あのっ!春途くんがよければ
私の部屋でどうかにゃ!?…うー。噛んだあ……」
「それは色々マズいからない!
俺が我慢できないから!」
「我慢しなくていいって言ったら…どうしますか?」
「あ~もう!からかわなくていい!
正則さんの部屋で寝させてもらうことにするよ」
「そ…そうです…か…。」
何かに落胆する冥果、その理由が
わからないまま、正則さんの部屋に向かった。
「いやあすまんなあ…。この部屋は1人用なんだ。
他をあたってくれ。広いのはなあ…うーん
あっ!冥果の部屋だ!あそこがいいじゃないか!
さあ!行った行った!」
意地悪だ。ヒトの底すら知らぬ悪意とは
きっとこういうことを云うのだろう。
コンコンッ 「すまん」
「はい…。何か御用でしょうか?」
「正則さんに追い出されちゃってさ。
冥果ちゃんの部屋で寝てもいい?」
すると顔を明るくして
「はいっ!!!是非どうぞ!どこに寝ます!?
ベッドですか?それともベッド!?
あ~もしかして私の上だったり~??」
「落ち着け落ち着け。俺がベッドで寝たら
冥果ちゃんが寝れないだろう?」
「平気です!私も隣で寝ますから!」
俺をなんだと思ってるのか、こういう時は
何故か冥果ちゃんが下に出るのだ。ああ、普段も
そういうところはあるか。
「そ、それじゃあ困るって。」
「何故です?何に困るのですか?」
「心臓が落ち着かないの…」
「まあ!それは1大事です!ささ!
横になって下さい!ポンッポンッ」
ありがとうそれじゃ―――!?
「どうしました~?さあ早く
こちらにいらしてください」
観念した。こうなった冥果ちゃんは止まらない。
暴走を2乗掛けする前に眠ろう。
「おやすみ、冥果。」
「はい。おやすみなさい。春途くん」
5―――
「んぅ…?ここは?」
初の立会に久しぶりのお泊り。記憶が抜け落ちるほどに疲労していたみたいだ。「な、ななな…!なんで冥果が!?」
「ふぁい?ふぁんてっでひゅってふぉ……んー💤」
「おいおい寝ないでくれ朝だぞ?
てか何言ってるかわからないぞ?ソレ」
「んむぅぅ。なんか酷いですよそれ。
冥、傷がつきました。」
「お、おう。すまん。というか
キャラ変わってない?」
「へ?冥は冥ですよぉ?それがなにか?春きゅん」
「いやおかしくなってるよ?
変なものでも食べた?」
「やだなあ、そんなもの食べてないですよお」
あとから聞いた話、冥果は
寝起きとその他の性格が異なるらしい。
幼馴染でも知らないことってあるのかよ
とか思ってた自分を殴りたい。
「そうか?なら別にいいか。お腹空いてるか?」
「うんっ、空いてるよー?なんで?」
「ちょっと台所貸してもらえるかな?
軽食でも作るよ」
「全然いーよ!お願いね」
あぁ。なんて天使なのか。このままでもいい位だ
冥果の部屋は二階で、朱里の部屋と同じ階にある。
台所は一階なので階段を降りていたら
「おお!おはようさん!!春途!
冥果の具合はどうだった?」
「なんなんですか、それ。」
「何ってそりゃ―」
ガツンッ!!
いい音がした。そして正則さんの頭に赤い鉄球のようなものが2つ。これがたんこぶってやつか。
マンガとかで見たとおりだ。
「ごめんなさいねえ、春途くん。
この生ゴミは処分しておくから
ゆっくりしていってね~」
「いえいえ。あ、どうもっす」
強い。母は強しとはこれだなと、ナンバリングの中で異彩を放つ閃光の元軍人さん作品の名言を思い出す。あでもこの場合母じゃなくて妻になるのか。
「さてと。冷蔵庫には何が入っているかな~?」
ガチャ!と音を立て冷蔵庫が開く。ひとりでに。
「うわあっ!?」
「ジャジャーン!
びっくりした~?私だよ?朱里!」
「愛のために貴方に会いに来ました!」
「急な話だけど驚くなよ?」
「こ、この流れは~~!?!?」
「俺の料理を邪魔しないでくれ」
「は?え?なになにどゆこと??
姫になってってことじゃないの~!?」
「違う。どっちかっていえば
姫になって欲しいのは冥果ちゃんの方。」
「冥でいいよ?」
「それじゃあ冥って呼ぼうか―――な」
「え?いたの~!?いつから??えーまじか
結構恥ずかしい///」
「うふふっ、その顔かわいいですね。
春途くんには笑顔と赤面が似合います✨」
「まてまて、前者はともかく
後者はディスってやつじゃないか?」
「あっ、すみません~」
「いいよ、べつに」
5.5―――
なあ冥?その、寝起きの記憶ってあるのか?
「へ?ありますよ?当然じゃないですかー!」
「だよな。でさ、冥って呼んでいいと言ったのはその、寝起きの性格が知れたからなのか?」
「それもありますけど、1番はなんか嫌だったんです。名前にちゃん付けで呼ばれ続けるのが。」
「あだ名とか少しだけ憧れがあって、
それで呼ばれたかったんですよ?ずっと」
「なのに春途くんは一向に呼んでくれなくて。」
「ならその春途くんもやめてほしいかな。」
「へ?」
「俺も春でいいよ。それだとお互い様だし。」
(なんか俺かっこよくね…?
ガッツポーズしたいわ今)
「何のお互い様なのかはわからない
ですけど了解です。春」
「あとその敬語もキツいかな。少し砕こうよ」
「わかった。たしかに堅かったね、あはは」
「それでその、今度は私からなんだけど、このあと出かけるの。それでさ?春も一緒にどうかなって」
「俺も?嬉しい!…けどいいのかな?」
「ダメって言うやつは私が潰します!」
「おーそれは怖いな…はは」
たぶんお出かけにいく決意の
半分が固まったのはこの時だった。
6―――
「えええ!?出掛けるんです??」
「ええ。春途くんも一緒に来る~?」
「嬉しいですけど悪いですって…」
「そんなことないわよ~。ささ、行きましょ🎵」
「はい!お邪魔じゃなければ!」
そうしてこうしてお出かけすることになった。
まあお出かけといっても近所で散歩とか
そんなものだろう。
「じゃあ車分けしますね~。えーと…あっ!
冥果と春途くん、朱里と生ゴミね~。」
「え?でも車って4人乗りじゃ?というか車ぁ!?」
「春途よぉ、生ゴミには触れてくれねぇのか…?」
「……すみません、聞いてませんでした。」
「なぬぅー!?父ちゃん悲しいぞぉ!
うぉぉーーん!!!」
正則さんが喚いていると無亜さんが耳打ちした
(正則ね、ああ見えて寂しがりやなの。
だから一人はそっち乗らないと、ね。)
ねえお母さん?私も春途と一緒がいいんだけど…
「ごめんなさいねえ。この車は3人乗りなの~。」
どこかの国民的アニメで使われる台詞だなとか思っちゃいない。思っちゃいないからな?
「さあさ!乗って乗って!!出発するわよ~」
「乗りました。すごく楽しみです。」
「あのね春途くん?もう長いんだし
敬語はやめましょう~?」
「わ、わかりま…わかった。」
「はい、よろしい。よし!行きますよ~!」
キキッキキキーみたいな音とともに
鉄を纏った炉心が色づき前進した。
6.5―――
ついさっきまで家が並ぶ風景だったのに今の車はすごいなと、再認識した。
「すごいな…。なんか転移した感覚だ。」
「ですよね!ですよね!
これが現代の魔導なのですよ!」
「魔導…?ってあれか、剣導の」
「その通り!春途くんの入った剣導部の
魔導は現代を支える魔導学なのですよ!!」
「ならあれか?魔導デッキにある魔導カードも
その魔導学とかいうやつの代物なのか?」
「ううううううん!!!ザッツです⭐」
は?え?、ん???
突然のキャラ変に驚き、
よく分からん相槌をうってしまった。
「はっ!?す、すすすすみません!!!」
「え?、あ、いや!平気大丈夫!たぶん!」
「あ、そうですか?ならよかった…?」
「なんで疑問符??」
「ふあ?へ?あ、いやなんとなく?」
「ああなるほど?」
「春途くんも疑問符ですね。」
「あっやっちゃったか。」
「とても仲が良いのは歓迎なんだけどね?ちょっと静かにできるかな~?ナビが聞こえなくて~」
「す、すみませんー!」「ご、ごごごめんなさい~!!」
「それ、今のそれに困ってるんだけど……」
「アッハイッスミマセ」
「シズカニシマシュ」
なんか黙りを頑張ってたら
目的地に着いたみたいだ。
「んーっ!あー!やっと立てた~」
「ですね。」
伸びをしていると
ガチャ―
「春途!やっほーっ!!」
「俺は山じゃない」
「細かいことは気にするな!
なんちゃらなんちゃらって言うじゃん??」
「それってお笑いのネタか?そうだよな?」
「あれ、バレた?」
「ここから暫く歩くし、今のネタがわかった
ご褒美として、この私剣導部の朱里ちゃんが
剣導とは何かを解説してあげよう!!」
「お願いするわ。」
まず剣道導ってのはね?刀剣、つまり武器と
魔導という魔法みたいなのを組み合わせて
戦うスポーツ種目なの!
相手に降参ッ!て言わせるのが基本なんだけど
指標として恐怖ゲージみたいなのがあって、
それが満タンになると即刻負けとなるから注意ね!
で、魔導とか難しそうに聞こえるけどその魔導は刀剣に纏わせたり牽制に使ったり時には会場を作り変えたりするとてもすごい力なの!けど魔導毎に制限時間が決まっていたり、使用後のリキャストタイムが発生したりするからそこも注意。
あとは魔導には属性があって、
異なる属性の魔導を同時起動する場合は3個まで、更に異なる属性が増える度に同時起動可能な個数が-1するから、実質2個までと考えていいよー!
けど例外もあって、刀剣の種類の中に杖があってね。その種類の刀剣はそれ自体で攻撃ができない
代わりに魔導の同時起動個数のマイナスの値が
-1分軽減されるの!だから杖の種類は
最大数の3つまで同時に起動できるよー!!
その他にも細かいルールがあるけど
一先ずこれでいいと思う!
「ごめんいいか?」
「何かね?春途部員」
「俺と立会した時に恐怖ゲージとか
なかったんだけど。」
「ああそれ。隠した。」
「は?」
「だから隠した。混乱されても困るしね。」
「本はといえば朱里が教えてくれれば
よかったんじゃ?」
「めんどかったし
そんな場合じゃなかったもん。」
「あー、そっすか。」
本当に朱里には振り回されっぱなしだ………トホホ……
7―――
それはそれで。どこへ向かうんだ?
俺は素朴な疑問を投げかけた。
「え~?それは
着いてからのお楽しみダゾ?なんちて!」
「あっそお。」
「あ、あの!姉さまが嫌なこと言ってすみません」
「いいって、慣れてるし。というか姉さま?」
「あっ、えっと姉さまというのはですね…」
「朱里でしょ?それはいいんだけど」
「呼び方変わった?」
「あうぅ…はい…」
「いやそれはいいんだよ。ただ少し驚いただけ。」
「だから器にしないでよ?俺の方こそごめん。」
「すみません…でした?」
「なんで疑問符?」
「あっ、すみません」
「それと敬語はやめてくれないか?」
「ぜ、善処しますぅ…。」
さて。ここで………合ってるのか?
皆の足がピタリと止まる。そしてそこには
魔導学館だった。
「魔導学館!?え?こんなとこあったんだ。」
「春途や、ワシゃ悲しいゾイ…オヨヨ」
「いやなんだよそのノリは」
「あれ?ウケてない…?ならもうやーめたっ!」
「そう!ここが魔導学館!我ら剣導部の源となる魔導学の歴史を學べる場所なんだよ!」
「それは遊びに行くで、合ってるのか?」
「もちろん!学び場として以外にも魔導を体験する事ができる施設があるよ!だから実質遊びだよ!」
相変わらず朱里の思考は理解できない。
「朱里、さては勉強できないだろ?」
「できるよ?なんなら学年2位だよ?私」
「は?いやいやいやいやいや。
嘘は良くないぞ?先輩」
「本当だよ?ほれっ」
そういい朱里は写真フォルダから
順位表の画像を見せて寄こした。
「まじかよ。すごいな、朱里」
「えっへん!どーよっ?春途、惚れた?」
「すまんがそれはない。」
「のーーん!!」
このやり取りも2、3回目となったが
これからも増え続けるのだろう。絶対そうだ。
「あ、あの……。」
「ん?どうしたの?」
「あの、2人はいつもそんなに仲がよいのですか?」
「これが仲良く見えるならそうなのかな?」
「そう…ですか……。」
「んん~?どしたん?姉ちゃんが話聞こか?」
「要らないですよお!
そんなものおおおお!!!!」
いっちゃった・・・・・・
8―――
冥も剣導部に入り初めての合同練習の日
「っていやいや、
俺の時は何故いきなり立会を!?」
「なんで冥の時はこんな優しいんだよ、朱里」
「いや~、なんでって…春途はそこ、信頼できるし?いきなり辞めないでしょ?けど冥果はねえ……。」
あー、そういうことか。なら仕方がないな。
「とかないからな?一応言っとくと」
「あれ~ソナノ~?」
「なら私が春途だけに特別指導したげる!」
「そうか?ならお願いするわ。」
「えへん!まかしときぃ!!
今夜は寝かせないぜっ!」
「そのどこかのいのりん神みたいなこと言うな」
「はい、させん」
「けど私、強くなりたいです…」
「いのりん神以外の場所に蹴られまくったつぐつぐ冒険者じゃねえだろ朱里は。
「ちえ、バレるのかよこれも」
「はあ、だめだこりゃ」
あっ、あの!!
ん??
「今日からよろしくお願いします!
1年の逝照冥果です!」
「よろしく!冥っ!」
「だ~か~らっ!冥って呼んでいいのは
春途くんだけなんですからああ!!!!!」
「わかったわかった悪かったって!助けてよお春途く~ん!!」
「自業自得だな、反省してくれ。」
7.2(2)
どうせわかってないんだ。あんな、好きなように事が運ぶ楽な人には――――
「はあっはあっはあっ……!!」
!?
くらっとして階段を踏み外した。
キャッ!
「危ないー!!」
ゴロゴロゴロゴロ ドテ
「あれ?死んでない?というか痛くもない?」
「ん、ううぅ…。」
「た、大変だー!!」
私は急いで救急車を呼び病院へ向かった。
ピー ピー ピー
無情な機械音が鳴り響く個室で
彼の目が覚めるのを待つ。
「んぅ…?ここは……?」
「あ!あああ!!どうしましょうこういう時なんて言えばいいかわかりませんよぉ!?!?」
「あははっ、お姉さん面白いね。」
「あ、ありがとうございます?」
「なんで疑問符?」
「あっ、すみませんついつい、癖で。」
「そうなんだ。変な癖。」
「そだ。お姉さん、怪我はない?」
「はい。私は平気です。
怪我をさせてしまってすみません。」
「少し痛いけど、いいよ。
お姉さんが無事ならそれで。」
はーちゃま!はーちゃまああ!?
すごく大きな声で誰かを呼ぶ人がこの部屋に近づく
わわわ、あやだ。
「あや?お友達ですか?」
ぷいっぷいっと首を横に振りNOという
「そうなの。ならどなた?」
双子。
「え?」
みーつけたっ!はーちゃま!!
あらお友達?
ぐいぐい来る人だ。少し苦手。
はじめまして。私は炎下彩刃(ひもと あやは)
そっちのはーちゃま、刃張(はばり)とは
双子なの。同い年よ。どうぞよろしく!
「な、なるほど。よろしくです。彩刃さん」
もう!硬いってぇ!あやでいいわ!
てかぜひそうしなさい!!
「は、はあ。」
だめ。
「?」
だめなの。あやって呼んでいいのは僕だけなの。
「了解しましたです。」
ごめんなさいね~、はーちゃま
いいよ、あや
らぶらぶな双子を眼前に
私はどうしたら良いかわからなかった。
7.5
私はバカだ。姉さまが春途くんと仲良く話しているのを見て嫉妬してしまうだなんて。いいことなハズなのになんで、理と能が喧嘩して理をくだしてしまうなんて。
「私のせいでせっかくのお出かけが台無しに…。ごめんなさい、春途くん…。」
「あっ、いたいた。冥!探したんだぞ~?」
「は、春途きゅ!?私のこと探してくれて
たんでしゅ!?…か、噛んだ……。ううう~…」
「俺だけじゃないよ。ほら、」
「急にどうしたのさ?心配したじゃん。」
「…ない」
「ん?」
「わかんない…!姉さまには絶対わかんないの!周りが普通にできることを同じようにできないことなんて、姉さまにはわからないわよ!!」
「私だって…私だって春途くんのこと好きなのに…好きだから勇気を振り絞って向き合おうとしてみたのに…姉さまは軽々と超えてくる。」
「私だって頑張ってるの!春途くんを姉さまに渡したくないの!!!」
「なにこれ、じゃぱにーずヒスってやつ?」
「茶化すな、真面目に聞け」
「え~。」
「あのさ冥果?私も軽々と当たってるわけしゃないの。それを表に出さないようにしてるだけ。」
「アンタはそれもわからないの?」
「わかんないよ。そんなの。」
「嘘だね。あんたは嘘を憑く時目を合わせないどころか顔も向けてくれないもの。」
「なっ!?そんな、こと―――」
「ある。何年一緒にいると思ってんの?
嫌でもわかる」
そういうものか。姉妹って。
「なら決めました!私も剣導部に入ります!
そして姉さまを超えてみせます!
そしたら春途くんを私に下さい!」
「望むところよ!かかってきなさい!冥果!
「あのー俺の同意は…?」
「えと、あの…嫌……ですか?」
「嫌じゃないよ!けどその、少し酷くない?」
「まあまあ、いいじゃん!やろ?春途!」
こうして冥の剣導部入部が決まった。
冥は名の通り冥属性を使うことになった。
「冥、ルールはさっき聞こえたと思うけど一応、」
刀剣と魔導を駆使して相手に降参させたほうが勝ち
刀剣は2種類
魔導は各デッキ4枚までで、デッキ2つを用意
マスター魔導と呼ばれるその属性の高水準汎用魔導を使用する場合、マスター魔導を煎れたデッキはマスター魔導のみの1枚構成となる。
魔導には効果発現時間と、使用後のリキャストタイムが設けられていて、刀剣はその縛りがない。
反面、実刃だから破損に注意。
一応刀剣は2種類だけど
相性をカバーするのが主だからね。
そして降参、言葉で聞かせてもらえれば言うことはない訳だけど、頑なに降りない人もいる。らしい
そんな時に役に立つのが恐怖ゲージ、このゲージが満タンになったら即敗北扱いになる。
試合のルールはこんな所だね。何か質問は?
「あの…春途くんも入ったばかりなんですよね?
何故それほどに詳しいのですか?」
「…まあ勉強熱心と重ってくれ」
言えない。なんか朱里に教え込まれたとか言えない。
「そうですか!たしかに春途くんは
真面目で勉強熱心ですもんね!納得です!」
なんかすんなりなんだが。
逆に申し訳ないわ
「そ、そうだぞ。よく見てるな、ははは」
「刀剣って重いんですよね?私でも持てますか?」
「そこは心配しなくていいよ。
少しの筋トレと、刀剣の持ち方も教えるし。」
「やっばり重いのですね…。」
「まあ少しね、少しだから平気だよ」
さて。冥の刀剣と魔導のデッキを決めなきゃだけど
何がこうしたいとかってあるかな?
「特には…。あ、でも手甲とかほんと至近距離のは無理です、すみません」
「大丈夫だよ、俺もその距離は怖いし。」
「そうか…。だと中間の距離で立会える刀剣がいいのね。なら刀とか―――」
「わあ!!なんですか!?この刀剣は!??」
「それは大鎌だね。
気に入ったならそれにしようか。」
「気に入るとかは
まだよくわかりませんが、はい!
この子にします!」
「よし!なら次は魔導のデッキだね。その大鎌は冥属性だから、冥属性と、もう一つくらい選ぼう」
属性はマスター魔導の種類分あって、
泡沫の刻(マスター・リーゼロッテ)(闇)
天涯の果(マスター・メアリ) (地)
獄過の剣(マスター・ククリア) (焔)
深濁の配(マスター・ムノル) (泉)
神託の泡(マスター・ネム) (天)
名狩の瞬(マスター・カヌトーレ) (冥)
雷廟の潰(マスター・カリン) (轟)
天裁の整(マスター・ヌル) (翔)
繕工の舞(マスター・エルーカ) (治)
刹那の風(マスター・ルウト) (風)
こんなところかな。冥属性と相性がいいのは
風だけど、というかどれにでも
相性がいいのが風だね。
どれにするかは決まりそう?
「…………」
それに対する返答はなく、冥は唐突に歩き始めた。
歩き始めたと思ったら止まった。
彼女の前には泉のマスター魔導「ムノル」があった。
「この子にします。」
「いいけど、どうしたの?さっき何か変だったよ?」
「よくわかりません。声がしたんです。」
「声…?誰の?」
「女の子?でした。」
この場に女子は冥しかいない。
ならその子は誰なんだ?
9―――
冥は大鎌を選択した。鎌の刀剣は基本重い。重量を気にしていたから心配はしたけど。
「わあ!持てた!持てましたよ~!春途くん~!」
無用だった。心配なんて
「おめでとう。
なら次は振ってみよっか。できそう?」
シャッ!と音がして鎌が空を斬る。
「できましたよ~!どうですか~!?」
「あはは、すごいな。どう?
コツ掴むといけそうでしょ?」
「はい!思ったより軽いですね、この子!」
冥は力持ちだった。いや、
使い方が上手いのか、筋肉の。
「さて次は2種類目の刀剣を選ぼう!
どれか気になる刀剣はある?」
「んーと…よくわかりません。」
「そ、そうか。冥はさ?近づきたくなくて
けど剣導に、半ば強引な理由アリだけど
興味があるんだよね?それはなんで?
あっ、姉妹喧嘩は抜きでお願い」
「むぅ…。姉さまのことは出さないで~。」
「ごめんって。それで?他にあるかな?」
「魔導です。魔導への興味ですよ」
「そっか。ならこれなんかどうかな?」
「???これは?」
「これは空斬剣といって、魔導の発動に合わせて
振ることでその属性の爪痕みたいなのが
空間に残るの!」
「なんかカッコいい!ですね?」
「なんで疑問符Partなんたら!」
「あぅ、すみませんー。」
「あっいや、怒ってないよ?大丈夫だから、ね?」
「でもこれにします!」
「そうか!よし、なら次は―――」
魔導は姉ちゃんにおっ任せ★
「この声は――」
「姉さま!?なんでここに―!?」
「なんでって姉ちゃんこの部の者なんだがー??」
「姉さま邪魔です!!
どっか行ってて下さい!」
「のーーん!!」
「春途も何か言ってよ~!」
「冥がこうなって俺が場を収めたこと、あるか?」
「あーえーうーん…っと!ならこうしよう!!」
「ん?」
「ほぇ?」
「冥はと朱里が今から立会をして、冥が勝ったら朱里には出てってもらう!」
「私が負けたら…?」
「朱里に魔導を選ぶの付き合ってもらう!!」
「ほぇ?ほぇぇぇ~!?」
「いいよ!それで。さ、やろっか」
今回の立会、初めてでも戦えるよう
ハンデを設定した。
恐怖ゲージ ナシ
魔導 リキャスト、冥果のみナシ
刀剣 朱里のみ1種類
刀剣破損 冥果のみナシ
冥果
刀剣
呪言の大鎌(ネビュラリーパー)
空裂剣(サタンクロー)
魔導
全霊解放(ポンプブレイカー)
前方に泉のビームを射出する
源泉纏い(プライムエンチャ)
握る刀剣に泉属性を付与する。
泉刀剣生成(いずみとうけんせいせい)
もう片方の手に刀剣を生成する。(雷と異なるのは元々握る刀剣をそのまま投影するという点で、雷は新たに刀剣を生成する。)
冥府誘(コールマター)
敵の首を掴む闇の玉を放つ。
2
深濁の配(マスター・ムノル)
泉のマスター魔導。
泉属性の高水準な汎用魔導。
朱里(ゆくて しゅり)
刀剣
訓練用短剣(ヴァローダガー)
1
水仙放射(スヴァロージ)
対象の足元から水柱を発生させる
風車 (エルタースネクタ)
風車状の風刃を飛ばす。
炎舞画彩(ファロッテール)
自身の足元に焔の魔法陣を描き焔の柱を発生させ回転する。焔の柱は魔法陣と一体化していて自身の移動に合わせて移動する。
水彩の初(ネネロンカー)
足元から大きな錨を引き上げ錨で守備体制をとり、引き上げた際の水滴を対象に飛ばす。
2
天涯の果(マスター・メアリ)
地属性のマスター魔導。高水準の汎用魔導。
「へぇ。珍しい刀剣だねそれ。
いいよ、振ってきな。受けたげる。」
「このおっ!!馬鹿にするな!
姉さまだからってええええ!!!!」
「あら怖い、けどそんな攻撃当たらないっと♪」
すいすいとかわしていく朱里に
読まれやすい単調な攻撃を続ける冥。
これではまともな勝負にならないな。
「冥ー!!そんなに怒らないでー!!
リラックスだよ!リラックスーーっ!」
「春途…くん……?」
「隙ありっ!そりゃあ!!」
バゴンッッ!!!
音とともに砂煙に覆われた競技場。
「冥――冥は―――」
(コールマター)
キュイン!
ザクリッ!!!ビリビリビリビリビリビリ!!
「はあっ…はあっはあっ……はあっ…。」
立っていた。冥は立っていた。そして
「あだだだだ…てっはは~、やられたわ~。」
「降参よ、降参参ったよ~。」
勝った。朱里に、冥が…勝ったのだ。
「やったーーーーー!!!」
俺のことのように喜んだ。俺が勝てない相手を
負かしたのだ、すごい。
「勝ちましたあ…。勝ちましたよー!!!
春途くん~!!!!!見てましたか~!?!?」
「これで私と春途くんは
永久に結ばれるんですよね~!!」
「やったーーー!!!」
「いや違うよ、たしかにそうなりたいけども」
「あれ…?そうなんですか…………。」
「え!?落ち込まないでよ、勝ったんだしさ!?」
「そ、それもそうです…よ………ね……。パタンッ」
「冥…?冥…!?おいっ返事しろよ!なあ!?」
疲れに疲れ切っていた冥はその場で倒れた。
家が近い俺は冥を家まで担いで運んで行った。
9.6――
「すまん朱里!冥を家に連れてくからー!
それじゃな!」
「ちょっと春途ぉ!?何それ面白い!!
私も連れてって~!」
「ふざけてる場合じゃないかもだ!」
「のーーん!!」
いつも通りジタバタする朱里を後眼に家へ急いだ。
「っは…はあっ……っはあ……」
(おかしい…いつもならもっと
早くつくのに…なんで)
決して冥が重いとかではない。ああ、性格は多少
恐らく俺が疲れているのだろう。慣れない解説役なんかしたからな、うん。
それから40分くらいが経ったころ
「つ、ついた・。」
俺は冥をつれて家に帰ってきた。
(ただいまー…)
とりあえず俺の部屋に行こう。他は危ない
し・し・忍び足♪・♪とかここで使うとは
思ってなかったが、使った。
気配を消して自室へ入るとホッと一息、
胸を撫で下ろすのもセットで忘れずに。
冥をベッドに寝かせて布団をかける。
「起きるかもだし飲み物取ってくるよ。」
そう言いベッドから離れようとした時、
グイッ
袖を掴まれた。
「隣、いてください……。お願いします…。」
「わ、わかったわかった。
隣りにいるから、ゆっくりおやすみ。」
平静を装い凌いだ。けど
(ヤバいヤバいヤバいヤバいこれが萌なのか?何これ好きな子にされると心臓と書いてバーニングが爆発と書いてボーンするんだが…!?)
などと意味がわからないとかいえない
供述をしており状態で。
隣りにいること3分、体感時間は5時間を超えそうでなんか老けた気もする。
流石に喉が乾いたので
飲み物を取りに行こうと自室の扉を見た
ニタニタァ キラキラ☆
そこには想定の限度を優に超えた
最悪の事態が広がっていた。
(やっちゃったあ…。)
「なんだよ、母さん」
淵底鈴未(ふちそこ すずみ)
俺の母。魔導とか刀剣とか
全く興味がない現代では珍しい人間だ。
少々俺のことを心配し過ぎな点が気になる所。
小さい頃から俺のやりたいことを
やらせてくれたいい親でもある。
「あらまあ!まあまあ!!
ハルちゃんが女の子を!?今夜は宴ね…!!
キャーッ!!」
「どっかの民族か何かなのか?母さんは」
しかたない。こうなったらもう止まらないから。
俺の母さんは。てか多くね?俺の周り
暴走しがちな人
「あ、あの…。お母…さま……?」
「なあに?冥ちゃん」
「冥って呼ばないで下さい!そう呼んでいいのは
春途くんだけなんですから!!」
「あらまあ。ごめんなさいねえ。それで?
なにかしら??」
「私はもう大丈夫なので、
その…。お構いなく…。」
「あらそう!けどそういう訳にもねえ。。」
「なあ冥?メシ食べていかないか?
母さんの結構美味いぜ?」
「けど、お邪魔です…よね…?」
「いや全然」
「そうですか?なら甘えさせてもらいます」
「そっか。よかっ―た!?」
立ち眩みがしたのかベッドから出たあと
すぐに俺に向かって倒れ込んだ。
「あっ…す、すみません……。けどできれば
もう少しこのままで……いいです…か…?」
「す、少しだけだからな…。」
目線を上げ周囲を見渡すと母さんの姿は無かった。
母さん、気を遣って出てってくれたみたいだ。
その数分後
「ご飯できたわよーっ!!!降りてらっしゃい!」
「行こうか、冥」
「はい!」
10―――
冥の入部が決まり3日が経過した夜
いただきまーす!
ズズズー ゴクンッ
「やっぱ美味いな、母さんのメシは」
「あら!よかったわあ。どんどん食べてね」
「美味しいですね!春途くん!」
「だな!はむっ」
「それでそれで。冥果ちゃん?ハルちゃんとは
もう付き合ってるの?」
「ふえ?ふええええ!?
ま、まだですよ~!?」
「あらそう。残念ね~。」
「でもハルちゃんは好きなんでしょう?冥果ちゃんのこと」
「ああ、好きだ。けどいきなり
ぶっ込まれるのはなあ………」
「嫌ですか」
は?
「嫌なんですか!?私のこと!」
「そんなこと言ってないじゃないか!
てかなんでそうなる」
「唐突なインタビューといえば
相思相愛ラブラブチュッチュなカップルなら皆
うえるかむイベントですよ!?それも
ご存知ない!?」
「あ、ああ。なんかすまん」
「ほんと謎ですよ!ナ・ゾ!!」
「ならこうしましょ!今後こういう事
訊かれたら厭々そうに応じる!
それに尽きます!!いいですね?」
「ああ…えっと……」
「 い・い・で・す・ね ?」
「はい…。」
「うふふ、冥果ちゃんは
言ったら利かない娘なのね。諦めなさい~」
「むっふふ~。よろしいっ!」
「まあ満足したっぽいし、いいか」
「そこ!きこえてますよ~?」
「ははっ、すまんすまん。」
「もう夜の20時か…。
冥、泊まってくか?1部屋空いてるし。」
「私の家は門限とかありませんし平気ですよ。けどもし春途くんがどうしてもって言うなら……」
「冥さ、朱里に似てきてない?最近」
「ほえ?そんなこと……ありそうですね。。」
「まあいいかそんなこと。
じゃあ泊まってけよ、せっかくだし。」
ぱああああ✨とかって字が入りそうな笑みを浮かべ
「はい!!ぜひ泊まらせて下さい!」
冥はそう言った。
★おまけ★
剣導部 Q&A Vol1.3
刀剣、なぜ実刃?
現状の魔導学では刀剣を実体化出来る時間、基
魔導を実体化させることが出来る時間が短いため、
常に握る刀剣は実刃となっている。
刀剣なのにいろいろある、なぜ?
向き不向きがあるから。
刀剣の破損について
刀剣は立会の際に破損する場合がある。
破損した刀剣はその立会時に
使用禁止となるので注意が必要。
刀剣は2種類装備できるが、相手の刀剣との相性を補う意味合いが主なので基本的には刀剣の破損に細心の注意をはらって扱おう。
剣導の起源と目的
剣導は近年成長している魔導学を扱った種目だ。
魔導学を肌で感じながら体育のような動きもできるとして、部活動に認められた。部活動は春途らが入学した年より2年ほど前に始まった。
魔導学の始まり
魔導学は春途らが入学した年を軸に僅か20年前から研究されていて、一般化が始まったのは凡そ12年前。真新しさの他に燃料としての柔軟性と供給過多級の将来性が光る事で瞬く間に現代へ浸透した。
剣導の人口
人口は魔導への期待に反して12000人。
学校の数は46都道府県で736校なので
割合は決して多いとはいえない。人口が増えない理由として、そもそも普通科の高校に進学する生徒が少ないことが挙げられる。というのも、魔導学が認知されてから剣導が増え、剣導に使う刀剣の鍛刀が注目され始めた。結果、鍛刀学科を希望する生徒が増え普通学科の全体数が減少したのだ。
刀剣の重量は?重すぎて扱えないんじゃない?
刀剣の重量は刀を基準にして大体、
1キロ~となっている。使い手の筋力や
持久力に応じて刀剣を選択する必要がある。
怪我するの?命に関わるかもしれないの?
よほどの事がない限り命の危険はない。
命が危険に晒される前に審判が止める。
学科別れしたのはいつ?
鍛刀学科ができたのは剣導部が正式な部になった年だから、春途が入学した年の2年前になる。
新学科の真新しさと後方支援の方が安全で
なおかつ魔導学に間接的に関わることができる点が普通科より生徒数が多いことの理由だと考えられる。
高校で剣導してもこの先役に立つの?
正直、役に立たない生徒が大半を占めると思うが剣導は着実に注目を集めているため世界大会の話も出てきている。剣の道を突き詰めれば世界への道も見えてくるかもしれない。
剣導部が運動になるのは本当?
なる。体育の授業の中にも剣導部の内容が
少しだけ入っている。その点からも
体育と遜色ない事がわかると思う。
魔導学に使われてるエネルギーってなに?
エンハンスド・マジカエネルギー
EМエネルギーと呼ばれる
エネルギーを使用している。
このエネルギーは現在あるものとされている
46都道府県ではなく、例外の47番目の
都道府県の下、地中に眠っていた鉱石から
採れるエネルギーで、車の燃料や魔導に変換、
電力にさえも代替可能と見込まれている
まさに至高のエネルギーとされている。
魔導学、EМエネルギーが主流なら
他の資源は廃止されたの?
大半は廃止された。教育課程でも
表面上の魔導学を取り扱い、逆に
他の資源は省かれることに。それ故過去の資源を
使用した犯罪に対処しにくくなった
という一面もある。
人物紹介
淵底春途(ふちそこ はると)
冥のことが好きで好き。だけど
今は部活に集中すると決めた。一度決めたことを曲げたりはしない頑固か一途かわからない性格
逝照朱里(ゆくて しゅり)
春途の1つ上のお姉さん
とは思えぬ無邪気っぷりを発揮して
今日も春途を振り回す。が、実は
周りを見ることができる娘であり
表立ってそれを出さない我慢強い子でもある。
逝照冥果(ゆくて めいか)
清楚可憐、大和撫子とはこのこと。
おしとやかで相手を慮ることのできる優しい性格。負けず嫌いな一面もあり、お姉さんである
朱里のことをライバル視している。
炎下刃張(ひもと はばり)
ツンケンし過ぎに見える男の子。特に双子の彩刃には限度を超えたツンツンっぷりを発揮。
が、彩刃が求めるお願いには基本応じる。基本。(ハグは例外)
炎下彩刃(ひもと あやは)
刃張のことが大大大大好きな双子の彩刃。
ツンケンする刃張をもろともせずいきなり抱きついたりキスしたりする。反面、彩刃自身も
溺愛度合いに危機感を抱いており、
別の高校に進学した。
逝照無亜(ゆくて むあ)
正則の妻。が、本人は正則のことを生ゴミと呼び散々な扱いをしている。
逝照正則(ゆくて まさのり)
無亜の夫。一応。無亜からの叱責をなんとも思わぬ所謂ポジバカであり、それ故関係が円滑に運ぶ。
淵底鈴未(ふちそこ すずみ)
春途の母、色恋沙汰に滾る執念をみせる母とも狂犬ともいえそうな怖い母親。父は?という問は、
彼女にしてはいけない行為堂々の2位である。
俺は春途(はると)。天神高等学校に通うごく普通の高校生だ。ちなみに天神は「てんじん」ではなく「あまかみ」だ。何処ぞの祁答院作品ではないので。
俺は高校に入って始めた事がある。それは、部活動だ。野球にサッカー、卓球やスリッパ作芸などの彩り豊かな部活動が存在するなか俺が選んだのは「剣導部」だった。これは、よくある剣道部ではなく、魔導と剣を併せた最近誕まれた種目なのだ。ルールは…えー、ザックリ言えば剣と魔法のケンカってところだ。幼馴染の姉で俺の先輩の朱里(しゅり)の紹介で入ったんだがこれがまた面白い。何でもアリ、とか聞くと野蛮にも思えるのだが現在判明している魔導の種類がさほど多くはなく、未判明の魔導は使用禁止と線引はしっかりしているので安心して種目に参加できる。まあ、これは朱里の受け売りなのだが。
ああそれと、新規の魔導が判明した場合は、試合の2週間前に担当の顧問へ申告しなければならないというしっかりの弊害で面倒なことだ。
種目には刀剣(エクスデント)を2種類セット
魔導(バリエンター)を5種類(最低4種類)セットできる。
気をつけなければいけないのが
魔導だけは2つのデッキを
セットしなければならないということ。
俺の場合は
刀剣(エクスデント)
鉄潰の直剣(セメンテス)
古風な長刀(ルードステア)
魔導(バリエンター)
旋風瞬(トリク)
闇纏 (バースエンチャ)
暴降刃(セイクリットーチ)
風纏 (エールエンチャ)
2
泡沫の刻(マスター・リーゼロッテ)
が刀剣と魔導のデッキだ。
ま、朱里が選んでくれたやつばっかだけど。
そんなこんなでいいとして明日は遂に初の模擬戦だ。緊張で脈が逸る。
「ったくよぉ、明日だってのになんで今なのよお」
春途は己の源を宥める。
「さてと。明日の相手は?」
対戦相手 逝照朱里(ゆくて しゅり)
刀剣
明雲の霊剣(ダイトルナー)
訓練用短剣(ヴァローダガー)
1
水仙放射(スヴァロージ)
風車 (エルタースネクタ)
炎舞画彩(ファロッテール)
水彩の初(ネネロンカー)
2
天涯の果(マスター・メアリ)
「うっへえ…どーしよう…。負けるやん」
唐突の師弟ぽい対決に戦意が崩壊を始めた。
そして翌朝
とうとう来たわ!此時が!!
覚悟しなさい!春途!ギッタギタにして
私を好きになってもらうんだからあ!!
「…は?」
いや。いやいや。いやいやいやいや。
そんなはずがない。きっと何かの間違いであろう。
朱里が俺を好き?違うだろう。けどなに?好きになってもらう??え、どういうことだ?やっぱ好きなのか?俺のこと
ふっふっふぅ。仕方ないから最初は魔導なし
訓練用短剣で勝負してあげる!
春途は全快で来なさいよ!?
じゃないと相手にもならないから!
なんだ、やっぱ嫌いじゃん。俺のこと。
きっと勝てなくなったからカモ゙を囲い込むために部活動へ勧誘したんだ。なんか悲しいよ。
ええ。行きます!全快で!!
ここでこの剣導部の種目の軽い説明をば
相手に降参と言わせた方が勝ち。
大きな怪我がなければ基本的にはアリ
十種のマスター魔導をデッキに組み込む場合のみそれが入るデッキを1枚にする。
手段は刀剣と魔導のみとなる。
それでは張り切って――
ふぁいとぉぉ!!!
2――
審判の掛け声とともにデッキ内の魔導を起動する。朱里はというと、訓練用短剣をくるくる回して暇をつぶしていた。やがて魔導の発動を終えると俺は闇を纏った直剣を朱里へ向け突撃した。抜ける――と少しでも考えた俺が馬鹿だった。とか思える。朱里は訓練用の短剣で華麗にいなした。続けざまに左手首に浅い傷を入れていた。性格が悪い。朱里は本当に性格が悪い。顔ヨシ身体ヨシ声ヨシの完璧人間。椅子に座って頭ひねる人かよ、おい。性格以外は。
傷を負い後ろへ飛ぶ。強引な仕切り直しだ。
「そして、な―――」
リストの傷は微かな傷、たかが軽傷、されど軽傷だ。細かな動作について回る痛みというものは、それだけたちが悪い。先の一撃への対応、遊ばれているな。「さっすが…。魔導と真剣なしとか言えるモノ持ってやがる、朱里」 「当たり前よ!アンタに妹はやらん!!どうしてもと言うなら私を持っていきなさい!!さあ!さあ!!」
いちいち調子狂うな、朱里は。
こんなんでしっかり立会えるのがすごい
「一息ついたし、次どう行くか」
初撃は渾身の一撃のつもりだったので
深くは考えていなかった。
突きが見切られた以上
他のやり方じゃないとダメだ。とすると……
そうこうしていると朱里が場を蹴り駆けてきた。
「もう遊びはやめよっか!魔導解禁しまーすキラッ」
「はあ!?か、勝手にしてくれよ!」
朱里は俺の頭に向けて短剣を突きつけた。
終幕、それは案外呆気のないものであった。
次目が覚めるとそこは保健室のベッドの上だった。
「あ……れ…?」
意識が覚醒するにつれ状況に
対し驚き戸惑っていく。
その少しした後、ガラガラ―と音を立てて
扉が開いた。
「すんませーん!アイツは居ます~?」
テクテク、可愛らしい足音を立てて俺の横たわるベッドに近づく。
「はあ。なんだよ朱里
負けたやつにフォローでもしに来たか?」
「は?そんな訳ないじゃん。
なんでそんなことしなきゃなの??」
CHAOS 誕まれて初めて使った言葉だった。
この状況を例える言葉があるとするなら
それはきっとこれだ。CHAOS
「ならなんだよ、」
「へっへっへー!立会前の言葉、覚えてる?」
「あぁ。あの好きにさせる~みたいなやつか?あれがどうかしたか?」
「う~~!!なんなのさもう!春途は強い女の子がタイプで、だからこの部に入ったんじゃないの?」
「違う。そんなのが好みでもないし、立会映像を見て面白そうだから入ったってだけ。」
偽りはない。まじまじ。本気と書いてまじと読むやつ。ほんとにそれよ、ほんそれ
「のーーーん!!!それじゃ
私の頑張りはどうなるのー!?」
「知らんが。いや知らんが?」
「まあでも初めての立会楽しかったよ。
ありがとう朱里。」
「もうーーっ!春途はいつもそうやって!ありがとうで場を収めるのやめてよね!」
「そんなつもりはないよ?
只思ったことを話しただけ。」
「そうだとしてもなんかモヤモヤするなあ~!」
「次!次こそは好きにさせるからね!?
覚悟しといてっ」
「なんの覚悟だよ…ったく」
こうして俺の初戦は幕を下ろした。
次の立会を考えると改善点は色々あった。
3――
「つかさ、今何時?やばくない?」
「午後6時かな~。それが?」
やばい。女の子ツツいて監獄から脱走するゲームを全年齢向けの機種に発売できた事実と肩並べるレベルでやばい。
「俺ん家門限6時なんだよ。。」
「え?それって…
やばいんじゃあないですか~~??」
満面の笑みでそれ云われてもなあ。
「やばいやばいどうしよ、
門限過ぎた事なかったのに…」
「困りましたなあ!ん~、どうしよっかあ」
「ん~~~!!浮かばぬ…浮かばぬぞぉ!!」
「……さっきから楽しんでない?」
「そんなことないいいいんしゃにゃい??」
「はぁ。まあいいけど。」
「おっ、そうだ。朱里ん家泊まらせてよ」
「はへぁ!?な、ななななんですとー!?」
「だから、朱里ん家泊まらせてくれない?」
「それなら門限とかの前に連絡ナシに矛先が向く」
「い、いいけどさ。」
「………ほんとアンタって昔から悪知恵だけは…」
「ん?なになに?今更ダメとか
やめてよね?もう連絡しちゃったし」
「う~!意地悪だあ💦春途ぉ~」
「ははは。それとさ、俺まだちょっと
ふらついてるから肩貸してくれない?」
「歩けないの?ほんと?」
「恥ずかしいけど。まっすぐ歩けない」
・・・・・・・
「仕方ないか。いいわよ!
そうと決まれば起きた起きた!!」
何らかの感情に分かれを告げ
吹っ切る事に成功した朱里はなんか無敵に見えた。
3.2―――
「ほんとに歩けないのね。
ボディータッチがお望みとばかり思ってたわ。」
「そうよね。私の身体なんて魅力ゼロよね
そうに決まってるわ。」
「ま、まあまあ。そんなことないって。朱里も可愛いよ。身体…はうん、誇っていいと思うよ」
「なにそれ。引くんだけど。」
「あ、ごっ、ごめん。つい言っちゃった。身体とかで朱里を見てる訳では―――」
「"も"」
「?」
「もってなに?えなに他にもそういう子いるんだあ?へー、そうなんだね。だから「も」なんて言葉使っちゃうんだもんねえ!?」
「あ、そっち…。妹の冥果ちゃんが好きって
前に話したでしょ?」
逝照冥果(ゆくて めいか)
朱里の妹で俺の同級生。
俺の幼馴染だ。控えめな性格で陰になりがち
控えめなのは性格だけではなく
女性の3つのステータスのbもだ。
部活動はまだ決まっていないらしいが
剣導部に来るだろうと予想はできる。理由は
彼女の性格で、姉のいる部活動になら
入ってもいいと考えるだろう。
「そ、そうだけどさ…。むーっ」
そんな話をしていると逝照家についた。
親には連絡済みなので
気兼ねなくお邪魔することにした。
4―――
「こんにちは、冥果ちゃん。
それとお邪魔します、正則さん。」
逝照正則(ゆくて まさのり)
朱里と冥果ちゃんの父親で
俺が幼い頃からよくしてくれてる人だ。
「あっ、あの…!今は
こんばんはではないです、か?」
「あー、たしかに。ごめんね。こんばんは
冥果ちゃん。今日冥果ちゃん家に
お泊りすることになったから、よろしくね
お邪魔します」
「あっ、いえいえそんな、……え」
「と、ととと泊まりー!?
ふぇえ~!そんな突然~」
「ごめん!やっぱダメだったかな?」
「そんなことない…ですけど、前もって
話してくれればよかったなって………思いました」
「おいおい仲間外れかあ?悲しいぞぉおい?笑」
「すみません、忘れてました」
まじで忘れてた。冥果ちゃんの魅力恐るべし
「まじか。本当に忘れてやがるたぁ、
父ちゃん悲しいぜぃ……。しゅんっだぜ?しゅんっ」
「貴方の子になった覚えはありませんよ。」
「なんだよ、2人から好きな方を
選べばいいじゃねえか。お前なら大歓迎だぞ?」
「なんかそれって2バージョン同時発売の
商法名になってる有名ゲームみたいだな。
けどありがとう。考えてみるよ。」
「ほんとにか!?よっしゃあ!!」
なにゆえの歓喜なのか、それが分からないが
なんだか少し嬉しかった。
「まあまあ。お泊りなんていつぶりかしらねえ~。さ、あがってあがって。玄関じゃ寒いでしょう?
暖かくしてるから。」
「そうさせてもらいます。」
逝照無亜(ゆくて むあ)
正則の奥さんで家庭を支えている
裏ボスみたいな人。
朱里と冥果の恋の相談相手であり、口は堅い。
2人が同じ人を好きになっている事が
現在の主な悩みだとか。
「ねえ春途、誰の部屋で寝るか決まってる?」
「いやまだわからん。てか空いてるのか?部屋」
「ふっふっふー!私の部屋に寝なさい!」
「辞めとくわ」「なんでよ!?」
「お前絶対なんかするだろ?怖いもん、目が」
「そんなこと…ないわよぉ?ニタニタ」
絶対あるじゃんと思いながら
真面目にどこで寝るかを考えていると、
「あ!あのっ!春途くんがよければ
私の部屋でどうかにゃ!?…うー。噛んだあ……」
「それは色々マズいからない!
俺が我慢できないから!」
「我慢しなくていいって言ったら…どうしますか?」
「あ~もう!からかわなくていい!
正則さんの部屋で寝させてもらうことにするよ」
「そ…そうです…か…。」
何かに落胆する冥果、その理由が
わからないまま、正則さんの部屋に向かった。
「いやあすまんなあ…。この部屋は1人用なんだ。
他をあたってくれ。広いのはなあ…うーん
あっ!冥果の部屋だ!あそこがいいじゃないか!
さあ!行った行った!」
意地悪だ。ヒトの底すら知らぬ悪意とは
きっとこういうことを云うのだろう。
コンコンッ 「すまん」
「はい…。何か御用でしょうか?」
「正則さんに追い出されちゃってさ。
冥果ちゃんの部屋で寝てもいい?」
すると顔を明るくして
「はいっ!!!是非どうぞ!どこに寝ます!?
ベッドですか?それともベッド!?
あ~もしかして私の上だったり~??」
「落ち着け落ち着け。俺がベッドで寝たら
冥果ちゃんが寝れないだろう?」
「平気です!私も隣で寝ますから!」
俺をなんだと思ってるのか、こういう時は
何故か冥果ちゃんが下に出るのだ。ああ、普段も
そういうところはあるか。
「そ、それじゃあ困るって。」
「何故です?何に困るのですか?」
「心臓が落ち着かないの…」
「まあ!それは1大事です!ささ!
横になって下さい!ポンッポンッ」
ありがとうそれじゃ―――!?
「どうしました~?さあ早く
こちらにいらしてください」
観念した。こうなった冥果ちゃんは止まらない。
暴走を2乗掛けする前に眠ろう。
「おやすみ、冥果。」
「はい。おやすみなさい。春途くん」
5―――
「んぅ…?ここは?」
初の立会に久しぶりのお泊り。記憶が抜け落ちるほどに疲労していたみたいだ。「な、ななな…!なんで冥果が!?」
「ふぁい?ふぁんてっでひゅってふぉ……んー💤」
「おいおい寝ないでくれ朝だぞ?
てか何言ってるかわからないぞ?ソレ」
「んむぅぅ。なんか酷いですよそれ。
冥、傷がつきました。」
「お、おう。すまん。というか
キャラ変わってない?」
「へ?冥は冥ですよぉ?それがなにか?春きゅん」
「いやおかしくなってるよ?
変なものでも食べた?」
「やだなあ、そんなもの食べてないですよお」
あとから聞いた話、冥果は
寝起きとその他の性格が異なるらしい。
幼馴染でも知らないことってあるのかよ
とか思ってた自分を殴りたい。
「そうか?なら別にいいか。お腹空いてるか?」
「うんっ、空いてるよー?なんで?」
「ちょっと台所貸してもらえるかな?
軽食でも作るよ」
「全然いーよ!お願いね」
あぁ。なんて天使なのか。このままでもいい位だ
冥果の部屋は二階で、朱里の部屋と同じ階にある。
台所は一階なので階段を降りていたら
「おお!おはようさん!!春途!
冥果の具合はどうだった?」
「なんなんですか、それ。」
「何ってそりゃ―」
ガツンッ!!
いい音がした。そして正則さんの頭に赤い鉄球のようなものが2つ。これがたんこぶってやつか。
マンガとかで見たとおりだ。
「ごめんなさいねえ、春途くん。
この生ゴミは処分しておくから
ゆっくりしていってね~」
「いえいえ。あ、どうもっす」
強い。母は強しとはこれだなと、ナンバリングの中で異彩を放つ閃光の元軍人さん作品の名言を思い出す。あでもこの場合母じゃなくて妻になるのか。
「さてと。冷蔵庫には何が入っているかな~?」
ガチャ!と音を立て冷蔵庫が開く。ひとりでに。
「うわあっ!?」
「ジャジャーン!
びっくりした~?私だよ?朱里!」
「愛のために貴方に会いに来ました!」
「急な話だけど驚くなよ?」
「こ、この流れは~~!?!?」
「俺の料理を邪魔しないでくれ」
「は?え?なになにどゆこと??
姫になってってことじゃないの~!?」
「違う。どっちかっていえば
姫になって欲しいのは冥果ちゃんの方。」
「冥でいいよ?」
「それじゃあ冥って呼ぼうか―――な」
「え?いたの~!?いつから??えーまじか
結構恥ずかしい///」
「うふふっ、その顔かわいいですね。
春途くんには笑顔と赤面が似合います✨」
「まてまて、前者はともかく
後者はディスってやつじゃないか?」
「あっ、すみません~」
「いいよ、べつに」
5.5―――
なあ冥?その、寝起きの記憶ってあるのか?
「へ?ありますよ?当然じゃないですかー!」
「だよな。でさ、冥って呼んでいいと言ったのはその、寝起きの性格が知れたからなのか?」
「それもありますけど、1番はなんか嫌だったんです。名前にちゃん付けで呼ばれ続けるのが。」
「あだ名とか少しだけ憧れがあって、
それで呼ばれたかったんですよ?ずっと」
「なのに春途くんは一向に呼んでくれなくて。」
「ならその春途くんもやめてほしいかな。」
「へ?」
「俺も春でいいよ。それだとお互い様だし。」
(なんか俺かっこよくね…?
ガッツポーズしたいわ今)
「何のお互い様なのかはわからない
ですけど了解です。春」
「あとその敬語もキツいかな。少し砕こうよ」
「わかった。たしかに堅かったね、あはは」
「それでその、今度は私からなんだけど、このあと出かけるの。それでさ?春も一緒にどうかなって」
「俺も?嬉しい!…けどいいのかな?」
「ダメって言うやつは私が潰します!」
「おーそれは怖いな…はは」
たぶんお出かけにいく決意の
半分が固まったのはこの時だった。
6―――
「えええ!?出掛けるんです??」
「ええ。春途くんも一緒に来る~?」
「嬉しいですけど悪いですって…」
「そんなことないわよ~。ささ、行きましょ🎵」
「はい!お邪魔じゃなければ!」
そうしてこうしてお出かけすることになった。
まあお出かけといっても近所で散歩とか
そんなものだろう。
「じゃあ車分けしますね~。えーと…あっ!
冥果と春途くん、朱里と生ゴミね~。」
「え?でも車って4人乗りじゃ?というか車ぁ!?」
「春途よぉ、生ゴミには触れてくれねぇのか…?」
「……すみません、聞いてませんでした。」
「なぬぅー!?父ちゃん悲しいぞぉ!
うぉぉーーん!!!」
正則さんが喚いていると無亜さんが耳打ちした
(正則ね、ああ見えて寂しがりやなの。
だから一人はそっち乗らないと、ね。)
ねえお母さん?私も春途と一緒がいいんだけど…
「ごめんなさいねえ。この車は3人乗りなの~。」
どこかの国民的アニメで使われる台詞だなとか思っちゃいない。思っちゃいないからな?
「さあさ!乗って乗って!!出発するわよ~」
「乗りました。すごく楽しみです。」
「あのね春途くん?もう長いんだし
敬語はやめましょう~?」
「わ、わかりま…わかった。」
「はい、よろしい。よし!行きますよ~!」
キキッキキキーみたいな音とともに
鉄を纏った炉心が色づき前進した。
6.5―――
ついさっきまで家が並ぶ風景だったのに今の車はすごいなと、再認識した。
「すごいな…。なんか転移した感覚だ。」
「ですよね!ですよね!
これが現代の魔導なのですよ!」
「魔導…?ってあれか、剣導の」
「その通り!春途くんの入った剣導部の
魔導は現代を支える魔導学なのですよ!!」
「ならあれか?魔導デッキにある魔導カードも
その魔導学とかいうやつの代物なのか?」
「ううううううん!!!ザッツです⭐」
は?え?、ん???
突然のキャラ変に驚き、
よく分からん相槌をうってしまった。
「はっ!?す、すすすすみません!!!」
「え?、あ、いや!平気大丈夫!たぶん!」
「あ、そうですか?ならよかった…?」
「なんで疑問符??」
「ふあ?へ?あ、いやなんとなく?」
「ああなるほど?」
「春途くんも疑問符ですね。」
「あっやっちゃったか。」
「とても仲が良いのは歓迎なんだけどね?ちょっと静かにできるかな~?ナビが聞こえなくて~」
「す、すみませんー!」「ご、ごごごめんなさい~!!」
「それ、今のそれに困ってるんだけど……」
「アッハイッスミマセ」
「シズカニシマシュ」
なんか黙りを頑張ってたら
目的地に着いたみたいだ。
「んーっ!あー!やっと立てた~」
「ですね。」
伸びをしていると
ガチャ―
「春途!やっほーっ!!」
「俺は山じゃない」
「細かいことは気にするな!
なんちゃらなんちゃらって言うじゃん??」
「それってお笑いのネタか?そうだよな?」
「あれ、バレた?」
「ここから暫く歩くし、今のネタがわかった
ご褒美として、この私剣導部の朱里ちゃんが
剣導とは何かを解説してあげよう!!」
「お願いするわ。」
まず剣道導ってのはね?刀剣、つまり武器と
魔導という魔法みたいなのを組み合わせて
戦うスポーツ種目なの!
相手に降参ッ!て言わせるのが基本なんだけど
指標として恐怖ゲージみたいなのがあって、
それが満タンになると即刻負けとなるから注意ね!
で、魔導とか難しそうに聞こえるけどその魔導は刀剣に纏わせたり牽制に使ったり時には会場を作り変えたりするとてもすごい力なの!けど魔導毎に制限時間が決まっていたり、使用後のリキャストタイムが発生したりするからそこも注意。
あとは魔導には属性があって、
異なる属性の魔導を同時起動する場合は3個まで、更に異なる属性が増える度に同時起動可能な個数が-1するから、実質2個までと考えていいよー!
けど例外もあって、刀剣の種類の中に杖があってね。その種類の刀剣はそれ自体で攻撃ができない
代わりに魔導の同時起動個数のマイナスの値が
-1分軽減されるの!だから杖の種類は
最大数の3つまで同時に起動できるよー!!
その他にも細かいルールがあるけど
一先ずこれでいいと思う!
「ごめんいいか?」
「何かね?春途部員」
「俺と立会した時に恐怖ゲージとか
なかったんだけど。」
「ああそれ。隠した。」
「は?」
「だから隠した。混乱されても困るしね。」
「本はといえば朱里が教えてくれれば
よかったんじゃ?」
「めんどかったし
そんな場合じゃなかったもん。」
「あー、そっすか。」
本当に朱里には振り回されっぱなしだ………トホホ……
7―――
それはそれで。どこへ向かうんだ?
俺は素朴な疑問を投げかけた。
「え~?それは
着いてからのお楽しみダゾ?なんちて!」
「あっそお。」
「あ、あの!姉さまが嫌なこと言ってすみません」
「いいって、慣れてるし。というか姉さま?」
「あっ、えっと姉さまというのはですね…」
「朱里でしょ?それはいいんだけど」
「呼び方変わった?」
「あうぅ…はい…」
「いやそれはいいんだよ。ただ少し驚いただけ。」
「だから器にしないでよ?俺の方こそごめん。」
「すみません…でした?」
「なんで疑問符?」
「あっ、すみません」
「それと敬語はやめてくれないか?」
「ぜ、善処しますぅ…。」
さて。ここで………合ってるのか?
皆の足がピタリと止まる。そしてそこには
魔導学館だった。
「魔導学館!?え?こんなとこあったんだ。」
「春途や、ワシゃ悲しいゾイ…オヨヨ」
「いやなんだよそのノリは」
「あれ?ウケてない…?ならもうやーめたっ!」
「そう!ここが魔導学館!我ら剣導部の源となる魔導学の歴史を學べる場所なんだよ!」
「それは遊びに行くで、合ってるのか?」
「もちろん!学び場として以外にも魔導を体験する事ができる施設があるよ!だから実質遊びだよ!」
相変わらず朱里の思考は理解できない。
「朱里、さては勉強できないだろ?」
「できるよ?なんなら学年2位だよ?私」
「は?いやいやいやいやいや。
嘘は良くないぞ?先輩」
「本当だよ?ほれっ」
そういい朱里は写真フォルダから
順位表の画像を見せて寄こした。
「まじかよ。すごいな、朱里」
「えっへん!どーよっ?春途、惚れた?」
「すまんがそれはない。」
「のーーん!!」
このやり取りも2、3回目となったが
これからも増え続けるのだろう。絶対そうだ。
「あ、あの……。」
「ん?どうしたの?」
「あの、2人はいつもそんなに仲がよいのですか?」
「これが仲良く見えるならそうなのかな?」
「そう…ですか……。」
「んん~?どしたん?姉ちゃんが話聞こか?」
「要らないですよお!
そんなものおおおお!!!!」
いっちゃった・・・・・・
8―――
冥も剣導部に入り初めての合同練習の日
「っていやいや、
俺の時は何故いきなり立会を!?」
「なんで冥の時はこんな優しいんだよ、朱里」
「いや~、なんでって…春途はそこ、信頼できるし?いきなり辞めないでしょ?けど冥果はねえ……。」
あー、そういうことか。なら仕方がないな。
「とかないからな?一応言っとくと」
「あれ~ソナノ~?」
「なら私が春途だけに特別指導したげる!」
「そうか?ならお願いするわ。」
「えへん!まかしときぃ!!
今夜は寝かせないぜっ!」
「そのどこかのいのりん神みたいなこと言うな」
「はい、させん」
「けど私、強くなりたいです…」
「いのりん神以外の場所に蹴られまくったつぐつぐ冒険者じゃねえだろ朱里は。
「ちえ、バレるのかよこれも」
「はあ、だめだこりゃ」
あっ、あの!!
ん??
「今日からよろしくお願いします!
1年の逝照冥果です!」
「よろしく!冥っ!」
「だ~か~らっ!冥って呼んでいいのは
春途くんだけなんですからああ!!!!!」
「わかったわかった悪かったって!助けてよお春途く~ん!!」
「自業自得だな、反省してくれ。」
7.2(2)
どうせわかってないんだ。あんな、好きなように事が運ぶ楽な人には――――
「はあっはあっはあっ……!!」
!?
くらっとして階段を踏み外した。
キャッ!
「危ないー!!」
ゴロゴロゴロゴロ ドテ
「あれ?死んでない?というか痛くもない?」
「ん、ううぅ…。」
「た、大変だー!!」
私は急いで救急車を呼び病院へ向かった。
ピー ピー ピー
無情な機械音が鳴り響く個室で
彼の目が覚めるのを待つ。
「んぅ…?ここは……?」
「あ!あああ!!どうしましょうこういう時なんて言えばいいかわかりませんよぉ!?!?」
「あははっ、お姉さん面白いね。」
「あ、ありがとうございます?」
「なんで疑問符?」
「あっ、すみませんついつい、癖で。」
「そうなんだ。変な癖。」
「そだ。お姉さん、怪我はない?」
「はい。私は平気です。
怪我をさせてしまってすみません。」
「少し痛いけど、いいよ。
お姉さんが無事ならそれで。」
はーちゃま!はーちゃまああ!?
すごく大きな声で誰かを呼ぶ人がこの部屋に近づく
わわわ、あやだ。
「あや?お友達ですか?」
ぷいっぷいっと首を横に振りNOという
「そうなの。ならどなた?」
双子。
「え?」
みーつけたっ!はーちゃま!!
あらお友達?
ぐいぐい来る人だ。少し苦手。
はじめまして。私は炎下彩刃(ひもと あやは)
そっちのはーちゃま、刃張(はばり)とは
双子なの。同い年よ。どうぞよろしく!
「な、なるほど。よろしくです。彩刃さん」
もう!硬いってぇ!あやでいいわ!
てかぜひそうしなさい!!
「は、はあ。」
だめ。
「?」
だめなの。あやって呼んでいいのは僕だけなの。
「了解しましたです。」
ごめんなさいね~、はーちゃま
いいよ、あや
らぶらぶな双子を眼前に
私はどうしたら良いかわからなかった。
7.5
私はバカだ。姉さまが春途くんと仲良く話しているのを見て嫉妬してしまうだなんて。いいことなハズなのになんで、理と能が喧嘩して理をくだしてしまうなんて。
「私のせいでせっかくのお出かけが台無しに…。ごめんなさい、春途くん…。」
「あっ、いたいた。冥!探したんだぞ~?」
「は、春途きゅ!?私のこと探してくれて
たんでしゅ!?…か、噛んだ……。ううう~…」
「俺だけじゃないよ。ほら、」
「急にどうしたのさ?心配したじゃん。」
「…ない」
「ん?」
「わかんない…!姉さまには絶対わかんないの!周りが普通にできることを同じようにできないことなんて、姉さまにはわからないわよ!!」
「私だって…私だって春途くんのこと好きなのに…好きだから勇気を振り絞って向き合おうとしてみたのに…姉さまは軽々と超えてくる。」
「私だって頑張ってるの!春途くんを姉さまに渡したくないの!!!」
「なにこれ、じゃぱにーずヒスってやつ?」
「茶化すな、真面目に聞け」
「え~。」
「あのさ冥果?私も軽々と当たってるわけしゃないの。それを表に出さないようにしてるだけ。」
「アンタはそれもわからないの?」
「わかんないよ。そんなの。」
「嘘だね。あんたは嘘を憑く時目を合わせないどころか顔も向けてくれないもの。」
「なっ!?そんな、こと―――」
「ある。何年一緒にいると思ってんの?
嫌でもわかる」
そういうものか。姉妹って。
「なら決めました!私も剣導部に入ります!
そして姉さまを超えてみせます!
そしたら春途くんを私に下さい!」
「望むところよ!かかってきなさい!冥果!
「あのー俺の同意は…?」
「えと、あの…嫌……ですか?」
「嫌じゃないよ!けどその、少し酷くない?」
「まあまあ、いいじゃん!やろ?春途!」
こうして冥の剣導部入部が決まった。
冥は名の通り冥属性を使うことになった。
「冥、ルールはさっき聞こえたと思うけど一応、」
刀剣と魔導を駆使して相手に降参させたほうが勝ち
刀剣は2種類
魔導は各デッキ4枚までで、デッキ2つを用意
マスター魔導と呼ばれるその属性の高水準汎用魔導を使用する場合、マスター魔導を煎れたデッキはマスター魔導のみの1枚構成となる。
魔導には効果発現時間と、使用後のリキャストタイムが設けられていて、刀剣はその縛りがない。
反面、実刃だから破損に注意。
一応刀剣は2種類だけど
相性をカバーするのが主だからね。
そして降参、言葉で聞かせてもらえれば言うことはない訳だけど、頑なに降りない人もいる。らしい
そんな時に役に立つのが恐怖ゲージ、このゲージが満タンになったら即敗北扱いになる。
試合のルールはこんな所だね。何か質問は?
「あの…春途くんも入ったばかりなんですよね?
何故それほどに詳しいのですか?」
「…まあ勉強熱心と重ってくれ」
言えない。なんか朱里に教え込まれたとか言えない。
「そうですか!たしかに春途くんは
真面目で勉強熱心ですもんね!納得です!」
なんかすんなりなんだが。
逆に申し訳ないわ
「そ、そうだぞ。よく見てるな、ははは」
「刀剣って重いんですよね?私でも持てますか?」
「そこは心配しなくていいよ。
少しの筋トレと、刀剣の持ち方も教えるし。」
「やっばり重いのですね…。」
「まあ少しね、少しだから平気だよ」
さて。冥の刀剣と魔導のデッキを決めなきゃだけど
何がこうしたいとかってあるかな?
「特には…。あ、でも手甲とかほんと至近距離のは無理です、すみません」
「大丈夫だよ、俺もその距離は怖いし。」
「そうか…。だと中間の距離で立会える刀剣がいいのね。なら刀とか―――」
「わあ!!なんですか!?この刀剣は!??」
「それは大鎌だね。
気に入ったならそれにしようか。」
「気に入るとかは
まだよくわかりませんが、はい!
この子にします!」
「よし!なら次は魔導のデッキだね。その大鎌は冥属性だから、冥属性と、もう一つくらい選ぼう」
属性はマスター魔導の種類分あって、
泡沫の刻(マスター・リーゼロッテ)(闇)
天涯の果(マスター・メアリ) (地)
獄過の剣(マスター・ククリア) (焔)
深濁の配(マスター・ムノル) (泉)
神託の泡(マスター・ネム) (天)
名狩の瞬(マスター・カヌトーレ) (冥)
雷廟の潰(マスター・カリン) (轟)
天裁の整(マスター・ヌル) (翔)
繕工の舞(マスター・エルーカ) (治)
刹那の風(マスター・ルウト) (風)
こんなところかな。冥属性と相性がいいのは
風だけど、というかどれにでも
相性がいいのが風だね。
どれにするかは決まりそう?
「…………」
それに対する返答はなく、冥は唐突に歩き始めた。
歩き始めたと思ったら止まった。
彼女の前には泉のマスター魔導「ムノル」があった。
「この子にします。」
「いいけど、どうしたの?さっき何か変だったよ?」
「よくわかりません。声がしたんです。」
「声…?誰の?」
「女の子?でした。」
この場に女子は冥しかいない。
ならその子は誰なんだ?
9―――
冥は大鎌を選択した。鎌の刀剣は基本重い。重量を気にしていたから心配はしたけど。
「わあ!持てた!持てましたよ~!春途くん~!」
無用だった。心配なんて
「おめでとう。
なら次は振ってみよっか。できそう?」
シャッ!と音がして鎌が空を斬る。
「できましたよ~!どうですか~!?」
「あはは、すごいな。どう?
コツ掴むといけそうでしょ?」
「はい!思ったより軽いですね、この子!」
冥は力持ちだった。いや、
使い方が上手いのか、筋肉の。
「さて次は2種類目の刀剣を選ぼう!
どれか気になる刀剣はある?」
「んーと…よくわかりません。」
「そ、そうか。冥はさ?近づきたくなくて
けど剣導に、半ば強引な理由アリだけど
興味があるんだよね?それはなんで?
あっ、姉妹喧嘩は抜きでお願い」
「むぅ…。姉さまのことは出さないで~。」
「ごめんって。それで?他にあるかな?」
「魔導です。魔導への興味ですよ」
「そっか。ならこれなんかどうかな?」
「???これは?」
「これは空斬剣といって、魔導の発動に合わせて
振ることでその属性の爪痕みたいなのが
空間に残るの!」
「なんかカッコいい!ですね?」
「なんで疑問符Partなんたら!」
「あぅ、すみませんー。」
「あっいや、怒ってないよ?大丈夫だから、ね?」
「でもこれにします!」
「そうか!よし、なら次は―――」
魔導は姉ちゃんにおっ任せ★
「この声は――」
「姉さま!?なんでここに―!?」
「なんでって姉ちゃんこの部の者なんだがー??」
「姉さま邪魔です!!
どっか行ってて下さい!」
「のーーん!!」
「春途も何か言ってよ~!」
「冥がこうなって俺が場を収めたこと、あるか?」
「あーえーうーん…っと!ならこうしよう!!」
「ん?」
「ほぇ?」
「冥はと朱里が今から立会をして、冥が勝ったら朱里には出てってもらう!」
「私が負けたら…?」
「朱里に魔導を選ぶの付き合ってもらう!!」
「ほぇ?ほぇぇぇ~!?」
「いいよ!それで。さ、やろっか」
今回の立会、初めてでも戦えるよう
ハンデを設定した。
恐怖ゲージ ナシ
魔導 リキャスト、冥果のみナシ
刀剣 朱里のみ1種類
刀剣破損 冥果のみナシ
冥果
刀剣
呪言の大鎌(ネビュラリーパー)
空裂剣(サタンクロー)
魔導
全霊解放(ポンプブレイカー)
前方に泉のビームを射出する
源泉纏い(プライムエンチャ)
握る刀剣に泉属性を付与する。
泉刀剣生成(いずみとうけんせいせい)
もう片方の手に刀剣を生成する。(雷と異なるのは元々握る刀剣をそのまま投影するという点で、雷は新たに刀剣を生成する。)
冥府誘(コールマター)
敵の首を掴む闇の玉を放つ。
2
深濁の配(マスター・ムノル)
泉のマスター魔導。
泉属性の高水準な汎用魔導。
朱里(ゆくて しゅり)
刀剣
訓練用短剣(ヴァローダガー)
1
水仙放射(スヴァロージ)
対象の足元から水柱を発生させる
風車 (エルタースネクタ)
風車状の風刃を飛ばす。
炎舞画彩(ファロッテール)
自身の足元に焔の魔法陣を描き焔の柱を発生させ回転する。焔の柱は魔法陣と一体化していて自身の移動に合わせて移動する。
水彩の初(ネネロンカー)
足元から大きな錨を引き上げ錨で守備体制をとり、引き上げた際の水滴を対象に飛ばす。
2
天涯の果(マスター・メアリ)
地属性のマスター魔導。高水準の汎用魔導。
「へぇ。珍しい刀剣だねそれ。
いいよ、振ってきな。受けたげる。」
「このおっ!!馬鹿にするな!
姉さまだからってええええ!!!!」
「あら怖い、けどそんな攻撃当たらないっと♪」
すいすいとかわしていく朱里に
読まれやすい単調な攻撃を続ける冥。
これではまともな勝負にならないな。
「冥ー!!そんなに怒らないでー!!
リラックスだよ!リラックスーーっ!」
「春途…くん……?」
「隙ありっ!そりゃあ!!」
バゴンッッ!!!
音とともに砂煙に覆われた競技場。
「冥――冥は―――」
(コールマター)
キュイン!
ザクリッ!!!ビリビリビリビリビリビリ!!
「はあっ…はあっはあっ……はあっ…。」
立っていた。冥は立っていた。そして
「あだだだだ…てっはは~、やられたわ~。」
「降参よ、降参参ったよ~。」
勝った。朱里に、冥が…勝ったのだ。
「やったーーーーー!!!」
俺のことのように喜んだ。俺が勝てない相手を
負かしたのだ、すごい。
「勝ちましたあ…。勝ちましたよー!!!
春途くん~!!!!!見てましたか~!?!?」
「これで私と春途くんは
永久に結ばれるんですよね~!!」
「やったーーー!!!」
「いや違うよ、たしかにそうなりたいけども」
「あれ…?そうなんですか…………。」
「え!?落ち込まないでよ、勝ったんだしさ!?」
「そ、それもそうです…よ………ね……。パタンッ」
「冥…?冥…!?おいっ返事しろよ!なあ!?」
疲れに疲れ切っていた冥はその場で倒れた。
家が近い俺は冥を家まで担いで運んで行った。
9.6――
「すまん朱里!冥を家に連れてくからー!
それじゃな!」
「ちょっと春途ぉ!?何それ面白い!!
私も連れてって~!」
「ふざけてる場合じゃないかもだ!」
「のーーん!!」
いつも通りジタバタする朱里を後眼に家へ急いだ。
「っは…はあっ……っはあ……」
(おかしい…いつもならもっと
早くつくのに…なんで)
決して冥が重いとかではない。ああ、性格は多少
恐らく俺が疲れているのだろう。慣れない解説役なんかしたからな、うん。
それから40分くらいが経ったころ
「つ、ついた・。」
俺は冥をつれて家に帰ってきた。
(ただいまー…)
とりあえず俺の部屋に行こう。他は危ない
し・し・忍び足♪・♪とかここで使うとは
思ってなかったが、使った。
気配を消して自室へ入るとホッと一息、
胸を撫で下ろすのもセットで忘れずに。
冥をベッドに寝かせて布団をかける。
「起きるかもだし飲み物取ってくるよ。」
そう言いベッドから離れようとした時、
グイッ
袖を掴まれた。
「隣、いてください……。お願いします…。」
「わ、わかったわかった。
隣りにいるから、ゆっくりおやすみ。」
平静を装い凌いだ。けど
(ヤバいヤバいヤバいヤバいこれが萌なのか?何これ好きな子にされると心臓と書いてバーニングが爆発と書いてボーンするんだが…!?)
などと意味がわからないとかいえない
供述をしており状態で。
隣りにいること3分、体感時間は5時間を超えそうでなんか老けた気もする。
流石に喉が乾いたので
飲み物を取りに行こうと自室の扉を見た
ニタニタァ キラキラ☆
そこには想定の限度を優に超えた
最悪の事態が広がっていた。
(やっちゃったあ…。)
「なんだよ、母さん」
淵底鈴未(ふちそこ すずみ)
俺の母。魔導とか刀剣とか
全く興味がない現代では珍しい人間だ。
少々俺のことを心配し過ぎな点が気になる所。
小さい頃から俺のやりたいことを
やらせてくれたいい親でもある。
「あらまあ!まあまあ!!
ハルちゃんが女の子を!?今夜は宴ね…!!
キャーッ!!」
「どっかの民族か何かなのか?母さんは」
しかたない。こうなったらもう止まらないから。
俺の母さんは。てか多くね?俺の周り
暴走しがちな人
「あ、あの…。お母…さま……?」
「なあに?冥ちゃん」
「冥って呼ばないで下さい!そう呼んでいいのは
春途くんだけなんですから!!」
「あらまあ。ごめんなさいねえ。それで?
なにかしら??」
「私はもう大丈夫なので、
その…。お構いなく…。」
「あらそう!けどそういう訳にもねえ。。」
「なあ冥?メシ食べていかないか?
母さんの結構美味いぜ?」
「けど、お邪魔です…よね…?」
「いや全然」
「そうですか?なら甘えさせてもらいます」
「そっか。よかっ―た!?」
立ち眩みがしたのかベッドから出たあと
すぐに俺に向かって倒れ込んだ。
「あっ…す、すみません……。けどできれば
もう少しこのままで……いいです…か…?」
「す、少しだけだからな…。」
目線を上げ周囲を見渡すと母さんの姿は無かった。
母さん、気を遣って出てってくれたみたいだ。
その数分後
「ご飯できたわよーっ!!!降りてらっしゃい!」
「行こうか、冥」
「はい!」
10―――
冥の入部が決まり3日が経過した夜
いただきまーす!
ズズズー ゴクンッ
「やっぱ美味いな、母さんのメシは」
「あら!よかったわあ。どんどん食べてね」
「美味しいですね!春途くん!」
「だな!はむっ」
「それでそれで。冥果ちゃん?ハルちゃんとは
もう付き合ってるの?」
「ふえ?ふええええ!?
ま、まだですよ~!?」
「あらそう。残念ね~。」
「でもハルちゃんは好きなんでしょう?冥果ちゃんのこと」
「ああ、好きだ。けどいきなり
ぶっ込まれるのはなあ………」
「嫌ですか」
は?
「嫌なんですか!?私のこと!」
「そんなこと言ってないじゃないか!
てかなんでそうなる」
「唐突なインタビューといえば
相思相愛ラブラブチュッチュなカップルなら皆
うえるかむイベントですよ!?それも
ご存知ない!?」
「あ、ああ。なんかすまん」
「ほんと謎ですよ!ナ・ゾ!!」
「ならこうしましょ!今後こういう事
訊かれたら厭々そうに応じる!
それに尽きます!!いいですね?」
「ああ…えっと……」
「 い・い・で・す・ね ?」
「はい…。」
「うふふ、冥果ちゃんは
言ったら利かない娘なのね。諦めなさい~」
「むっふふ~。よろしいっ!」
「まあ満足したっぽいし、いいか」
「そこ!きこえてますよ~?」
「ははっ、すまんすまん。」
「もう夜の20時か…。
冥、泊まってくか?1部屋空いてるし。」
「私の家は門限とかありませんし平気ですよ。けどもし春途くんがどうしてもって言うなら……」
「冥さ、朱里に似てきてない?最近」
「ほえ?そんなこと……ありそうですね。。」
「まあいいかそんなこと。
じゃあ泊まってけよ、せっかくだし。」
ぱああああ✨とかって字が入りそうな笑みを浮かべ
「はい!!ぜひ泊まらせて下さい!」
冥はそう言った。
★おまけ★
剣導部 Q&A Vol1.3
刀剣、なぜ実刃?
現状の魔導学では刀剣を実体化出来る時間、基
魔導を実体化させることが出来る時間が短いため、
常に握る刀剣は実刃となっている。
刀剣なのにいろいろある、なぜ?
向き不向きがあるから。
刀剣の破損について
刀剣は立会の際に破損する場合がある。
破損した刀剣はその立会時に
使用禁止となるので注意が必要。
刀剣は2種類装備できるが、相手の刀剣との相性を補う意味合いが主なので基本的には刀剣の破損に細心の注意をはらって扱おう。
剣導の起源と目的
剣導は近年成長している魔導学を扱った種目だ。
魔導学を肌で感じながら体育のような動きもできるとして、部活動に認められた。部活動は春途らが入学した年より2年ほど前に始まった。
魔導学の始まり
魔導学は春途らが入学した年を軸に僅か20年前から研究されていて、一般化が始まったのは凡そ12年前。真新しさの他に燃料としての柔軟性と供給過多級の将来性が光る事で瞬く間に現代へ浸透した。
剣導の人口
人口は魔導への期待に反して12000人。
学校の数は46都道府県で736校なので
割合は決して多いとはいえない。人口が増えない理由として、そもそも普通科の高校に進学する生徒が少ないことが挙げられる。というのも、魔導学が認知されてから剣導が増え、剣導に使う刀剣の鍛刀が注目され始めた。結果、鍛刀学科を希望する生徒が増え普通学科の全体数が減少したのだ。
刀剣の重量は?重すぎて扱えないんじゃない?
刀剣の重量は刀を基準にして大体、
1キロ~となっている。使い手の筋力や
持久力に応じて刀剣を選択する必要がある。
怪我するの?命に関わるかもしれないの?
よほどの事がない限り命の危険はない。
命が危険に晒される前に審判が止める。
学科別れしたのはいつ?
鍛刀学科ができたのは剣導部が正式な部になった年だから、春途が入学した年の2年前になる。
新学科の真新しさと後方支援の方が安全で
なおかつ魔導学に間接的に関わることができる点が普通科より生徒数が多いことの理由だと考えられる。
高校で剣導してもこの先役に立つの?
正直、役に立たない生徒が大半を占めると思うが剣導は着実に注目を集めているため世界大会の話も出てきている。剣の道を突き詰めれば世界への道も見えてくるかもしれない。
剣導部が運動になるのは本当?
なる。体育の授業の中にも剣導部の内容が
少しだけ入っている。その点からも
体育と遜色ない事がわかると思う。
魔導学に使われてるエネルギーってなに?
エンハンスド・マジカエネルギー
EМエネルギーと呼ばれる
エネルギーを使用している。
このエネルギーは現在あるものとされている
46都道府県ではなく、例外の47番目の
都道府県の下、地中に眠っていた鉱石から
採れるエネルギーで、車の燃料や魔導に変換、
電力にさえも代替可能と見込まれている
まさに至高のエネルギーとされている。
魔導学、EМエネルギーが主流なら
他の資源は廃止されたの?
大半は廃止された。教育課程でも
表面上の魔導学を取り扱い、逆に
他の資源は省かれることに。それ故過去の資源を
使用した犯罪に対処しにくくなった
という一面もある。
人物紹介
淵底春途(ふちそこ はると)
冥のことが好きで好き。だけど
今は部活に集中すると決めた。一度決めたことを曲げたりはしない頑固か一途かわからない性格
逝照朱里(ゆくて しゅり)
春途の1つ上のお姉さん
とは思えぬ無邪気っぷりを発揮して
今日も春途を振り回す。が、実は
周りを見ることができる娘であり
表立ってそれを出さない我慢強い子でもある。
逝照冥果(ゆくて めいか)
清楚可憐、大和撫子とはこのこと。
おしとやかで相手を慮ることのできる優しい性格。負けず嫌いな一面もあり、お姉さんである
朱里のことをライバル視している。
炎下刃張(ひもと はばり)
ツンケンし過ぎに見える男の子。特に双子の彩刃には限度を超えたツンツンっぷりを発揮。
が、彩刃が求めるお願いには基本応じる。基本。(ハグは例外)
炎下彩刃(ひもと あやは)
刃張のことが大大大大好きな双子の彩刃。
ツンケンする刃張をもろともせずいきなり抱きついたりキスしたりする。反面、彩刃自身も
溺愛度合いに危機感を抱いており、
別の高校に進学した。
逝照無亜(ゆくて むあ)
正則の妻。が、本人は正則のことを生ゴミと呼び散々な扱いをしている。
逝照正則(ゆくて まさのり)
無亜の夫。一応。無亜からの叱責をなんとも思わぬ所謂ポジバカであり、それ故関係が円滑に運ぶ。
淵底鈴未(ふちそこ すずみ)
春途の母、色恋沙汰に滾る執念をみせる母とも狂犬ともいえそうな怖い母親。父は?という問は、
彼女にしてはいけない行為堂々の2位である。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
『俺アレルギー』の抗体は、俺のことが好きな人にしか現れない?学園のアイドルから、幼馴染までノーマスク。その意味を俺は知らない
七星点灯
青春
雨宮優(あまみや ゆう)は、世界でたった一つしかない奇病、『俺アレルギー』の根源となってしまった。
彼の周りにいる人間は、花粉症の様な症状に見舞われ、マスク無しではまともに会話できない。
しかし、マスクをつけずに彼とラクラク会話ができる女の子達がいる。幼馴染、クラスメイトのギャル、先輩などなど……。
彼女達はそう、彼のことが好きすぎて、身体が勝手に『俺アレルギー』の抗体を作ってしまったのだ!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
月弥総合病院
御月様(旧名 僕君☽☽︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる