婚約破棄された上に国外追放された聖女はチート級冒険者として生きていきます~私を追放した王国が大変なことになっている?へぇ、そうですか~

夏芽空

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【23話】勝つための戦い


 エリックと別れたマリアは、ホワイトドラゴンを求めてずんずんと足を動かしていく。
 
 すっかり変貌してしまった故郷の街を歩きながら、目に入った魔物たちと戦って勝利を収めていく。
 本番前の準備運動というやつだ。
 
 そうやって噴水広場までやって来た時、ついに目当ての相手を見つけることができた。
 
「やっと会えたわね、ホワイトドラゴン!」

 巨大な白き竜を見て、不敵に笑うマリア。
 これから起こる勝負が楽しみすぎて、ワクワクが止まらない。
 
「おいあんた、何をする気だ?」

 地面にへたり込んでいる王国兵が声をかけてきた。
 顔色は青白く、声は震えている。
 
「そんなの決まっているじゃない。今からホワイトドラゴンと勝負するのよ」
「な、なにを言っているんだ! 俺以外の兵士はみんな死んじまったんだぞ! これ以上ヤツを挑発するんじゃない! それに勝負って言うが、こんな恐ろしい化け物に勝てるはずないだろ!」
「やってみなきゃ分からないでしょ」
「馬鹿か! そんなのはやらなくても――」
「ねぇ、私は早く戦いたいのよ。これ以上、邪魔しないでもらっていいかしら。まだ口を挟むようなら、ホワイトドラゴンの前にまずあなたから片付けるわよ?」

 明確な殺意を持って王国兵を睨みつける。
 無駄な殺しをするつもりはないが、やりたいことを邪魔しようというなら別だ。
 
 王国兵は「ヒッ!」と声を上げて、口を閉じてくれた。
 
(これでようやく静かになったわね)

 満足したマリアは、大きく深呼吸。
 戦場の空気が、肺をいっぱいに満たす。
 
「いくわよ!」

 ホワイトドラゴンとの距離を一気に詰める。
 
 まずは小手調べ。
 挨拶変わりの軽いパンチを、右足に叩き込む。
 
 しかし、ホワイトドラゴンはびくともしなかった。
 挨拶変わりの弱い攻撃とは言え、ホブゴブリンやビッグボア程度なら一撃で絶命させる程度の威力を持っている。
 それを受けても何の反応も見せないとは、相当高い防御力を持っているのかもしれない。
 
「それなら、これはどうかしら!」

 今度は少し力を入れて殴りつける。
 しかし、ホワイトドラゴンはまたもやまったくダメージを受けていない様子だ。

 この一撃で倒せるとは思っていなかったが、まったくのノーダメージというのは正直意外だった。
 
(これなら全力でやっても大丈夫そうね!)
 
 ありったけの力を右腕に込め、全力で右足を殴りつける。
 
 本気で殴るのはこれが初めてだ。
 拳圧だけで敷き詰められた石畳がめくれ上がり、彼方まで吹き飛んでいく。
 
 ズドン。
 爆撃でも受けたような爆音と衝撃が生まれた。
 
 しかし派手な音と衝撃に反して、ホワイトドラゴンにはまったくダメージが入っていなかった。
 
「本気でやったのに、嘘でしょ!」
 
 マリアの頬がムスっと膨れる。
 
 ホワイトドラゴンの尻尾がうねった。
 鞭のようにしなった長い尾が、マリアの体を吹き飛ばした。
 
 吹き飛ばされたマリアの体は、巨大な瓦礫におもいきり衝突する。
 普通の人間だったら即死していたであろうが、【自動治癒】によってダメージは即座に回復していた。
 
 ホワイトドラゴンの攻撃を受けても、【自動治癒】がダメージを上回る速度で傷を治す。
 回復が追いついている以上、実質マリアはノーダメ―ジだ。
 
 魔力量が無限であるマリアは、魔力切れによって【自動治癒】の効果が切れることはまずない。
 だからこの勝負、負けることはまず有り得ない。
 
 しかし、それでは意味がない。
 
「私は勝つために戦っているんだから!」

 瓦礫から体を起こす。
 
(足を殴ってもダメージは与えられなそうね。だったら、今度は他の部位を殴るまでだわ)

 再びホワイトドラゴンに向かっていくマリア。
 地面を強く蹴って、ホワイトドラゴンの頭部まで飛び上がる。
 
 マリアの狙いは、顔面に拳をぶち込むことにあった。
 
 引き締めた右腕に、ありったけの力を込める。
 
「食らいなさい!」

 眉間の辺りに、渾身の一撃を繰り出した。

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