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28話:下森と栗原の強要
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前宮が目を覚ましたのは夜の10時をまわろうとしてきた時のこと。点滴の針を受けた先を見ると、両手をそれぞれ握った守山姉妹が寝ていた。
2人の手を握り返すためにそっと手を握った時、七海は起きる。
「気が付いたのね…前宮君。私たちがお見舞いに来た時、心肺停止で心臓マッサージを受けてたのよ。そのまま死んじゃうのかなって思って泣き叫んだの、真由を残して死ぬなんて女子応援団団長である私が許さない!ってね。今は器具を付けられてるから喋れないみたいだけど、ちょっと待ってね…今すぐに私のお姉ちゃん起こすから」
七海は姉の紗耶香の肩を叩いて起こした。むくりと起きて様子を把握する。
「お姉ちゃん、前宮君目を開けたよ。喋れないけれども伝えたいことあれば伝えてあげて。命の恩人なら尚更ね…」
紗耶香は前宮の目を見ながら涙を流してお礼を語った。
「目を開けてくれたのね!良かった…覚えてるかわからないけど私を車の事故から救ってくれた人です。守山紗耶香と言います。私のために救ってくれて本当にありがとうございます、そしてごめんなさい。私がしっかりすればあなたはこんな傷を負うことはなかったのに…ニュースであなたが女子と男子の両応援団を救ってくれた事を聞いてますし、妹からも話を聞きました。何から何まで本当にありがとうございます」
涙を流しながらお礼を言った紗耶香に前宮は、涙を流して応答する。安心したのか前宮は何も言うことなく眠った。心電図のデータは平均60~75で保たれて心音と共に血が巡っていた。
その翌日、守山姉妹は学校へ向かい練習と指導に徹する。
「そこ!まだ声出せるよ!」
「やる気無いなら帰れ!」
いつもの罵声を男子応援団も聞きながら練習していた。早朝練習が終わった後、守山は山本を呼ぶ。
「今日のお見舞い、任せても良い?昨日行った時、生死の狭間にいたみたいだからちょっと弱々しく見えるかもしれないけど問題ないと思う。でも…傷を見た限りで判断は難しいけど体育祭参加厳しいかもしれない」
「お見舞いは分かった。そっか…事故は仕方ないよね…お姉さん救えただけすごいし、カッコいい。でも、退院した時は怒るつもりだよ。私を残して死ぬなんて駄目だってね」
山本がそう言い残し、教室へ向かう。いつものように授業を受けた後お見舞いの用意をした。
そんな山本の様子を栗原と下森は、見逃さなかった。
「いつもならこの後練習なのに何か用事でもあるの?もしかして、前宮のこと?」
「可能なら私たちもいい?」
半ば強引だったが、3人で前宮のお見舞いへ向かう。部屋へ着いた時は、前宮の顔には酸素マスクをつけておりぐっすり眠っていた。
それも山本が退院した後のように。
「前は包帯で見れなかったけど傷跡見る限りこれは…ひどいね…痛かっただろうね。心臓マッサージも受けたんだね。戻って来てくれてありがとう。私が付いてるから大丈夫だよ」
山本は優しく声をかけながら手を握って腕の血痕をアルコール綿糸で拭き取る。
しかし、下森と栗原はそんな心配事を言うこともなく無礼な言葉を投げた。
「前宮!ちゃんとマスゲームの復帰をお願いしたんだからマジで学校の鮭谷をどうにかしてよね。約束したからにはちゃんと最後まで面倒を見て」
「それくらいの傷、男だからすぐ回復するよ!ちゃんと最後まで責任持てよね」
マスゲームの存続を賭けて前宮が持った責任を最後まで負うようにと言わんばかりに、心無い言葉を投げた。そんな様子に対して山本は2人の腕を握って怒る。
「いい加減にしてよ!常識的に考えれば、前宮は今見ての通り動けるような状態じゃないんだよ?それなのにマスゲームを優先するなんて頭沸いてるよ。私が言うのもあれだけど出て行って。2人きりにさせて。じゃないと、マスゲームの復帰は私が許さない」
勢いに押されたのか2人はそのまま病院から出る。
山本と前宮だけの部屋になり、手の甲をさすりながら山本は前宮の寝顔を見て泣いた。
「私の友達がこんな輩で本当にごめんね…。もう大丈夫だよ!私が涼太君の横にいるから。だから…心配しないでね」
「…んっ?き…みは…?」
寝ていたはずの前宮が起きて話しかける。そして、山本は今まであったことを話した。
途中泣いてしまうこともあったがそんな山本を見て頭を撫でた。その手はとても弱かったけど、暖かいものだ。
「少し騒がしくしちゃったかな…。栗原さんと下森さんが来てたんだけどパシリに使おうとしてたみたいで私が怒っちゃった。気にしないでね!確かにマスゲームも大事だけど自分の体を大事にしないとね!」
山本は明るく話した後、前宮は腕に力の入る限り動かして一つのファイルに指を刺す。
「これを取れば良いの?分かった!」
山本は指をさし示すファイルの中身を取り出した。内容を見て思わず声が上がる。
「これってマスゲーム復帰に関する意見書…?しかも…この印鑑は教育委員会の森田さんのものだ。でも前の件で死んじゃったはず…どうして押せるの?」
前宮はまだ隠されてる用紙の存在を指で教えた。そこに記されていたのは森田先生直筆の文書で前宮に対する託宣だ。
「なるほど…だからか。事故が無ければこれを2人に見せて鮭谷を潰そうとしたのね…。でも君が庇っておきながら先死んで渡せなかったらどうするつもりなの?…涼太のバカ」
ツンデレな山本に前宮は笑う。
動こうとすると痛みが走るのか、前宮はずっと泣いていた。そんな様子を山本は見て世話をしながら、学校での出来事や課題などを渡した。
2人の手を握り返すためにそっと手を握った時、七海は起きる。
「気が付いたのね…前宮君。私たちがお見舞いに来た時、心肺停止で心臓マッサージを受けてたのよ。そのまま死んじゃうのかなって思って泣き叫んだの、真由を残して死ぬなんて女子応援団団長である私が許さない!ってね。今は器具を付けられてるから喋れないみたいだけど、ちょっと待ってね…今すぐに私のお姉ちゃん起こすから」
七海は姉の紗耶香の肩を叩いて起こした。むくりと起きて様子を把握する。
「お姉ちゃん、前宮君目を開けたよ。喋れないけれども伝えたいことあれば伝えてあげて。命の恩人なら尚更ね…」
紗耶香は前宮の目を見ながら涙を流してお礼を語った。
「目を開けてくれたのね!良かった…覚えてるかわからないけど私を車の事故から救ってくれた人です。守山紗耶香と言います。私のために救ってくれて本当にありがとうございます、そしてごめんなさい。私がしっかりすればあなたはこんな傷を負うことはなかったのに…ニュースであなたが女子と男子の両応援団を救ってくれた事を聞いてますし、妹からも話を聞きました。何から何まで本当にありがとうございます」
涙を流しながらお礼を言った紗耶香に前宮は、涙を流して応答する。安心したのか前宮は何も言うことなく眠った。心電図のデータは平均60~75で保たれて心音と共に血が巡っていた。
その翌日、守山姉妹は学校へ向かい練習と指導に徹する。
「そこ!まだ声出せるよ!」
「やる気無いなら帰れ!」
いつもの罵声を男子応援団も聞きながら練習していた。早朝練習が終わった後、守山は山本を呼ぶ。
「今日のお見舞い、任せても良い?昨日行った時、生死の狭間にいたみたいだからちょっと弱々しく見えるかもしれないけど問題ないと思う。でも…傷を見た限りで判断は難しいけど体育祭参加厳しいかもしれない」
「お見舞いは分かった。そっか…事故は仕方ないよね…お姉さん救えただけすごいし、カッコいい。でも、退院した時は怒るつもりだよ。私を残して死ぬなんて駄目だってね」
山本がそう言い残し、教室へ向かう。いつものように授業を受けた後お見舞いの用意をした。
そんな山本の様子を栗原と下森は、見逃さなかった。
「いつもならこの後練習なのに何か用事でもあるの?もしかして、前宮のこと?」
「可能なら私たちもいい?」
半ば強引だったが、3人で前宮のお見舞いへ向かう。部屋へ着いた時は、前宮の顔には酸素マスクをつけておりぐっすり眠っていた。
それも山本が退院した後のように。
「前は包帯で見れなかったけど傷跡見る限りこれは…ひどいね…痛かっただろうね。心臓マッサージも受けたんだね。戻って来てくれてありがとう。私が付いてるから大丈夫だよ」
山本は優しく声をかけながら手を握って腕の血痕をアルコール綿糸で拭き取る。
しかし、下森と栗原はそんな心配事を言うこともなく無礼な言葉を投げた。
「前宮!ちゃんとマスゲームの復帰をお願いしたんだからマジで学校の鮭谷をどうにかしてよね。約束したからにはちゃんと最後まで面倒を見て」
「それくらいの傷、男だからすぐ回復するよ!ちゃんと最後まで責任持てよね」
マスゲームの存続を賭けて前宮が持った責任を最後まで負うようにと言わんばかりに、心無い言葉を投げた。そんな様子に対して山本は2人の腕を握って怒る。
「いい加減にしてよ!常識的に考えれば、前宮は今見ての通り動けるような状態じゃないんだよ?それなのにマスゲームを優先するなんて頭沸いてるよ。私が言うのもあれだけど出て行って。2人きりにさせて。じゃないと、マスゲームの復帰は私が許さない」
勢いに押されたのか2人はそのまま病院から出る。
山本と前宮だけの部屋になり、手の甲をさすりながら山本は前宮の寝顔を見て泣いた。
「私の友達がこんな輩で本当にごめんね…。もう大丈夫だよ!私が涼太君の横にいるから。だから…心配しないでね」
「…んっ?き…みは…?」
寝ていたはずの前宮が起きて話しかける。そして、山本は今まであったことを話した。
途中泣いてしまうこともあったがそんな山本を見て頭を撫でた。その手はとても弱かったけど、暖かいものだ。
「少し騒がしくしちゃったかな…。栗原さんと下森さんが来てたんだけどパシリに使おうとしてたみたいで私が怒っちゃった。気にしないでね!確かにマスゲームも大事だけど自分の体を大事にしないとね!」
山本は明るく話した後、前宮は腕に力の入る限り動かして一つのファイルに指を刺す。
「これを取れば良いの?分かった!」
山本は指をさし示すファイルの中身を取り出した。内容を見て思わず声が上がる。
「これってマスゲーム復帰に関する意見書…?しかも…この印鑑は教育委員会の森田さんのものだ。でも前の件で死んじゃったはず…どうして押せるの?」
前宮はまだ隠されてる用紙の存在を指で教えた。そこに記されていたのは森田先生直筆の文書で前宮に対する託宣だ。
「なるほど…だからか。事故が無ければこれを2人に見せて鮭谷を潰そうとしたのね…。でも君が庇っておきながら先死んで渡せなかったらどうするつもりなの?…涼太のバカ」
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動こうとすると痛みが走るのか、前宮はずっと泣いていた。そんな様子を山本は見て世話をしながら、学校での出来事や課題などを渡した。
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