婚約破棄を受け入れたら溺愛ルートに突入。没落する暇もありません!

萩月

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「キラリ、準備はいいか。今夜は我が国だけでなく、周辺諸国の大使や王族も集まっている。君の存在が、もはや一国の枠に収まりきらなくなっているからな」

パレス・グランデ王国の王宮、大夜会の会場前。
アルベルト様が、私の手を取って最終確認をしました。
今日の私は、特製の「ダイヤモンド粉末入りボディローション」を全身に纏い、歩くたびに発光する仕上がりですわ。

「あら、アルベルト様。私の輝きで国際会議が紛糾したらどうしましょう? 美しさが原因で戦争が起きる……なんて、歴史の教科書に載るのも悪くありませんわね」

「……冗談に聞こえないのが恐ろしいよ。さあ、行こう」

扉が開かれた瞬間、会場の喧騒が、まるで魔法で時を止められたかのように静まり返りました。
そして次の瞬間、何人かの大使が持っていたワイングラスを床に落としました。

「な、なんだあの輝きは……! 隣国の公爵夫人は、自ら発光する魔法使いなのか!?」

「あの方の肌……! 我が国の最高級シルクよりも滑らかに見える! 一体、何を食べていればあのような陶器のような質感が手に入るのだ!」

私は扇を優雅に広げ、一歩ずつ、絨毯の上を進みました。
周囲からの視線が、まるで熱線のように突き刺さります。
ですが、それが心地よい。
視線を浴びれば浴びるほど、私の細胞は活性化されるのです!

「皆様、ごきげんよう。……あら、帝国の大使閣下。その驚きすぎたお顔、眉間のシワが三ミリほど深くなっておりますわよ? せっかくの威厳が、乾燥肌のせいで台無しですわ」

「な……わ、我が国の乾燥した気候を批判するつもりか!」

「批判ではなく『救済』ですわ。後で私の特製オイルをサンプルとして差し上げますから、軍事協定の話の前に、まずはお肌の調和を図りましょう?」

私が微笑むと、強面の帝国大使が、なぜか顔を赤らめて沈黙しました。
これが「美の外交術」ですわ。

しかし、騒動はこれだけではありませんでした。
東方の砂漠の国の王子が、アルベルト様の前に進み出たのです。

「ナイトレイド公爵! 単刀直入に言う。その女性を、我が国のオアシス一つと交換してくれないか! 彼女の肌の瑞々しさは、我が国の干上がった大地に最も必要な宝だ!」

「……お断りだ。オアシスが百あっても、キラリの指先一本にも届かない」

アルベルト様が、これまでにないほど冷徹な声で拒絶しました。
あら、アルベルト様、カッコいいですわ。
でも、オアシス百個分の価値がある肌……。
新しいキャッチコピーに使えそうですわね。

「アルベルト様、そんなに怒らないで。……王子様、オアシスは結構ですけれど、そちらの国で獲れる『幻のサボテンオイル』の独占販売権なら、お話しを伺ってもよろしくてよ?」

「き、キラリ! 君という人は……!」

アルベルト様が頭を抱えましたが、私は止まりません。
会場のあちこちで、他国の貴族たちが私の「美」を巡って議論を始め、ついには「キラリ嬢をどこの国が招待するか」という国際会議にまで発展しそうになっていました。

「静かになさい、皆様! 美しさに国境はありませんが、私の管理下にある肌は世界に一つだけですわ!」

私は中央の壇上に立ち、高らかに宣言しました。

「争う時間があるなら、今すぐそのお高いお酒を置いて、お水を飲みなさい! 内側からの保水こそが、平和への第一歩ですのよ!」

会場は再び静まり返り、その後、なぜか全員が一斉に水を飲み始めました。
これぞ、世界を平定する「美のカリスマ」。

「ふふ、アルベルト様。今夜も大成功ですわね」

「……ああ、成功すぎて、明日から私の仕事が『君を狙う刺客の排除』になりそうだ」

アルベルト様の呆れた声を聞きながら、私は最高にキラキラした笑顔で、隣国の夜を支配し続けるのでした。
オーホッホッホッホ!
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