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「……あ、アリス様? その、先ほどから私を見つめて、どうなさいましたの? 私の顔に、何か『聖女の粉』でも付いておりますこと?」
公爵邸の図書室。窓から差し込む午後の柔らかな光の中で、ルルナは居心地悪そうに身をよじった。
悪役令嬢を廃業し、アリスティアの愛を受け入れると決めてから三日。
ルルナは今、人生で最大級の「羞恥心」という壁にぶち当たっていた。
これまでは「嫌われよう」という明確な目的があったからこそ、あんなに堂々と振る舞えたのだ。
しかし、いざ「愛される婚約者」として振舞おうとすると、何をしても正解が分からず、指先一つ動かすのにも緊張してしまう。
アリスティアは、ソファの対面に座り、頬杖をつきながらルルナをじっと見つめていた。
その瞳は、深淵よりも深く、甘くとろけるような熱を帯びている。
「いいや。ただ、素直になった君があまりに眩しくて、目が離せないだけだよ。……ねえ、ルルナ。もう一度、僕の名前を呼んでみてくれないか? さっきみたいに、語尾に『様』をつけずに」
「む、無理ですわ! そんな破廉恥なこと、いくら廃業したからといって、すぐには……!」
「昨日までは、あんなに元気に僕のことを『この変態王子!』とか『ストーカーの化身!』とか罵っていたのに。……今は名前を呼ぶだけで顔を真っ赤にするなんて、本当に君は僕を殺す気かい?」
アリスティアはくすくすと笑いながら、ルルナの隣へと移動した。
ふわりと彼の香水の香りが鼻をくすぐり、ルルナの心臓はドラムの乱打のように鳴り響く。
「ルルナ。廃業を宣言したということは、今までの君の『悪行』に対する責任を取る準備もできている……ということでいいのかな?」
「……責任、ですの?」
ルルナは首を傾げた。
魔獣を浄化し、枯れ木に花を咲かせ、人々に希望を与えてきたはずだ。
責任を取るどころか、勲章を貰ってもおかしくない働きをしたはずである。
「そうだよ。君は数ヶ月にわたって、僕の心を弄び、突き放し、絶望の淵に立たせようとした。……あんなに酷い高笑いを浴びせたり、扇子で僕の肩をマッサージ(自称・暴力)したり、あろうことか庭の草と浮気宣言までしただろう?」
「そ、それは……! すべて、あなたを思ってのことで……!」
「分かっているよ。だからこそ、その『歪んだ愛』への罰が必要だと思わないかい? ……今の君は、もう悪役令嬢という盾を持っていない。ただの、僕の愛しい婚約者だ。……ねえ、ルルナ。お仕置きの時間だよ」
アリスティアの低い声が耳元で響き、ルルナの背中にゾクリと甘い震えが走った。
彼はルルナの手首を優しく、けれど逃げられない強さで掴み、自分の方へと引き寄せた。
「お、お仕置き……。何をなさるおつもりですの!? また、あの激辛シチューを私に食べさせるおつもり!? あれは自業自得ですけれど、今は胃の調子が……!」
「そんな野蛮なことはしないよ。……僕が欲しいのは、君からの『誠意』だ」
アリスティアは、空いた手でルルナの顎をそっと持ち上げた。
至近距離で見つめ合う。
彼の金色の瞳の中に、自分自身の情けないほど真っ赤な顔が映っている。
「……おねだりしてもいいかな? 今まで僕に冷たくした分、これから毎日、一回は僕に『愛している』と言うこと。それから、僕が触れるのを拒まないこと。……そして」
アリスティアの顔が、さらに近づく。
唇が触れそうなほどの距離で、彼は悪戯っぽく微笑んだ。
「……今日から結婚式までの間、一日に一度、僕に君から口づけをしてほしい」
「……っな!? な、ななな……何を仰っていますの!? 私から!? そんなの、そんなの……悪役令嬢のプライドが!」
「もう廃業したんだろう? ……さあ、ルルナ。最初の一回、今ここで見せてくれないか。……それとも、僕が無理やり奪うのを待っているのかい?」
アリスティアの瞳は、冗談ではなく本気だった。
彼は、ルルナが自分から一歩踏み込んでくるのを、ずっと待っていたのだ。
彼女の「拒絶」ではない、「受容」の証を。
(……ああ、もう。本当にこの方は……!)
ルルナは覚悟を決めた。
ここで逃げたら、また「悪女」に逆戻りだ。
彼女は震える手でアリスティアの肩を掴み、ぎゅっと目を閉じた。
「……嫌いにならないでくださいましね。……私、こういうの、不慣れですから……!」
ルルナは背伸びをして、アリスティアの頬に、鳥が突つくような軽い口づけを落とした。
本当に一瞬。触れたかどうかも分からないほど。
けれど、その瞬間にアリスティアから漏れたのは、魂を削り取られたかのような深い溜息だった。
「…………ルルナ」
「ど、どうですの! これで満足!? もういいでしょう、お仕置きは終了ですわ!」
「……足りない。全然足りないよ。……君がそんなに可愛い顔をして、自分から来てくれるなんて。……ああ、僕はもう、一生君を離さない。……いや、離せない。……今のは君からの宣戦布告だと受け取ったよ」
アリスティアの腕に力がこもる。
彼は、今度は逃がさないと言わんばかりに、ルルナの唇を自分のそれで塞いだ。
先ほどのような軽いものではなく、深く、甘く、ルルナの意識が白く溶けていくような、熱烈なキスだった。
「……ん、……ぁ、……アリス……さま……」
ようやく唇が離れた時、ルルナは彼の胸の中で、力なく項垂れていた。
頭の中がふわふわとして、もう「悪役」なんて言葉はどこかへ吹き飛んでしまった。
「……よし、今日のお仕置きはこれくらいにしておこう。……でも、明日からはもっと厳しいよ? 覚悟しておいてね、僕の愛しい王妃様」
「……もう、勝手になさるがいいですわ。……どうせ、私にはあなたを止める魔法なんて、最初からなかったんですもの……」
ルルナは彼の胸に顔を埋め、降参の印としてその背中に手を回した。
今までは「嫌われるため」に必死だった。
これからは「愛し合うため」に、もっと必死にならなければならない。
図書室の外では、その様子を察したセバスが、満足げに扉の前を離れていった。
「……お嬢様。ようやく、ご自身の幸せを掴み取る覚悟ができたようですな。……さて、明日の結婚式の準備、気合を入れて進めるとしましょうか」
ついに最高のフィナーレへと向かう。
世界で一番不器用な「悪役令嬢」と、世界で一番執念深い「溺愛王子」の、輝かしい門出まで、あとわずか。
公爵邸の図書室。窓から差し込む午後の柔らかな光の中で、ルルナは居心地悪そうに身をよじった。
悪役令嬢を廃業し、アリスティアの愛を受け入れると決めてから三日。
ルルナは今、人生で最大級の「羞恥心」という壁にぶち当たっていた。
これまでは「嫌われよう」という明確な目的があったからこそ、あんなに堂々と振る舞えたのだ。
しかし、いざ「愛される婚約者」として振舞おうとすると、何をしても正解が分からず、指先一つ動かすのにも緊張してしまう。
アリスティアは、ソファの対面に座り、頬杖をつきながらルルナをじっと見つめていた。
その瞳は、深淵よりも深く、甘くとろけるような熱を帯びている。
「いいや。ただ、素直になった君があまりに眩しくて、目が離せないだけだよ。……ねえ、ルルナ。もう一度、僕の名前を呼んでみてくれないか? さっきみたいに、語尾に『様』をつけずに」
「む、無理ですわ! そんな破廉恥なこと、いくら廃業したからといって、すぐには……!」
「昨日までは、あんなに元気に僕のことを『この変態王子!』とか『ストーカーの化身!』とか罵っていたのに。……今は名前を呼ぶだけで顔を真っ赤にするなんて、本当に君は僕を殺す気かい?」
アリスティアはくすくすと笑いながら、ルルナの隣へと移動した。
ふわりと彼の香水の香りが鼻をくすぐり、ルルナの心臓はドラムの乱打のように鳴り響く。
「ルルナ。廃業を宣言したということは、今までの君の『悪行』に対する責任を取る準備もできている……ということでいいのかな?」
「……責任、ですの?」
ルルナは首を傾げた。
魔獣を浄化し、枯れ木に花を咲かせ、人々に希望を与えてきたはずだ。
責任を取るどころか、勲章を貰ってもおかしくない働きをしたはずである。
「そうだよ。君は数ヶ月にわたって、僕の心を弄び、突き放し、絶望の淵に立たせようとした。……あんなに酷い高笑いを浴びせたり、扇子で僕の肩をマッサージ(自称・暴力)したり、あろうことか庭の草と浮気宣言までしただろう?」
「そ、それは……! すべて、あなたを思ってのことで……!」
「分かっているよ。だからこそ、その『歪んだ愛』への罰が必要だと思わないかい? ……今の君は、もう悪役令嬢という盾を持っていない。ただの、僕の愛しい婚約者だ。……ねえ、ルルナ。お仕置きの時間だよ」
アリスティアの低い声が耳元で響き、ルルナの背中にゾクリと甘い震えが走った。
彼はルルナの手首を優しく、けれど逃げられない強さで掴み、自分の方へと引き寄せた。
「お、お仕置き……。何をなさるおつもりですの!? また、あの激辛シチューを私に食べさせるおつもり!? あれは自業自得ですけれど、今は胃の調子が……!」
「そんな野蛮なことはしないよ。……僕が欲しいのは、君からの『誠意』だ」
アリスティアは、空いた手でルルナの顎をそっと持ち上げた。
至近距離で見つめ合う。
彼の金色の瞳の中に、自分自身の情けないほど真っ赤な顔が映っている。
「……おねだりしてもいいかな? 今まで僕に冷たくした分、これから毎日、一回は僕に『愛している』と言うこと。それから、僕が触れるのを拒まないこと。……そして」
アリスティアの顔が、さらに近づく。
唇が触れそうなほどの距離で、彼は悪戯っぽく微笑んだ。
「……今日から結婚式までの間、一日に一度、僕に君から口づけをしてほしい」
「……っな!? な、ななな……何を仰っていますの!? 私から!? そんなの、そんなの……悪役令嬢のプライドが!」
「もう廃業したんだろう? ……さあ、ルルナ。最初の一回、今ここで見せてくれないか。……それとも、僕が無理やり奪うのを待っているのかい?」
アリスティアの瞳は、冗談ではなく本気だった。
彼は、ルルナが自分から一歩踏み込んでくるのを、ずっと待っていたのだ。
彼女の「拒絶」ではない、「受容」の証を。
(……ああ、もう。本当にこの方は……!)
ルルナは覚悟を決めた。
ここで逃げたら、また「悪女」に逆戻りだ。
彼女は震える手でアリスティアの肩を掴み、ぎゅっと目を閉じた。
「……嫌いにならないでくださいましね。……私、こういうの、不慣れですから……!」
ルルナは背伸びをして、アリスティアの頬に、鳥が突つくような軽い口づけを落とした。
本当に一瞬。触れたかどうかも分からないほど。
けれど、その瞬間にアリスティアから漏れたのは、魂を削り取られたかのような深い溜息だった。
「…………ルルナ」
「ど、どうですの! これで満足!? もういいでしょう、お仕置きは終了ですわ!」
「……足りない。全然足りないよ。……君がそんなに可愛い顔をして、自分から来てくれるなんて。……ああ、僕はもう、一生君を離さない。……いや、離せない。……今のは君からの宣戦布告だと受け取ったよ」
アリスティアの腕に力がこもる。
彼は、今度は逃がさないと言わんばかりに、ルルナの唇を自分のそれで塞いだ。
先ほどのような軽いものではなく、深く、甘く、ルルナの意識が白く溶けていくような、熱烈なキスだった。
「……ん、……ぁ、……アリス……さま……」
ようやく唇が離れた時、ルルナは彼の胸の中で、力なく項垂れていた。
頭の中がふわふわとして、もう「悪役」なんて言葉はどこかへ吹き飛んでしまった。
「……よし、今日のお仕置きはこれくらいにしておこう。……でも、明日からはもっと厳しいよ? 覚悟しておいてね、僕の愛しい王妃様」
「……もう、勝手になさるがいいですわ。……どうせ、私にはあなたを止める魔法なんて、最初からなかったんですもの……」
ルルナは彼の胸に顔を埋め、降参の印としてその背中に手を回した。
今までは「嫌われるため」に必死だった。
これからは「愛し合うため」に、もっと必死にならなければならない。
図書室の外では、その様子を察したセバスが、満足げに扉の前を離れていった。
「……お嬢様。ようやく、ご自身の幸せを掴み取る覚悟ができたようですな。……さて、明日の結婚式の準備、気合を入れて進めるとしましょうか」
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