7 / 28
7
しおりを挟む
「……ほう。これが貴女の言う『知的な』ティータイムですか。見たところ、ただのフォンダンショコラのようですが」
カイル殿下は、目の前に置かれた漆黒のケーキを、検品するかのような冷ややかな目で見つめました。
皿の上には、粉糖で美しくデコレーションされた、芸術品のようなスイーツ。
しかし、その中心部には私が領地の最深部で育て上げた「死神の吐息」こと、超高濃度トウガラシエキスがたっぷりと練り込まれています。
「ええ、見た目にはこだわりましたわ。カイル殿下のような高潔なお方には、甘美な誘惑が必要かと思いまして。中から溢れ出す濃厚なソースを、ぜひお楽しみください」
「カイル、やめておけ! それは食べ物ではない、加工された溶岩だ! 兄の忠告を聞け!」
横でシリウス殿下が、まるで処刑台に向かう罪人を止めるかのような必死の形相で叫んでいます。
しかし、理性を至上とするカイル殿下は、そんな兄を憐れむように一瞥しました。
「兄上、あまりにも醜態を晒しすぎです。トウガラシという植物は、カプサイシンという成分が受容体を刺激するだけの化学反応に過ぎない。精神を律していれば、反応を制御することは理論上可能です。……いいですか、これが『王族の矜持』というものです」
カイル殿下は、優雅な手つきでフォークを入れました。
中から、とろりと、どす黒い赤色を帯びたチョコレートソースが溢れ出します。
彼はそれを、一切の迷いなく口へと運びました。
「…………」
「……カイル? おい、カイル、返事をしろ!」
シリウス殿下が身を乗り出します。
カイル殿下は、一口食べたまま静止していました。
その表情は、ピクリとも動きません。
冷徹な氷の仮面は健在……に見えましたが、よく見ると、彼の眼鏡の奥の瞳が、かつてないほど激しく見開かれています。
「……ふむ。カカオの香りが……鼻を抜け……その後に……」
カイル殿下の声が、一オクターブほど高くなっていました。
そして、彼のこめかみから、大粒の汗が「滝」のように流れ落ち始めます。
「……あ。あつ……熱、い。……いえ、これは熱いのではなく……痛、い? いや、私の脳が、痛覚と熱覚を混同している……? 計算が、合わない。この質量のチョコレートに対して、この刺激量は……明らかに過剰……っ!」
「カイル殿下、いかがいたしました? 理論で制御できているのでしたら、あと三口ほどいけますわよね?」
私が追い打ちをかけるように微笑むと、カイル殿下はガタガタと震える手で、必死に水を求めました。
しかし、私はあえて水を用意していません。
代わりに置いたのは、熱々の「激辛トウガラシ茶」です。
「……み、水を……。この……暴力的な刺激を……中和……」
「お水はございませんわ。こちらの温かいお茶をどうぞ。代謝が良くなって、より刺激を『論理的に』理解できますわよ」
「飲めるかッ!! 貴女は……貴女という女は、悪魔ですか!? これのどこが知的なティータイムだ! ただの拷問ではないか!」
ついにカイル殿下の「氷の仮面」が粉々に砕け散りました。
彼は椅子を蹴って立ち上がると、必死に口元を押さえ、部屋の中を右往左往し始めました。
あの冷静沈着な第二王子が、今や真っ赤な顔をして「あわわ」と情けない声を漏らしています。
「はあ……はあ……。兄上の……兄上の言っていたことは、正しかった……。これは、劇物だ。公爵領で密造されている……違法な化学兵器だ……!」
「失礼な。これは愛を込めて育てた農作物ですわ。……で、カイル殿下。私の勝ちということでよろしいかしら? シリウス殿下の滞在延長、認めていただけますわね?」
「……認める! 認めるから、早く……早く、その……中和剤を! 牛乳でも、ヨーグルトでもいい! 私の脳が……溶ける前に!」
私は満足げに頷き、控えていた執事に冷たいミルクを運ばせました。
それを奪い取るようにして飲み干したカイル殿下は、しばらくの間、机に突っ伏して「理論が……私の理論が……」と世迷い言を呟き続けていました。
ようやく落ち着きを取り戻した彼は、乱れた髪を整えることも忘れ、恨みがましい目で私を睨みつけました。
「……ロザリア様。貴女を甘く見ていました。……いいでしょう。兄上を連れ戻すのは、一週間待ちます。……ですが、一つ条件があります」
「条件、ですの?」
「私も、ここに残ります。……この『暴力的な味覚』の正体を、科学的に解明しなければならない。……そう、これは調査です。決して、あの味が……その、少しだけ癖になりそうだなんて、そんな低俗な理由ではありません!」
「…………え?」
まさかの、二人目の居座り宣言。
シリウス殿下が呆然とした顔で、弟を見つめました。
「おい、カイル。お前まで何を言っているんだ。王宮の執務はどうする? お前がいなくなったら、それこそ父上が軍を差し向けてくるぞ」
「……忘れ物を、届けに来たという名目があります。ほら、兄上。貴方が王宮に置いていった、この……ハンカチです」
カイル殿下がポケットから取り出したのは、確かにシリウス殿下の紋章が入ったハンカチでした。
しかし、それを届けるためだけに第二王子が自ら辺境まで来るなど、あまりにも不自然な言い訳です。
「……ハンカチ一枚届けるのに、一週間も滞在するのですか?」
「……ええ。非常に……非常に価値のあるハンカチなのです。その歴史的背景を説明するだけで、最低でも七日はかかります。……文句は言わせませんよ」
カイル殿下は、真っ赤に腫れた唇で、精一杯の威厳を保とうと強弁しました。
その執念深い……いえ、探究心溢れる眼差しを見て、私は悟りました。
私の静かな隠居生活は、もう完全に行方不明です。
「……わかりましたわ。ではカイル殿下。貴方には明日から、トウガラシの『成分分析』という名の、袋詰め作業を手伝っていただきますわよ。効率を重視する殿下なら、きっと素晴らしい戦力になるでしょうから」
「……望むところだ。非効率な作業は、私がすべて最適化して差し上げましょう」
こうして、アルメリア領の屋敷には、二人の王子が居座ることになりました。
一人は泥まみれの農夫として、もう一人は理屈っぽい袋詰め作業員として。
私の激辛帝国は、期せずして王国のツートップを労働力として手に入れてしまったのです。
果たして、一週間後の私の畑は、無事に収穫を迎えることができるのでしょうか……。
カイル殿下は、目の前に置かれた漆黒のケーキを、検品するかのような冷ややかな目で見つめました。
皿の上には、粉糖で美しくデコレーションされた、芸術品のようなスイーツ。
しかし、その中心部には私が領地の最深部で育て上げた「死神の吐息」こと、超高濃度トウガラシエキスがたっぷりと練り込まれています。
「ええ、見た目にはこだわりましたわ。カイル殿下のような高潔なお方には、甘美な誘惑が必要かと思いまして。中から溢れ出す濃厚なソースを、ぜひお楽しみください」
「カイル、やめておけ! それは食べ物ではない、加工された溶岩だ! 兄の忠告を聞け!」
横でシリウス殿下が、まるで処刑台に向かう罪人を止めるかのような必死の形相で叫んでいます。
しかし、理性を至上とするカイル殿下は、そんな兄を憐れむように一瞥しました。
「兄上、あまりにも醜態を晒しすぎです。トウガラシという植物は、カプサイシンという成分が受容体を刺激するだけの化学反応に過ぎない。精神を律していれば、反応を制御することは理論上可能です。……いいですか、これが『王族の矜持』というものです」
カイル殿下は、優雅な手つきでフォークを入れました。
中から、とろりと、どす黒い赤色を帯びたチョコレートソースが溢れ出します。
彼はそれを、一切の迷いなく口へと運びました。
「…………」
「……カイル? おい、カイル、返事をしろ!」
シリウス殿下が身を乗り出します。
カイル殿下は、一口食べたまま静止していました。
その表情は、ピクリとも動きません。
冷徹な氷の仮面は健在……に見えましたが、よく見ると、彼の眼鏡の奥の瞳が、かつてないほど激しく見開かれています。
「……ふむ。カカオの香りが……鼻を抜け……その後に……」
カイル殿下の声が、一オクターブほど高くなっていました。
そして、彼のこめかみから、大粒の汗が「滝」のように流れ落ち始めます。
「……あ。あつ……熱、い。……いえ、これは熱いのではなく……痛、い? いや、私の脳が、痛覚と熱覚を混同している……? 計算が、合わない。この質量のチョコレートに対して、この刺激量は……明らかに過剰……っ!」
「カイル殿下、いかがいたしました? 理論で制御できているのでしたら、あと三口ほどいけますわよね?」
私が追い打ちをかけるように微笑むと、カイル殿下はガタガタと震える手で、必死に水を求めました。
しかし、私はあえて水を用意していません。
代わりに置いたのは、熱々の「激辛トウガラシ茶」です。
「……み、水を……。この……暴力的な刺激を……中和……」
「お水はございませんわ。こちらの温かいお茶をどうぞ。代謝が良くなって、より刺激を『論理的に』理解できますわよ」
「飲めるかッ!! 貴女は……貴女という女は、悪魔ですか!? これのどこが知的なティータイムだ! ただの拷問ではないか!」
ついにカイル殿下の「氷の仮面」が粉々に砕け散りました。
彼は椅子を蹴って立ち上がると、必死に口元を押さえ、部屋の中を右往左往し始めました。
あの冷静沈着な第二王子が、今や真っ赤な顔をして「あわわ」と情けない声を漏らしています。
「はあ……はあ……。兄上の……兄上の言っていたことは、正しかった……。これは、劇物だ。公爵領で密造されている……違法な化学兵器だ……!」
「失礼な。これは愛を込めて育てた農作物ですわ。……で、カイル殿下。私の勝ちということでよろしいかしら? シリウス殿下の滞在延長、認めていただけますわね?」
「……認める! 認めるから、早く……早く、その……中和剤を! 牛乳でも、ヨーグルトでもいい! 私の脳が……溶ける前に!」
私は満足げに頷き、控えていた執事に冷たいミルクを運ばせました。
それを奪い取るようにして飲み干したカイル殿下は、しばらくの間、机に突っ伏して「理論が……私の理論が……」と世迷い言を呟き続けていました。
ようやく落ち着きを取り戻した彼は、乱れた髪を整えることも忘れ、恨みがましい目で私を睨みつけました。
「……ロザリア様。貴女を甘く見ていました。……いいでしょう。兄上を連れ戻すのは、一週間待ちます。……ですが、一つ条件があります」
「条件、ですの?」
「私も、ここに残ります。……この『暴力的な味覚』の正体を、科学的に解明しなければならない。……そう、これは調査です。決して、あの味が……その、少しだけ癖になりそうだなんて、そんな低俗な理由ではありません!」
「…………え?」
まさかの、二人目の居座り宣言。
シリウス殿下が呆然とした顔で、弟を見つめました。
「おい、カイル。お前まで何を言っているんだ。王宮の執務はどうする? お前がいなくなったら、それこそ父上が軍を差し向けてくるぞ」
「……忘れ物を、届けに来たという名目があります。ほら、兄上。貴方が王宮に置いていった、この……ハンカチです」
カイル殿下がポケットから取り出したのは、確かにシリウス殿下の紋章が入ったハンカチでした。
しかし、それを届けるためだけに第二王子が自ら辺境まで来るなど、あまりにも不自然な言い訳です。
「……ハンカチ一枚届けるのに、一週間も滞在するのですか?」
「……ええ。非常に……非常に価値のあるハンカチなのです。その歴史的背景を説明するだけで、最低でも七日はかかります。……文句は言わせませんよ」
カイル殿下は、真っ赤に腫れた唇で、精一杯の威厳を保とうと強弁しました。
その執念深い……いえ、探究心溢れる眼差しを見て、私は悟りました。
私の静かな隠居生活は、もう完全に行方不明です。
「……わかりましたわ。ではカイル殿下。貴方には明日から、トウガラシの『成分分析』という名の、袋詰め作業を手伝っていただきますわよ。効率を重視する殿下なら、きっと素晴らしい戦力になるでしょうから」
「……望むところだ。非効率な作業は、私がすべて最適化して差し上げましょう」
こうして、アルメリア領の屋敷には、二人の王子が居座ることになりました。
一人は泥まみれの農夫として、もう一人は理屈っぽい袋詰め作業員として。
私の激辛帝国は、期せずして王国のツートップを労働力として手に入れてしまったのです。
果たして、一週間後の私の畑は、無事に収穫を迎えることができるのでしょうか……。
2
あなたにおすすめの小説
逃げた先で見つけた幸せはずっと一緒に。
しゃーりん
恋愛
侯爵家の跡継ぎにも関わらず幼いころから虐げられてきたローレンス。
父の望む相手と結婚したものの妻は義弟の恋人で、妻に子供ができればローレンスは用済みになると知り、家出をする。
旅先で出会ったメロディーナ。嫁ぎ先に向かっているという彼女と一晩を過ごした。
陰からメロディーナを見守ろうと、彼女の嫁ぎ先の近くに住むことにする。
やがて夫を亡くした彼女が嫁ぎ先から追い出された。近くに住んでいたことを気持ち悪く思われることを恐れて記憶喪失と偽って彼女と結婚する。
平民として幸せに暮らしていたが貴族の知り合いに見つかり、妻だった義弟の恋人が子供を産んでいたと知る。
その子供は誰の子か。ローレンスの子でなければ乗っ取りなのではないかと言われたが、ローレンスは乗っ取りを承知で家出したため戻る気はない。
しかし、乗っ取りが暴かれて侯爵家に戻るように言われるお話です。
【完結】消された第二王女は隣国の王妃に熱望される
風子
恋愛
ブルボマーナ国の第二王女アリアンは絶世の美女だった。
しかし側妃の娘だと嫌われて、正妃とその娘の第一王女から虐げられていた。
そんな時、隣国から王太子がやって来た。
王太子ヴィルドルフは、アリアンの美しさに一目惚れをしてしまう。
すぐに婚約を結び、結婚の準備を進める為に帰国したヴィルドルフに、突然の婚約解消の連絡が入る。
アリアンが王宮を追放され、修道院に送られたと知らされた。
そして、新しい婚約者に第一王女のローズが決まったと聞かされるのである。
アリアンを諦めきれないヴィルドルフは、お忍びでアリアンを探しにブルボマーナに乗り込んだ。
そしてある夜、2人は運命の再会を果たすのである。
公爵令嬢は嫁き遅れていらっしゃる
夏菜しの
恋愛
十七歳の時、生涯初めての恋をした。
燃え上がるような想いに胸を焦がされ、彼だけを見つめて、彼だけを追った。
しかし意中の相手は、別の女を選びわたしに振り向く事は無かった。
あれから六回目の夜会シーズンが始まろうとしている。
気になる男性も居ないまま、気づけば、崖っぷち。
コンコン。
今日もお父様がお見合い写真を手にやってくる。
さてと、どうしようかしら?
※姉妹作品の『攻略対象ですがルートに入ってきませんでした』の別の話になります。
居候と婚約者が手を組んでいた!
すみ 小桜(sumitan)
恋愛
グリンマトル伯爵家の一人娘のレネットは、前世の記憶を持っていた。前世は体が弱く入院しそのまま亡くなった。その為、病気に苦しむ人を助けたいと思い薬師になる事に。幸いの事に、家業は薬師だったので、いざ学校へ。本来は17歳から通う学校へ7歳から行く事に。ほらそこは、転生者だから!
って、王都の学校だったので寮生活で、数年後に帰ってみると居候がいるではないですか!
父親の妹家族のウルミーシュ子爵家だった。同じ年の従姉妹アンナがこれまたわがまま。
アンアの母親で父親の妹のエルダがこれまたくせ者で。
最悪な事態が起き、レネットの思い描いていた未来は消え去った。家族と末永く幸せと願った未来が――。
はい!喜んで!
みおな
恋愛
伯爵令嬢のシリルは、婚約者から婚約破棄を告げられる。
時を同じくして、侯爵令嬢のリエルも、婚約者から婚約破棄を告げられる。
彼女たちはにっこりと微笑んで答えた。
「はい。喜んで」
断罪後の気楽な隠居生活をぶち壊したのは誰です!〜ここが乙女ゲームの世界だったなんて聞いていない〜
白雲八鈴
恋愛
全ては勘違いから始まった。
私はこの国の王子の一人であるラートウィンクルム殿下の婚約者だった。だけどこれは政略的な婚約。私を大人たちが良いように使おうとして『白銀の聖女』なんて通り名まで与えられた。
けれど、所詮偽物。本物が現れた時に私は気付かされた。あれ?もしかしてこの世界は乙女ゲームの世界なのでは?
関わり合う事を避け、婚約者の王子様から「貴様との婚約は破棄だ!」というお言葉をいただきました。
竜の谷に追放された私が血だらけの鎧を拾い。未だに乙女ゲームの世界から抜け出せていないのではと内心モヤモヤと思いながら過ごして行くことから始まる物語。
『私の居場所を奪った聖女様、貴女は何がしたいの?国を滅ぼしたい?』
❋王都スタンピード編完結。次回投稿までかなりの時間が開くため、一旦閉じます。完結表記ですが、王都編が完結したと捉えてもらえればありがたいです。
*乙女ゲーム要素は少ないです。どちらかと言うとファンタジー要素の方が強いです。
*表現が不適切なところがあるかもしれませんが、その事に対して推奨しているわけではありません。物語としての表現です。不快であればそのまま閉じてください。
*いつもどおり程々に誤字脱字はあると思います。確認はしておりますが、どうしても漏れてしまっています。
*他のサイトでは別のタイトル名で投稿しております。小説家になろう様では異世界恋愛部門で日間8位となる評価をいただきました。
【完結】家族に愛されなかった辺境伯の娘は、敵国の堅物公爵閣下に攫われ真実の愛を知る
水月音子
恋愛
辺境を守るティフマ城の城主の娘であるマリアーナは、戦の代償として隣国の敵将アルベルトにその身を差し出した。
婚約者である第四王子と、父親である城主が犯した国境侵犯という罪を、自分の命でもって償うためだ。
だが――
「マリアーナ嬢を我が国に迎え入れ、現国王の甥である私、アルベルト・ルーベンソンの妻とする」
そう宣言されてマリアーナは隣国へと攫われる。
しかし、ルーベンソン公爵邸にて差し出された婚約契約書にある一文に疑念を覚える。
『婚約期間中あるいは婚姻後、子をもうけた場合、性別を問わず健康な子であれば、婚約もしくは結婚の継続の自由を委ねる』
さらには家庭教師から“精霊姫”の話を聞き、アルベルトの側近であるフランからも詳細を聞き出すと、自分の置かれた状況を理解する。
かつて自国が攫った“精霊姫”の血を継ぐマリアーナ。
そのマリアーナが子供を産めば、自分はもうこの国にとって必要ない存在のだ、と。
そうであれば、早く子を産んで身を引こう――。
そんなマリアーナの思いに気づかないアルベルトは、「婚約中に子を産み、自国へ戻りたい。結婚して公爵様の経歴に傷をつける必要はない」との彼女の言葉に激昂する。
アルベルトはアルベルトで、マリアーナの知らないところで実はずっと昔から、彼女を妻にすると決めていた。
ふたりは互いの立場からすれ違いつつも、少しずつ心を通わせていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる