もう行き詰まったので、逃亡したい私〜異世界でこの中途半端な趣味を活かしてお金を稼ぎたいと思います〜

刹那玻璃

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神は時に残酷で、時に慈悲深い

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「……そ、壮大な神話……ですね……あぁ、鳥肌立ちました」

 腕をさする琴葉に首をすくめ、

「で、この国シェールドは、七神の第一、大地の神の末裔つまりアルファードの一族。第二子の末裔は南方のスティアナ公国の祖で、第三子はこのジョシュの一族、第四子はフェリシアの一族、第五子はグランディア、第六子はラディリア……えっとアルファードの先祖だよ」
「はい?」
「あの……さっき風の女神に愛された風の鳥と聞きましたが、裁きの女神の末裔っていうのは……」
「あぁ、裁きの女神はまた別の物語があるからだよ。それはまた今度ね。」


 過去の授業をたどっていると言うふうに聞き流していたらしいアルファードは、目を見開き腰を浮かす。

「えっ? ラディリア公国ってマガタ公爵のあとは途絶えたとか、表舞台からは去ってますよね?」
「うん。でも、ボクの父さま……育ての父がマガタ公爵ドルフ卿ことミュリエル・レクシアだからね」
「アレクサンダー王の血じゃないんですか! それなら、うちは……あ、アレクサンダー王の妹王女の子です?」
「違うよ~父がドルフ、母がアレクサンダー・ギデオンだってば。君の先祖のアーサーは正真正銘、二人の息子。ボクのこの容姿は父の外見に母の色を足したかんじなんだよ。父、めちゃくちゃ少年外見だったから。アーサーはちょっと強面というか長身でいかつい系」

 ジョシュは、眉を寄せて考え込む。

「……うちの祖母の姉になるんですか? アレクサンダー王は……あの、昔、祖母そっくりの女性が二人遊びに来ていたのですが……一人は祖母の母だと紹介されて、一人は確か、花の名前……すぐ上の大伯母上だと思って……」
「あーそれ多分、うちの母。一人は剣を腰に、一人は背負ってたんじゃない? ブルーベル叔母さんは暗殺武器携帯はしても、剣は持ってないから。ナイフ投げと吹き矢攻撃だよ、あの人。で、その武器に毒を仕込むのを手助けするのがコスタリーカ叔母さん」
「げっ!」
「うちの母は方向音痴で、手加減皆無、一回剣を抜いたら、周囲が瓦礫……でも、超絶美少女」
「……そういえば、バーバラに似てました」
「バーバラはうちの母に似てるもんね。だからカズール系の顔。でもメリッサはマルムスティーンのジョシュに似てる顔」

 ヴァーロはニンマリ笑う。

「うちの母の母……ジョシュが会ったコスタリーカのお母さんは金髪で青い目の美少女じゃなかった? 毒舌でガサツでかなり喧嘩っ早い人……」
「……祖母には優しかったですが、一緒にいた目つきの悪い男性を殴ったり蹴り飛ばしてました……ね」
「あの人、ラインハルト・カルス……カズール家の人だよ。途中で、同名の甥っ子に爵位を譲ってます」

 ジョシュはグルグルする頭を抱え、その横でアルファードが考え込む。
 琴葉はお茶を入れ替えようかと見回すと、メリッサとフェリシアがコックリコックリし始めている。
 その横で、クッキーを全種類制覇せんばかりの勢いで食べ続けているバーバラ……肝が据わっている。
 バッグがかすかに揺れた。
 桜智が、こそっと囁く。

『前に入れてた冷たいお茶。あるわよ』

 頷きバッグに手を伸ばし、声をかけた。

「あの……カップはそのままですが、冷たいお茶はどうでしょう?」
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