もう行き詰まったので、逃亡したい私〜異世界でこの中途半端な趣味を活かしてお金を稼ぎたいと思います〜

刹那玻璃

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雑貨屋兼喫茶店……

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 シーン……

 沈黙の後、琴葉は首を振った。

「む、無理です! はっきり言って、これは家庭料理の延長で、料理店としてお出しできるものでは……」
「毎日とか一日中というわけじゃなく、お菓子とちょっとした飲み物を出すだけでもいいんだよ? そうして、話を聞いている間に情報収集もできるし、私はここで時々休憩……したいかも。お菓子は美味しいし、お茶も美味しい。しかも、変化にとんでて楽しいんだよね。お願い! 私のためにも隠れ家として!」

 手を合わせて拝むジョシュ。

「お友達ですから、気軽にきてくださいよ。ね? ヴァーロくんのお友達ですから」
「いや、それだけじゃ君の収入にならないでしょ? しかもこんなおっさんが出入りしたら何? って思われるし? 喫茶店なら客として堂々とこれる!」
「あぁ~、ジョシュの胃袋も掴んだんだね。コトハって料理上手だし」
「スープパスタも美味しかったよ。メリッサもフェリシアも美味しかったよね?」
「うん!」
「美味しかった!」

 バーバラに頬についたスープを拭ってもらいながらニコッと笑う二人。
 小さい少女たちも珍しい食器や料理、そして琴葉の作った雑貨に魅了されている。

「また来たいね!」
「来てもいい?」
「こんな感じだよ? 市場で販売もいいけれど、私からの提案としては、私やバーバラ、アルファードのお眼鏡にかなった客を、ここに案内して、軽食……飲み物やさっきのチップス、ジャムをつまみながら君の作ったものを選ぶ……そして、その客がまた自分の知人に紹介するという方法がまずはおすすめだと思うよ。なんだかんだ言っても君は目立つ」
「えっ? 不細工ですか?」

 ショックを受ける琴葉に、アルファードが、じっと見る。

「どこが? 君結構目立つよ? 美人で」
「えぇぇ!」

 オロオロ狼狽えるさまに、ヴァーロがサッと手を伸ばし、

「コトハを口説かない! ボクがコトハの保護者です!」
「ヴァーロ触りまくってる……」
「ボクはいいの!」
「えっと……あの……」

 ヴァーロとアルファードが言い合いをしている横で、琴葉は思い出したようにぽんっと手を合わせる。

「あの……喫茶店という大掛かりなものまでは難しいかもですが、もしよければ、場所を貸すとか、どうでしょう? 飲み物とお菓子をセットで出して……のんびり過ごしてもらって、一応2時間滞在していくらって形でお金をいただきます、というのは? 延長したい方には追加料金やお菓子、飲み物追加も大丈夫です。そのほかに、一画には私の作ったものを並べて……あ、私も作りたいので休みも入りますが……」
「それいいかも!」
「来たい!」

 夫婦が身を乗り出し、手を挙げる。

「お菓子はえっと……」

 何かを思いついたように、立ち上がると、

「ちょっと自室に行ってきます」

と奥に消えていく。
 しばらくして、持ってきたのは、琴葉のバッグ。
 そして、

「実はこういうものがあるのです。これは知人が捨てられずに集めてしまった可愛い缶なのですが……」

と、バッグの中から、某テーマパークやイベント時に販売されるお菓子ケースの缶をどんどん積み上げる。
 これは当然桜智の収蔵品である。
 結構色々なキャラ、年代もバラバラなところを見ると昔から集めていたらしい。

「わぁぁ! 可愛い! 可愛い!」
「この缶は種類はいくつもあるのですが、数が限られているので、この店内でお菓子を入れるお皿がわりにします。この中にお菓子を入れて、入口でお会計をした後にに時間を書いた札と一緒にお渡しします。そして、飲み物は注文を受けた後に私がお届けします。追加は入口で注文して貰えば構いません。時間もこちらである程度管理して、五分前に声をかけるようにします。飲み物ですが、人数が少ないので真ん中にお水だけは置いておくので、途中喉が渇いたら自分で注いでもらうのもいいかなと思います」
「至れり尽くせり……」
「そうですか? 結構喫茶店としては放置気味です。トレイも準備するので自分で運んで貰いますので。帰る時も、返却口を準備するのでそこに置いてもらいますから。手抜きかもです」

 琴葉は首を傾げる。
 喫茶店というより、ネットカフェのイメージに近い。
 でも飲み放題じゃないので高いかなぁと思ったのだが……。

「それ面白いと思う! どんな感じにするの? お店は」

 ヴァーロの言葉に、ちょっと考え込んだ琴葉は答える。

「いくつか四人がけのテーブルを置いて、そのほかは壁に向き合う感じでもいいと思います。椅子はベンチ風でもいいですし、丸椅子、背もたれ付き……揃ってなくてもバラバラで、好きなのを選んでもらうので」
「ふーん……ボクの椅子みたいなのもあるの?」
「あれはないですよ。木の椅子にします」
「そうなんだ」

 フェリシアとメリッサが横で興味深そうに缶を開け閉めしていたが、その中で、フック付きの旅行カバン風の缶を発見する。

「お出かけカバンみたい」
「あ、本当だ!」
「今度可愛いのが見つかったら、残しておいて二人にあげるね? 今日は一つだから喧嘩になっちゃうかな……」

 琴葉の言葉に、二人は目を輝かせる。

「えっ? 本当?」
「うん、約束」

 しばらくやりとりを続け、夕方になった頃、5人を見送ったのだった。



 ちなみに、店舗経営は最初ギルドに登録して、一定料金を支払うものの、その後は出納帳を定期的に提出して、収入に応じて登録料や税金を後日支払うことになるらしい。
 働き手を雇うことでその税金も減額できるらしいが、そう言ったことはヴァーロの知り合いが詳しいらしい。
 今度、その人に登録と説明をしてもらうことになるのだが、どうなることやら……。
 ちなみにその人の名はアルスさんと、その奥様のソフィアさんだと聞いたジョシュさんはかなり焦っていた。
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